島旅ランキングを考察 おすすめは橋で繋がっていない島|観光アイデア教科書 Vol.23

観光アイデアノート

じゃらんより「8/1は島の日!もう一度行きたい島旅ランキング」が発表されました。

しかし、こちらの内容が突っ込みどころ満載だったので、今回は【日本の島】、そして【島旅】について考えます。

8月1日と10月10日は島の日?

まずは8月1日が「島の日」であるということについて。

私はこの日が「島の日」であることを知りませんでした。

日本では、記念日が登録制となっており、誰でも日本記念日協会に申請し、記念日を作ることが出来ます。

そして当協会のホームページでは、日付とキーワードから、「○月×日が何の日であるか」を調べることが出来ます。

しかし、「8月1日」で調べても、「島の日」で調べても、8月1日が「島の日」であるとは出てきませんでした

雑学ネタ帳というサイトによると、8月1日の島の日は、日本で一番離島の数が多い、長崎県が制定した記念日で、「ハッピー(8)アイ(1)ランド」という語呂合わせが由来となっているとのこと。

一方で、8月1日の島の日が、いつ・どういった目的で制定されたかなどについて、長崎県庁からの情報は全く出てきません。

長崎県の島関連の記念日は、「5月10日 五島の日」「9月19日 九十九島の日」のみです。

ちなみに、雑学ネタ帳によると、10月10日も「島の日」となっているそうです。

こちらは「10・10=トウトウ=島々」から来ている記念日であると分かりますが、記念日協会指定の記念日にはなっていません。

もし今後、じゃらんが毎年8月1日に、同じランキングを発表していくとしたら、きっといつしか、8月1日は「島の日」として認知されていくのでしょう。

しかし、今回のリリースのPV数や、メディアでの反応が悪ければ、こうしたランキングが発表されることは、もうないはずです。

調査の目的はじゃらんの予約を増やすこと

今回のアンケートは、選択肢の中から3つまで、もう一度行きたいと思う島を選ぶ形で、2022年の2月にネットで行われたようです。

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じゃらんが、こうした調査を行う目的は、じゃらんを通じた予約を増やすため。

残念ながら、アンケートの選択肢に、どこの島が入っていたのかは不明ですが、じゃらんに宿泊施設や体験の登録がない島は、選択肢から除かれていたものと思われます。

この結果を見た人が、ランクインされている島に興味を持ち、「行ってみたい」となった時に、じゃらんを通じて宿泊や体験の予約をしてくれればいいのです。

そして今回、約1500人の回答者に選ばれた、もう一度行きたいと思う島、ベスト5がこちら。

淡路島・宮古島・江の島・小豆島・瀬戸内しまなみ海道の順となっています。

これらの島々には、やはり、じゃらん掲載宿泊施設・体験事業者があります。

なお、上の表では、江の島の宿泊施設数はゼロとなっています。

じゃらんは、サイト内で宿泊施設や体験を、エリアから探す設定が優先されています。淡路島・宮古島・小豆島・瀬戸内しまなみ海道は、ひとつのエリアとして表示されますが、江の島は表示されません。

これは東京近郊の日帰り来訪者が多かったり、鎌倉に泊まる人が多かったりという背景があると思われます。

しかし、遊び・体験では、「江ノ島駅」という設定があり、そちらで検索をすると、164件の体験事業者が出てくるため、今回のアンケートでも、選択肢として入ったのでしょう。

そのため、私が一番好きな島・小笠原諸島も、アンケートの選択肢には入っていなかったものと思われます。

小笠原諸島は宿も多く、旅行者の8割が何らかの体験に参加するとも言われていますが、じゃらんに掲載されている宿泊施設や体験はゼロだからです。

そもそも島とは?日本の有人島一覧

そもそも「」についても、今一度定義を考える必要があります。

じゃらんの記事のリード文には「大小問わずたくさんの島々・離島が存在する日本」とあります。

それでは一体、日本にはどれだけの数の島があるのでしょうか。

こちらの表は、令和4年4月に、国土交通省国土政策局離島振興課が作成した「離島の現状と取組事例について」という資料から引用したもの。

北海道・本州・四国・九州・沖縄本島を含み、日本には6852もの島があり、それらは大きく、人が居住する【有人島】と【無人島】に分けられます

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そこからさらに、有人島は【法対象】と【法対象外】に分けられます。

