世界6大猫スポット 相島(福岡県)へ!「猫の島」というイメージと現実|2025 旅行記13

島旅

ブログをご覧いただきありがとうございます。

今回は「2024年 年末 青春18きっぷの旅」その13をお届けします。

★前回の記事は こちら ★

世界6大猫スポット 相島(福岡県)へ

2025年12月31日の9時頃、この日は福岡県に8つある有人島のうちのひとつ・相島へ渡るため、新宮港(福岡県新宮町)にやって来ました。

相島は2013年に米メディアCNNから「世界6大猫スポット」として認定されたことをきっかけに、『猫の島』として海外からの旅行客も多く訪れているようです。まずはこちらで船の乗船券を購入します。

■参考:田代島(宮城県)も世界6大猫スポットに認定された

お、さっそくロッカーの上に猫がいました。猫が目的でここまで来て、いきなりこうしてお出迎えしてくれるのは、たまらないことでしょう。

建物の入口には「猫を建物内に入れないでください」という掲示がありました。ロッカーの上にいた猫も飼い猫ではなく、どこからか勝手に入って来たのだと思われます。

乗船する船は9時20分発、この日の第2便です。相島までは約20分の船旅。この写真では空席が多いですが、この後ほぼ満席になって出港しました。

そして相島に上陸。周囲から聞こえてくる会話を耳にすると、日本人は少なく、東アジアからの観光客が多い印象を受けます。2013年度に約10万人だった定期船の乗船者数は、2019年度には約20万人へと増加。コロナ禍後も観光客が戻り、2023年度の乗船者数は17万人を超え、臨時便が出ることもあるそうです。

■参考:1

■参考:2

猫に餌を与えていい?

船から降りた人々が散っていった後も、道路にしゃがみ込んでいる3人の姿がありました。

おっと、猫に餌を与えています。これは一般的に良くないとされる行為で、例えば岐阜県のホームページには「飼い主のいない猫(野良猫)に餌を与えている方へ」という記事があります。そこに書かれている内容は以下の通り。

  • 野良猫のためを思って餌を与えることが、結果として不幸な野良猫を増やしてしまうことにつながる
  • 餌を与えている野良猫が近所の迷惑となっているかもしれない
  • 猫に餌を与えるときに守るべきルール

一方で猫の方も人に観光客に慣れており、逃げたりする素振りは一切見せません。

港から歩いて数分の場所にある船の待合所にも猫の姿があり、観光客が建物の周りにたむろしています。

建物の中にも猫がいました。

そして、そこに掲示されていた案内によると、相島ではキャットフードであれば、猫に与えてもよいというルールになっているようです。

こうした注意書きが4か国語で書かれていることからも、外国人観光客が多いことが伺えます。

「猫の島」というイメージと現実

相島は、もともと「猫の島」だったわけではありません。

道路の真ん中で猫とふれあう観光客

漁網を荒らすネズミ対策として飼われていた猫が、島の人口減少により十分な管理を受けられなくなり、その結果として数が増えていったにすぎません。つまり、当初から観光を意識した意図や、島としてのブランド戦略があったわけではありませんでした。

■参考:3

カーテンを開ければ観光客がいる状況

転機となったのは、島外から向けられた視線です。CNNによって「世界6大猫スポット」と紹介されてからは、SNSなどを通じて「猫が多い島」として、断片的に切り取られた相島の姿が拡散。この時点で相島は、実態とは異なる意味を背負うことになります。

診療所の柵の中にも猫

「猫の島」という言葉には、猫が大切にされ、島の暮らしと調和して共存している場所である、という前提が含まれがちです。しかし実際には、不妊手術をしていない猫が増え続け、十分なエサも行き渡らず、島民にとっては対応に苦慮する存在となっていました。

つまり相島は、島の内側から自然に「猫の島」になったわけではありません。外部のまなざしやメディアによって、後天的にそう定義された島だったと言えます。そもそも、日本の離島には猫の多い島が数多く存在します。その中で、なぜCNNが相島を選んだのか。その理由はいまもはっきりしません。

■参考:田代島の横にある網地島も猫の島

「猫の島」という分かりやすい記号が、観光地としてのイメージを先行させ、その裏側にある生活の場としての課題や、猫の管理の問題も、しばらく見えにくいまま置き去りにされていました。

ただし、このラベリングが負の側面だけをもたらしたわけではありません。イメージと現実の乖離が大きかったからこそ、批判と同時に支援の動きも広がりました。不妊手術や管理体制の整備へとつながっていったのは、その結果でもあります。

観光のあり方をめぐる課題

一方で、観光のあり方をめぐる課題はいまも残されています。

多くの観光客は船着場周辺で猫と触れ合うだけで、30分後の便で帰ってしまうケースも少なくありません。今回私も滞在時間は1時間のみ。島にいる間は1円も使っていない…というよりも、お金を使う場所が無かったです。また、猫が多いのも船着場周辺なので、あまり遠くへ行く必要がありません。

その一方で、公共トイレの維持費などは住民側の負担となり、一部の観光客による住宅敷地への無断立ち入りや、島猫への過度な餌やり、釣り客によるマナー違反なども散見されています。いわゆる「オーバーツーリズム」の問題です。

相島の事例は、「猫の島」という呼び名そのものを問い直すものでもあります。それは必ずしも、島の意思や暮らしの積み重ねから生まれた名称ではなく、外部の視線と消費されやすいイメージによって与えられたものでした。

猫の数が増えた結果、島は注目されました。しかしその注目は、島の生活全体を理解したうえで向けられたものではなく、「猫がいる」という一点に集約されたものです。観光客が短時間で島を訪れ、ほとんど消費を伴わずに去っていく構造は、島にとって歓迎しがたい側面も持っています。

戦略的に観光地になったのではなく、よそ者の視点によって日常が非日常へと切り取られた結果、準備不足のまま観光地化してしまった島が、そのイメージとどう向き合い、どこまで受け入れ、どこで線を引くのか。これは相島に限らず、偶然注目を集めてしまった多くの地域に共通する課題でもあります。

.

今回はここまで。本日もありがとうございました。

.

コメント

タイトルとURLをコピーしました