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今回は【2020年→2021年 年末年始の旅】旅行記その17をお届けします。
★前回の記事★
帯広 農業から商業の街へ
2021年1月2日、北海道・帯広からスタート。

雲ひとつない青空。駅前には雪も全くなく、真冬の北海道とは思えないような景色が広がっていました。

帯広は観測史上初、降雪ゼロで新年を迎えたそうです。

ただ気温は-12.5度。最高気温も-5度しかありません。

この日の目的地は札幌!まずは8時55分発、根室本線「新得行」に乗車します。

旭川と釧路の双方から着工された根室本線。帯広ー新得間は釧路方面から建設され、1907年に開業しました。

1両編成の列車に数名だけ乗車した状態で発車しましたが、帯広から新得・新夕張方面の路線は、JR北海道単独でも維持可能な線区に位置付けられています。

帯広市の人口16万人横ばいです。2020年の人口は約16万5千人となっています。帯広の開拓は1883年から、静岡県の民間開拓結社・晩成社を中心に行われました。北海道の定番土産・六花亭製菓の『マルセイバターサンド』の「マルセイ」は元々、晩成社が用いたバターの商標でもあります。

鉄道の開通によって、帯広の農作物の出荷が可能になり、人が集まり、商業も発展したそうです。2020年の国勢調査によると、帯広市は農業をはじめとした第一次産業よりも、第二次産業や第三次産業従事者の割合の方が高いです。

帯広駅を出発してすぐの景色。住宅が並ぶ街並みの向こうには雪山が見えています。帯広は住みやすい街らしく、移住先としても注目が高いようです。とかち帯広空港を利用すると、東京まで直行便で約2時間で行くことも出来ます。

こちらは2020年北海道市町村別農業産出額。帯広市は北海道内で6番目の産出額となっています。隣接する幕別町・清水町・士幌町の産出額も大きいことから、農作物が帯広に集積し、鉄道や飛行機で全国に輸送されていることが伺えます。

根室本線が帯広市内を走る区間は10km程度。

間もなく市街地を抜け、車窓には雄大な自然の景色が広がるようになります。この線区が維持出来るのは、特急列車や貨物列車の利用が多いからでしょう。

しばらくすると地面に雪が積もってきました。

そして出発から約1時間、新得駅に到着すると、地面はすっかり雪に覆われていました。
重心地・新得駅周辺を散策
乗り換えの時間で駅の外を少し散策。

「北海道の重心地」というモニュメントが置かれていました。重心地とは、ここが恐らく「中心」ということ。新得町の観光協会のホームページなどでも「北海道のどまん中」と紹介されています。

ちなみに「北海道のへそ」として有名なのは富良野。富良野は「日本のへそ」を自称する兵庫県西脇市と姉妹都市でもあります。どうやら新得町が北方四島を含んでいるのに対し、富良野は本島だけを切り取った際の中心になるそうです。しかし、GoogleMapに線を引いてみると、果たして本当に新得が重心であるのか微妙です。

マンホールに描かれているのはスキーの絵。新得は東大雪の山々と日高山脈に囲まれており、町にはスキー場がいくつかあります。

駅の入口に除雪用具入れがありました。こうした道具が倉庫ではなく、誰でも使うことが出来る場所に置かれているのは、雪国ならではのことです。

駅前には町営のサウナ・浴場があります。何となく昭和レトロを感じさせる佇まいです。

同じ新得町内にある大雪山系トムラウシ山、その麓にあるトムラウシ温泉のお湯が直送されているそうで、値段も良心的です。残念ながら今回は年末年始休業中で利用出来ず。

新得はNHKの朝ドラ「なつぞら」の舞台になっていたようで、広瀬すず氏の(直筆?)メッセージ付きポスターが掲載されていました。

新得といえばそば!駅のお土産屋さんには様々なそば、そしてつゆが販売されています。新得では開拓期からそばの栽培が行われ、昔から質の高さが評価されているそうです。
根室本線代行バスに乗車
新得は1899年から、山形県東根市出身の方々によって本格的な開拓が始まりました。
帯広から延伸されてきた根室本線は、1907年、新得駅の開業と同時に、その先の落合駅まで開通しました。

