瀬戸内のラピュタ?小島(愛媛県今治市)に上陸!芸予要塞の島を歩いて観光|2024 旅行記3

島旅

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今回は「2024年 年末 青春18きっぷの旅」その3をお届けします。

★前回の記事は こちら ★

芸予要塞の島・小島(愛媛県今治市)に上陸

2024年12月29日、来島(愛媛県今治市)を1時間歩いて観光した後、続いて上陸するのは小島(おじま)です。

来島から小島までは1kmも離れていません。定期船・くるしまで5分もかからずに渡ることが出来ます。

11時20分、小島に上陸。港のそばには昭和37年(1962年)に建設された「瀬戸内海国立公園 小島」の記念碑がありました。この石碑も60年以上前のものですが、他にも島内には昔の遺構が多く残されています。まさに『時が止まった島』といえるでしょう。

島にあった案内板によると、来島海峡の中央に位置する小島は周囲約3km、標高100mの島で、来島海峡の観潮や海水浴、キャンプ、磯釣などで親しまれているとのこと。しかし、GoogleMap上には道がほとんどありません

島内には約1.8kmの遊歩道が整備されており、14時35分の船までの約3時間で歩いて観光することにしました。今回は遊歩道を反時計回りに1周してみます。なお、一人旅でも、事前に予約をすると、今治市のボランティアガイドさんが島内を案内してくれるそうです。

港のそばにある大砲の正体

小島はかつて芸予要塞を構成した拠点のひとつ。

島に上陸すると、さっそく『28cm榴弾砲』のレプリカが目に入ります。NHKドラマ「坂の上の雲」の撮影用に制作されたもので、小島がこの大砲にゆかりのある地であることから、寄贈された経緯があるそうです。

1904年2月、日露戦争が勃発すると、国内に築かれていた海岸要塞の28cm榴弾砲が旅順などに移送されました。小島から運び出された6門のうち2門は、旅順要塞の攻撃に投入されたと伝えられています。

■参考:日露戦争が勃発した経緯

砲台跡や兵舎跡、弾薬庫跡など、島内各所に配置された施設の多くが当時の姿のまま残されており、自由に見学することが出来ますが、イノシシやスズメバチには注意が必要です。

実際、港近くの民家では、屋根の軒下に大きなスズメバチの巣が作られていました。

島の人口と産業

港周辺には民家が並んでいますが、2020年の国勢調査には「今治市小島」の統計が掲載されておらず、現在の人口や産業は把握することができません。

建物や道路の佇まいを見る限り、完全な無人島ではなさそうです。

現役の郵便ポストもありました。

こちらは港のそばに建つ「小島観光休憩所」。レンガ造りの要塞を思わせる外観の建物です。

休憩所の掲示板には、釣り客を中心に一定数の観光客が訪れていることが分かる情報が並びます。

かつて設置されていた砲台の写真も掲示されていました。

こちらは団体旅行客が船の乗船を待つための場所。ただ、この日私が島内を歩いた際に出会った観光客らしき人は、ほんの数人だけでした。

そして、休憩所には自動販売機も設置されています。商店や売店はないので、この島で唯一お金を使うことが出来る場所です。

瀬戸内のラピュタ?島を歩いて観光する

港周辺の紹介はここまで。

まずは海沿いの遊歩道を進みます。海側には柵がなく、山側の木々が遊歩道に垂れかかっており、「本当にこの道で合っているのか」と不安になるような雰囲気です。ですが、この道で間違いありません。

そのまま5分ほど歩くと看板がありました。まずは『北部砲台跡』を見学します。

案内板によると、小島北東部に位置する北部砲台には、24cm加農砲4門と軽砲4門が配備されたほか、発電所・兵舎・浄化槽・探照灯などが造られ、1902年2月に竣工したとのこと。

1920年の要塞整理方針に基づき、大分県では豊予要塞の工事が始まると、芸予要塞は不要とされ、1924年に廃止となります。その後、芸予要塞は当時の波止浜町(現・今治市)に払い下げられ保存が図られました。

要塞としての稼働期間が短かったことから、明治時代の沿岸要塞跡としては完形に近い状態で残されている点が特徴として紹介されています。

■参考:明治時代の要塞について

第1次世界大戦と第2次世界大戦の狭間にあたる時期に廃止され、「保存」が選択された芸予要塞。飛行機が主力となりつつあった当時の戦術に、既存の要塞設備が対応できなくなっていたことが背景にあると考えられます。

芸予要塞の築造からちょうど100年。静かな佇まいにはどこかノスタルジーが漂い、まるでジブリ作品の世界に迷い込んだかのような雰囲気が感じられます。「瀬戸内のラピュタ」と言えるかもしれません。

■参考:東京湾のラピュタ島・猿島へ

北部砲台跡の他にも、島内には複数の遺構が綺麗な形で残されています。なぜこの小さな島に要塞が築かれることになったのか。次回は芸予要塞の歴史をご紹介します。

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今回はここまで。本日もありがとうございました。

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