有人島の数は416とありますが、これらの島の一覧は、私が調べたところ出てきませんでした

そこで、今回、国土交通省から出ていた「離島振興対策実施地域一覧」と、離島経済新聞社がまとめていた「有人離島一覧」から、オリジナル有人島リストを作成しました。

離島振興法の対象になっている254の有人島については、国土交通省の一覧から確認することが出来ますが、法対象外である113の島は、どの島が該当するのか分かりませんでした。

例えば、離島経済新聞の有人離島には、沖縄県の「前島」「オーハ島」「外離島」が入っていますが、沖縄県のホームページを見ると、これらの3島は【無人島】に分類されています。

また、鹿児島県のホームページには、鹿児島の有人離島は26であると書かれており、九州と橋で繋がった島はカウントされていません。

こちらは沖縄県のホームページですが、※に注目すると、人が住んでいる無人島もあるようです(笑)

つまり、有人島の数については「諸説あり」というのが、認識として正しいのかもしれません。

ちなみに、完成したオリジナル有人島リストがこちら。

417の有人島をまとめることが出来ました。

今回は、こちらのリストにある「区分」や、離島振興法については言及しませんが、「法外」となっている島は、淡路島や江の島のように、本土と橋で繋がっている場合が多いです。

島を旅している人に話を聞くと、これまで上陸した島の数に、橋で繋がっている島をカウントしていない場合が多いです。

沖縄の池間島・伊良部島・来間島も、宮古島と橋で繋がっているため、橋を渡って全ての島に上陸しても、上陸した島の数としてカウントされるのは1です。

私もこれまでそのつもりでしたが、一方で、軍艦島や巌流島など、無人島も上陸した島数にカウントしていました。

★参考:巌流島旅行記★

そこで今回、作成したリストを基に、改めて上陸した島の数を数えると(表の右、「上陸した島」)、102となりました。

ぜひ皆さんも、こちらのリストを活用し、上陸したことのある島を思い出してみてはいかが。

■有人島リスト ダウンロード

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有人島の数が最も多い都道府県は長崎県で、その数は72となりました。

ひたすら島数を稼ぎたいという場合は、長崎県を攻めるのがおすすめです。

ただし、観光客が手軽に上陸出来る島ばかりではありません。例えば、海栗島は、島全体が自衛隊の基地となっています。

島を訪れる際は、現地の迷惑にならないように、入念な下調べが必要です。

そして、調べてもなかなか情報が出てこないのが、島旅の難しいところであり、面白さでもあります。

橋で繋がっていない島がおすすめ

じゃらんのランキングでは、ベスト5のうち3つの島が、本州と橋で繋がった島でした。

しかし、島旅に興味がある人へ、個人的におすすめしたいのは、「橋で繋がっていない島」です。

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その理由は、今しか出来ないと思うから。

離島は人口減少・高齢化が特に著しい地域です。島に住む人が少なくなれば、島へ渡る船の運航が難しくなります。

船が無くなれば、島民は外へ出ざるを得なくなり、観光で訪れるハードルも一気に上がります。

今でも、無人島が6千以上あるのに対し、人が住む、橋で繋がっていない島は、300ほどしかないのです。

これからますます、有人島は貴重な存在となっていくはず。

人が住むから、そこには文化があり、島ごとの個性が感じられます。

音を聞いて、生活を感じながら、島を歩くというのも、今しか出来ないことです。

一方で、収益目的のメディアが、「知られざる場所(島)」を特集することは、ほとんどありません。

ネットを通じて、旅行者が自分で情報を探す時代、知られざる場所を紹介しても、検索する人がいないので、PV数や収益を上げることが出来ません。

今回じゃらんが発表した「もう一度行きたい島旅ランキング」も、夏休みに向けたマーケティング戦略です。

とはいえ、ベスト5のうち3つが、「橋で繋がっている島」となったのは、離島への関心の低さや、島旅経験の少なさが露呈された結果とも言えるでしょう。

知られざる、本当にいい島をネット上から見つけるのは、なかなか難しいです。

島旅に興味がある人は、地図(グーグルマップ)を見たり、人から話を聞いたりするのがおすすめです。

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島の自然や景色、何気ない時間だったり、偶然発生する島民の方の交流だったり、「島っていいな」と感じる瞬間は人それぞれ。

島に行ってみないと分かりません!

ということで、まずはこの夏、船に乗って、橋で繋がっていない島に訪れてみてはいかが

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今回はここまで。本日もありがとうございました。

★島旅初心者におすすめ★

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