沖縄移住の現実 憧れるから失敗する 所詮は地方都市への引っ越し|観光アイデア教科書vol.11

南国日記~沖縄移住の記録~

先日、私のInstagramとあるDMが届きました。

沖縄移住についてのご相談でした。こうしたDMをいただけるのは嬉しいものです。

ということで、今回はいただいたご相談内容に沿って、移住3年目の私が本気で綴りました。6000文字を超えるボリュームですが、リアル(と私の感覚)が詰まっていますので、沖縄移住にお悩みの方は、ぜひ参考にしていただけると幸いです。

その1. 沖縄移住は難しい 甘くはないのか?

まず今回の「沖縄移住」の「沖縄」は、【沖縄本島】である前提で話を進めます。

沖縄と言っても、最東端の硫黄鳥島から最西端の与那国島までは約850kmも離れており、なかなか大きいです。

小さな離島や、沖縄本島でも山奥へ移住する場合は、住む場所を見つけるのも難しいですが、本島にはアパートなども多いので、引っ越し自体は難しいことではありません。

仮に沖縄への引っ越しも済んで、正社員での仕事も見つかったとします。9時から18時まで週5で働いて、たまに残業もあるとすると、一般的に沖縄といってイメージされる【のんびりした雰囲気】は特に感じられません。

私も普段は、家と職場の往復なので、自分が沖縄にいることを忘れることもあります。道路標識に「那覇空港」などと書かれているのを見て、「あ、沖縄にいるんだな」と実感する瞬間が、移住3年目にしてもまだあります。

綺麗な海はすぐそばにあるものの、毎日その海を見ることが出来るわけではありません。また、雨の日や台風の日もあります。そんな日は家で過ごすことになりますが、テレビで沖縄のローカル番組が流れている以外は、部屋の中で沖縄を感じることはありません。

何が言いたいのかというと、「憧れの沖縄暮らし像」を持って移住すると、当たり前の現実が待っているということです。沖縄移住を考えている方は、一度雨の日に沖縄へ訪れるのがおすすめです。

沖縄暮らしに特別なことはありません。沖縄本島への移住は、いち地方への引っ越しと同じです。

その2. 就職先がない

就職先はあります。むしろ人手不足という話をよく聞きます。

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2021年現在、沖縄県内にある上場企業は5社。また、全国チェーンの企業の沖縄支店も多いです。そのため、就職先がないというよりも、正確には「自分が望んでいる職種の求人がない」という方が正しいかもしれません。

沖縄の求人情報も、ネットを使ってどこからでも調べられる時代なので、一度チェックしてみるのがおすすめです。

求人情報を見るとき、仕事内容と同時に、給与も気にされる方が多いのは、言うまでもありません。

沖縄県の最低賃金は全国最下位!ただ、2021年は秋田・鳥取・島根・高知・佐賀・大分も沖縄と同じ最低賃金の額です。ここでもまた「沖縄はいち地方ある」ことが分かります。

★参考:47都道府県別最低賃金★

地域別最低賃金の全国一覧

一方で、沖縄県の子供の貧困率が断トツで全国ワースト1位であることは有名です。

ただ、これは家計をきちんと整理すれば改善されると思っています。例えば、家族で1人1台車を持っていたり、付き合いの飲み会(模合)があったり、減らせる支出は色々とあります。

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住む地域によっては、令和の時代でもこうしたしきたり(写真)が残っているので、引っ越しをする前に注意が必要です。

物価が高い」ということも、ネットではたまに見かけられますが、県外で作られているものは確かに高いです。しかし、沖縄県内で製造されているものを選んで買うと、安く抑えることが出来ます。

那覇市の1か月の食費平均額は、日本の県庁所在地の中で最も安い一方で、支出に占める食費の割合(エンゲル係数)は那覇市が最も大きく、沖縄のお給料事情が伺えます。

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沖縄の給料が低い理由

例えば、埼玉県に住んでいたら、仕事で東京へ通う人が多いです。また、仮に自分で何かモノを作ったとしたら、「高速を走らせて、隣の県まで売りに行こう!」といったこともあると思います。

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しかし、それが簡単には出来ないのが沖縄県です。

那覇市のお隣の県庁所在地・鹿児島市までは、800km以上離れています。県内向けのサービスの場合、そのターゲットは約140万人程度。沖縄県全体の人口は川崎市より少ないのです。

鳥取や島根も人口は少ないですが、いざとなれば岡山や広島、さらには関西にも商圏を広げることが出来ます。沖縄県の場合はそれが困難です。だから観光で人が訪れることが重要なのです。

