ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は兵庫県の離島「家島諸島」に行ってきた旅行記の後編をご紹介します。
★前回の記事★
島民の約半数が漁業従事者

家島諸島のひとつ・坊勢島。姫路港から船に乗り、島へ到着すると大漁旗が出迎えてくれます。

こちらは坊勢島の港に並ぶ漁船たち。その数は900隻にもなるそうです。1つの漁港あたりの漁船数は日本一と言われており、多種多様な漁船漁業が活発に営まれています。

家島諸島から東は淡路島、西は小豆島までの播磨灘は、美味しい魚が獲れるだけでなく、その魚を食べる人がたくさんいる京阪神地域に近いこともあり、古くから漁業が盛んな地域だったそうです。

港のそばにある岩山、通称「弁天島」には、漁師の守護神とされる弁財天が祀られています。

鳥居には「海神社」とも書かれています。昔、違法な漁をしていた父に対する抗議として、娘が海へ身を投げた際に、この岩山が出来たそうです。その娘の心はまるで弁天様のようだということから、弁天島と呼ばれるようになったと、姫路市のホームページで紹介されています。

こちらは2017年の姫路市の魚種別漁獲量をまとめたグラフ。姫路市全体の統計なので、坊勢島以外で水揚げされた魚介類も含みますが、カタクチイワシやアジ、シラスの漁獲量が多いことが伺えます。また、ノリやカキの養殖も行われています。

どうやら坊勢島が漁業の島となった背景には、「現金獲得手段が漁業しかなかった」ことがあるようです。

こちらは2020年度の国勢調査に基づく坊勢島の産業構成。島民のおよそ半数が漁業に従事していることが分かります。

漁業の島ということで、道端にも漁具がたくさん落ちています。

こちらは『漁網以外入れないでください』と書かれており、漁に使った網専用のごみ箱と思われますが、普通のごみで溢れていました。

港のそばにある恵美酒神社。833年以前の建立とされていますが、詳しいことは分かっていないそうです。小さな島にこれだけ立派な神社があるのも、漁業が儲かっているからでしょうか。島を歩いていても、立派な家が多かった印象を受けました。
家島の産業は採石・海運

景色の綺麗な場所へやって来ました。正面に見えている、白い山肌の島が男鹿島(たんがしま)。花崗岩の採石業で100年以上の歴史を持ち、関西空港や六甲アイランドの埋め立てにも、島の石が利用されました。

約4時間で坊勢島を歩いて1周しました。続いては第三坊勢渡船の船で家島本島へ渡り、この日はそのまま島に泊まります。

船には「与論行」と書かれた貨物がありました。本当に与論へ行く荷物なのか、シールが張られたままなのか… もし与論まで行くなら、一体何が運ばれているのでしょうか。
約10分で家島本島に到着。姫路からの船は島の北部・真浦港に着きますが、坊勢島からの船は島の南部・網手港に着くため、家々や商店などが集まる真浦港周辺まで歩きます。

山を越えて、真浦港の近くまでやって来ました。家島本島も坊勢島と同様、狭い場所に家が密集しており、2020年の国勢調査による人口は約2000人です。

これまでは家島本島の人口が坊勢島を上回っていましたが、家島本島の減少率が高いため、人口の差は年々縮小しています。

こちらは今から約20年前、2000年の国勢調査による家島本島の産業構成。高度経済成長期、家島は男鹿島での採石と、その石を運ぶ海運を中心に栄えました。2000年当時はまだ、鉱業や運輸業の従事者が多く、繁栄の余韻が続いていたことが伺えます。

ちなみに、こちらは私が上陸した網手港の様子。まるで工場のような雰囲気です。

そしてこちらが2020年の国勢調査による家島の産業構成。鉱業や運輸業に従事している人の数は激減しています。公共工事が減り、石の需要が減り、島での仕事が無くなり(基幹産業の衰退)、若者がいなくなる… これが家島の状況のようです。
家島の魚も美味しい!
2000年と2020年の産業構成を比べた時、従事者数は減少している一方で、割合として増加しているのが漁業です。

坊勢島が漁業しかなかった一方で、家島は採石・海運があったので、漁業が中心にはなりませんでした。ちなみに淡路島には、玉ねぎに代表される農業がありました。言い換えると、周辺の地域に漁業以外の産業があったことで、競争が発生せず、坊勢島は漁業を中心にすることが出来たのです。

上の写真とこちらは家島の魚屋さん。路上に獲れたての魚が並んでいます。
生きている魚が泳いでいる水槽もあり、もし欲しい魚がいたら、その場で締めていただき、買うことが出来ます。

魚の干物も吊るされていました。

夜はいえしまコンシェルジュNさんの家に1泊。テーブルには島の魚が並び、豪華な夕食となりました。家島の魚は本当に美味しいです。

翌朝は船の時間まで、港の前にあるカフェへ。こちらでは、Nさんを中心に「週末島活」という取り組みが行われており、この日はたまたま新聞の取材もありました。家島諸島、アクセスも良く面白い島なので、ぜひ1度足を運んでみてください。
★参考:週末島活★

.
今回はここまで。本日もありがとうございました。
★こちらもおすすめ★
コメント