こちらは新得駅前にあるSLのフロントと、「火夫の像」と呼ばれる帽子をかぶった男性のモニュメント。

新得駅と落合駅の間にあるのは狩勝峠です。急勾配とトンネルが続く区間で、火夫(SLの石炭を投炭する人)の労力は大変なものだったそうです。輸送を支えた火夫の方の功績を後世に伝えるため、この像が置かれたと書かれています。

鉄道がこの日高山脈の山々を超えることで、十勝平野の農作物を大消費地へ届けることが可能になり、帯広の発展に繋がったとも考えられます。

しかし2021年現在、新得駅から落合駅と、その先の東鹿越駅までは鉄道で行くことが出来ません。2016年の台風で複数箇所で線路上に土砂が流入し、復旧しても、その費用に見合う利用者が見込めないため、放置された状態となっています。

駅の発車案内も「代行バス」となっています。

ということで、こちらの大型バスで約1時間のバス旅。バス前面に出ている団体名は「列車代行様」となっています。駅の目の前にバスが止まるので、迷う心配は恐らくありません。

特に案内もなく、時間になるとバスのドアが閉まり出発しました。この便の乗客は私1人だけ。バス前方の特等席から、車窓の景色を楽しむことが出来ました。

このバスは根室本線の代行バスでありながら、途中にある「十勝サホロリゾート」への無料送迎バスの役割も兼ねてます。利用者の有無に関わらず、リゾートには必ず立ち寄るようです。

また、こちらのバスは、今回の旅で私が利用している「北海道&東日本パス」や青春18きっぷでも、追加料金なしで乗ることが出来ます。

サホロリゾートには20分ほどで到着。ここでも乗ってくるお客さんはゼロでした。
日本三大車窓・日本新八景 狩勝峠へ
ここからバスは「狩勝峠」へと入っていきます。

かつて、峠からの景色は「日本三大車窓」のひとつにも数えられましたが、1966年に新しいトンネル(新狩勝トンネル)が開通してから、その車窓を鉄道から見ることは出来なくなりました。

現在は代行バスという形ですが、一応「根室本線」の一部として、日本三大車窓が見える区間が復活したことになります。

事前の下調べもしていなかったので、どこでその絶景が見えるのか分からず。急に木々がなくなり、眼下に十勝平野の大パノラマが広がりました。

しかし当然バスは止まってくれません。すぐに雪の壁が出てきて…

景色が見えなくなりました。景色が見えたのは1分もありません(笑)

峠の標高は644m。狩勝峠は国道38号線の一部になっており、山頂にはドライブインや展望台もあります。

日本三大車窓だけでなく、日本新八景にも選ばれた狩勝峠からの景色。じっくり楽しみたい場合は車がおすすめです。バスだと本当に一瞬です。ちなみに、新得から向かうと、絶景が見えるのは左側です。
落合駅から東鹿越駅へ

狩勝峠を越えると、新得町から南富良野町へ入ります。

落合駅に到着しました。この駅の開業は、釧路方面からの路線が開通したよりも早い1901年。先に旭川方面からの路線が、落合駅まで到達していたのです。つまり、根室本線が狩勝峠を越えるのには6年かかっているということになります。

ここでもバスに乗ってくる人はいません。ホームへと降りる階段は木の壁で塞がれていました。何だか寂しい光景です。

そしてまたバスは国道38号線を走ります。次に止まるのは幾寅駅です。

幾寅駅は映画「鉄道員」のロケ地として使われた駅で、今も駅舎には、映画の中に登場する「幌舞駅」の看板が付けられています。

映画に登場する列車やセットとしても使われたという「だるま食堂」も保存されています。駅周辺には、他にも映画のセットが残されているそうです。

幾寅駅の次が、このバスの終点・東鹿越駅です。

踏切の標識がありました。

遮断機は外され、線路も雪で完全に覆われています。もうここには5年近く列車が走っていません。そして、再び走る予定もないのでしょう。雪面には動物の足跡も残されています。

新得を出発してからちょうど1時間、東鹿越駅に到着しました。ここからは再び鉄道の旅となります。
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今回はここまで。本日もありがとうございました。
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