こういっては何ですが、給与が低いのは仕方がないといえます。給与が上がったとしても、県内だけをターゲットにしている商売の場合、すぐに頭打ちになります。もし給与面が心配な場合は、ITなど、沖縄にいることが関係ない職種や内地企業(沖縄支店)がおすすめです。

また、データなどはない話ですが、一般的な企業で社員として働いていたら、年次ごとに給料は上がっていくものですが、沖縄では2、3年で辞めてしまう人が多いので、平均的な給与水準がなかなか上がらないという話も聞いたことがあります。

★参考★

住む場所について

沖縄にしばらく住んで、知り合いが出来たりすると、安い物件の情報が入ってきたりしますが、基本的に、沖縄本島中南部の家の家賃はそこまで安いわけではありません。

初めての沖縄移住は、ネットで上位に出てくるような、大手の不動産業者を利用するのがいいでしょう。時間も効率よく使うことが出来ます。先に職場が決まっていれば、職場の人に相談するのがおすすめ。職場の給与水準も考えて、おすすめの場所を教えてもらえる可能性が高いです。

ちなみに私は家の下見もせず、完全にネットだけで家を決めてしまいましたが、今のところ3年間、その家で快適に暮らしています。

その3. 虫が大きい

こちらの写真は絶滅危惧種・ヤシガニです。普段はこうした生き物を目にすることがほとんどありません。沖縄移住3年目ですが、まだ普段の生活でゴキブリすら目にしていません(笑) 

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ごくまれに、夏の夜に、網戸に謎の虫が付いていることはあります。ハエは重量級かもしれません。小さな蚊やアリも多い気がします。

その4. 年中湿度が高い

これは間違いありません。湿度50%でも乾燥注意報が出ていたりします。

外にいると蒸し暑さを感じることはありません。常に海からの風が吹いているからです。湿度が高い所に風が吹くのは、お風呂上りに扇風機を浴びているのと同じで、涼しく感じるものです。

沖縄の冬は湿度の影響で想像以上に寒いです。

スーパーなどにはホッカイロなども販売されていますが、やはりダウンやマフラーは必須アイテムです。沖縄に引っ越す際は捨てないようにしましょう。ただ、風が冷たいだけで、凍てつく寒さではないため、手袋まではいらないかもしれません。

それよりも、湿度が高くて困るのはお部屋の中のカビ対策でしょう。私も職場の方から、冬服の保管については注意するよう言われていました。

ただ結局、特別なカビ対策はせずにやり過ごすことが出来ています。クローゼットの扉は取っ払って、家にいるときは基本的に窓を開けっぱなしにしています。やっていることは本当にそれだけです。

もちろん、家の場所や日当たり具合によっても変わるので、一概には言えませんが、極端に心配することでもない気がします。

その5. なかなか町に馴染めない

「町に馴染む」の感覚は人それぞれだとは思います。

とりあえず、沖縄本島中南部の暮らしは結構都会的です。私も今アパートに住んでいますが、隣にどんな人が住んでいるかは知りません。沖縄本島でも、名護より北には日本の田舎的な文化があるかもしれません。

沖縄で生まれ育つと、学生時代からのコミュニティが強く、そうした繋がりは大人になっても続いているようです。しかし、移住者がそこに入る余地はありません。私も沖縄で友達といえるような関係の人はごくわずかです。

沖縄移住に限った話ではありませんが、移住者にとって最大の壁は「孤独」といっていいかもしれません。社会人として毎日働いていたら、なかなか友達を作る機会もありません。

沖縄には、沖縄ならではの苗字もあります。例えば、こちらはゆいレールの駅ですが、「赤嶺」「安里」「儀保」「石嶺」は、沖縄の苗字としてもよく見られます。一方で、田中さんや佐藤さんはほとんどいません。そのため、自己紹介をして苗字を言うだけで、沖縄出身か移住者かがすぐに分かってしまいます。

それで差別されることはありませんが、「何で(沖縄に)来たの?」的なことはほぼ必ず聞かれます。年配の方は移住者のことを、悪気なく「ないちゃー」や「やまとんちゅ」という言い方をする場合もあります。あまり気にしなければ全く気になりませんが、気にすると気になってしまうポイントかもしれません。

ちなみに沖縄移住当初、Jリーグの沖縄キャンプに行った時のことです。

スーツで忙しそうに動き回るチーム関係者の方々。それを見ていた、中高生くらいのサッカー少年たちが「ないちゃーはなんでスーツ着て格好付けてんのか、意味わからんwww」と話しているのを聞いて、「(噂には聞いていたけど)本当にそういう感じなんだな」ということを思いました。

沖縄で感じる文化の違い

文化の違いもあります。これは挙げるときりがありませんが、パッと浮かんだ、普段から気になってしまう点(ネガティブな面)は3つです。

交通マナー

運転が荒いわけではなく、むしろ道を譲ったりはしてくれるのですが、歩道を車が走っていたり、赤信号になってからも2秒くらいはセーフみたいな感覚で突っ込んできます(笑) 自転車の無灯火も多いです。

何より、そうしたことが当たり前になっていて警察に捕まることもありません。あったとしても、パトカーからの放送での注意のみです。

ごみマナー

走行中の車からカンやタバコがよく飛んできます。これは沖縄県外でもあることですが、沖縄ではそうした行為を見かけることがまあ多いです。ちなみに、ポイ捨てをするのは、若い人よりも年配の方が多いです。

また、ごみ回収の日以外に、道路にゴミが出されていたりして、夏は夕立が来ると、そうしたゴミが流されて、道路がカオスな状態になっていることもあります。そして、雑木林をちょっと覗いてみると、大抵不法投棄のごみの山になっています。

熱しやすく冷めやすい人が多い

話が盛り上がって「あれやりましょう!」となったことが、突然「なし」になるようなこともあります。あれ、こないだの話どうなったみたいな。そして、そこから連絡が取れなくなったりもします。まだそれほど打ち解けていない沖縄の方と、何か一緒に作業を進めるときは、少し注意する必要があると感じます。

沖縄にはシャイな人が多い?

街に馴染むうえで人との関係は重要ですが、沖縄には「シャイな人が多い」という話もあります。これについてはシャイというよりも、イレギュラー対応が苦手という方が正しいかもしれません。

例えばレジでも、こちらから何か聞くと、しどろもどろになってしまったり、「少々お待ちください」などの一言がないまま、どこかへ行ってしまったり… というのはよくあります。

たまに「お、そういう感じか」と驚くこともありますが、それは自分が自然と沖縄県外での接客レベルと比べてしまっているだけ。自分に害があるわけではないので、別に気にする必要もないことです。

うちなータイムについて

「うちなータイム」と言われる、沖縄に住んでいる人のルーズな時間感覚は広く知られています。

ただ、実際にそんな人はほとんどいません。遅刻は普通に怒られて嫌われます(笑) ただ、渋滞が多いので、多少到着が遅れるのは仕方がないことです。

知り合い同士の飲み会などでは、お店を予約している時間の1時間前を集合時間にしないと、なかなか人が集まらないということもあるそう。また、時間指定の荷物の集荷や配達が来ないこともあります。

沖縄で過ごす学生時代について

今回私にDMを送っていただいた方は、高校生のお子様と一緒に沖縄へ引っ越すということでした。

正直な話をすると、もし自分に子供が出来たら、その子が小学生になるくらいで沖縄を離れると思います。

沖縄で生まれ育つと、昔からのコミュニティが大人になっても続くというのは先ほどもご紹介しましたが、そうすると出る杭が打たれやすいようです。少し他と違ったことをするとすぐに目立ってしまい、「大丈夫か」「騙されているんじゃないか」など、色々言われると聞きます。

いわば常に誰かに監視されているような環境です。どこかに行っても、必ず誰かしら知り合いに会うとか。それはそれで居心地がよく、安心感はあるかもしれませんが、悪いことは出来ません。噂もすぐに広まるので、一度悪いことをしたらかつての環境には戻ることは難しいのでしょう。

つまり、色んなことにチャレンジして、失敗して、そこから学ぶということが、沖縄で学生生活(小中高)を過ごすと難しいように感じます。学生時代は沖縄県外のことを知っている人も少ないので、子供が持つ夢や目標の選択肢が狭まってしまう可能性もあります。

あくまで参考までに、東大合格者数を都道府県別にみると沖縄は全国最下位。一方で、小学生の全国学力調査の結果を見ると全国6位の正答率です。これだけ見ると、もう少し沖縄から東大に進学する学生がいてもいいように思いますが、中学生の全国学力調査の結果になると、なんと全国最下位になります。

あまり話題にはなりませんが、毎年こんな感じらしいです。正確な理由は分かりません。沖縄で生まれ育った方からこの話を聞いて、私も初めて知りました。中二病という言葉がある通り、勉強を頑張ることが、何となくかっこ悪いとみられるお年頃。沖縄の学校には、勉強を頑張る人を揶揄する「まーめー」という言葉もあるそうです。

最後に

今回はこれから沖縄移住したい方に向けた、アドバイス的な内容をお届けしました。今後もこうしたご相談をいただいたら、この記事の内容もブラッシュアップしていきます。

一番お伝えしたいのは、沖縄(本島、名護市より南)に移住することは特別なことではありません。いち地方都市への引っ越しです。憧れではなく、目的や目標を持った移住であれば「孤独」もそれほど関係ありません。

きっと沖縄暮らしを楽しめるはずです。

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