五能線で東能代駅から白神山地・十二湖へ!観光客に人気の絶景路線の歴史|2023 旅行記1

秋田県

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今回は「2023年 夏 青森・北海道旅行記」その1をお届けします。

深夜バスで新宿から秋田駅へ

2023年8月10日の22時半、バスタ新宿へやって来ました。

お盆休み直前ということで、待合室は大きな荷物を持った旅行者で混雑しています。ベンチはたくさんありますが、空いている場所を見つけるのは難しいので、繁忙期はバスの出発時間直前に到着するのがおすすめです。

私が乗車するバスは22時50分発の秋田駅行き。バスタ新宿に到着したのは出発の20分前でした。

バスは満席の状態で、定刻通りに新宿を出発。間もなく首都高速道路へ入りました。秋田駅到着は翌朝8時半。言うまでもなく、今宵はバスで一晩を過ごします

出発から約2時間で最初の休憩。現在地を確認すると中郷SA(茨城県)!? バス出発時に案内放送などはありませんでしたが、東北道を北上すると思っていたので、常磐道にいるのは予想外でした。

その後も2時間おきに休憩を挟みながら、途中で盛岡駅を経由し、定刻通り秋田駅に到着。Uターンラッシュの渋滞に巻き込まれ、遅れることも覚悟していましたが、常磐道への迂回によって回避することが出来たのでしょう。

ここからは鉄道の旅。秋田駅の改札前には、新幹線から降りてきた帰省客を撮るため、テレビ局のカメラが数台待機していました。

観光客に人気!五能線乗車

この日は日本海沿いを走るローカル線・五能線に乗り、世界自然遺産・白神山地を散策した後、青森県深浦町の名所・黄金崎不老ふ死温泉まで移動します。

まずは9時44分発、奥羽本線の普通列車に乗り東能代駅へ。

天気は快晴!車窓には一面のあきたこまち。夏を感じさせる田んぼの緑が広がります。

秋田駅出発から約1時間で東能代駅に到着しました。この駅が五能線の起点。東能代駅から奥羽本線は内陸へ、五能線は日本海沿いを走り、それぞれ青森県・弘前方面へと向かいます。

五能線開業の歴史

東能代駅の開業が1901年であるのに対し、お隣の能代駅の開業は1908年。

米代川河口という立地を生かし、舟運・海運の基地として発展してきた能代。先に開業した東能代駅が能代市街地から離れた場所に位置している背景には、能代港を中心とした海運の衰退に懸念があったようです。

■ 参考:1

■ 参考:2

秋田駅にて

1905年に青森~弘前~弘前~東能代~秋田~山形~福島を結ぶ奥羽本線が全線開業すると、やはり米代川の舟運は廃れ、それと同時に産業も鉄道沿線に移り始めました。そこで改めて鉄道誘致運動が起こり、1908年に東能代駅ー能代駅間が開業。現在の五能線に至ります。

五能線の「能」が能代であるのに対し、「五」は五所川原(青森県)に由来するものです。1918年、五所川原駅ー川部駅間に私鉄「陸奥鉄道」が開業。Wikipediaには、五所川原と能代を結ぶ路線が鉄道敷設法(1892年)の予定路線だったとあり、これを引用したとみられるネット記事も散見されますが、五能線は予定路線に指定されていません

陸奥新報によると、青森・秋田両県の国会議員や県会議員など、関係者が国へ鉄道敷設の請願を提出したことで、五所川原駅ー能代駅間の建設が決定。1927年に陸奥鉄道の経営は国へ移管され、東能代駅ー川部駅間(全長147.2km)が全線開通したのは1936年のことでした。

絶景路線として人気に

東能代駅から五所川原駅までの間にある沿線自治体は八峰町・深浦町・鯵ヶ沢町・つがる市のみ。

この4市町を合わせた人口推移がこちら。五能線は「儲かるから」建設されたのではなく、地域活性化のために建設された路線であることが伺えます。しかし、沿線人口はグラフの通りなので、現在は赤字路線です。

■ 参考:鉄道建設と地域活性化

また、海沿いを走るため災害の影響を受けやすく、今回も前日まで一部区間がバス代行となっていました。さらに冬は大陸から吹く季節風の影響で頻繁に運転を見合わせています。

リゾートしらかみ 橅編成

それでも廃止の議論が起こらないのは、五能線がJR東日本管内随一の絶景路線として人気を集めているからでしょう。1990年から観光列車「ノスタルジックビュートレイン」の運行が始まり、1993年に白神山地が世界自然遺産に登録されたことも追い風となりました。

1997年には全車指定席の快速列車「リゾートしらかみ」が運行を開始。五能線には多くの観光客が訪れるようになり、この日もリゾートしらかみ3号は満席の状態でした。

JR東日本の資料より

一方で、観光客がメインということは、コロナの影響を大きく受けている路線でもあります。コロナ前はJR東日本管内のローカル線の中で上位の利用者数を誇っていた五能線ですが、コロナ以降は大幅に減少していることがJR東日本の資料からも分かります。

また、リゾートしらかみが旅行の目的地になってしまい、秋田駅から青森駅まで乗り通す乗客が多いと、沿線地域は観光の恩恵を受けることが出来ません。有名になっても地域活性化にはならないことの典型です。

東能代駅から白神山地の玄関口・十二湖駅へ

私が乗車するのは東能代駅を10時43分に発車する弘前行きの普通列車。歴史的背景からも、東能代駅から出ている五能線の普通列車のおよそ半数が能代行きで、弘前まで直通する列車は1日に片手で数えるほどの本数です。

能代駅から先はほとんどの駅が無人駅で、切符を買うことが出来ず、SuicaなどのIC乗車券を利用することも出来ません。

乗車時に整理券を取り、下車時に列車内の運賃箱で精算という、バスのような仕組みとなっているため、車内には運賃表も表示されています。

この列車には十二湖駅まで乗車します。出発してしばらくすると日本海が見えてきました。

左手には海、右手には木々の緑が広がる大自然の中を走ります。普通列車も乗客はほとんど観光客。皆さん窓の外にスマホやカメラを向けて、景色を楽しんでいました。

岩館駅が秋田県最後の駅。白神山地は約13万haに及ぶ広大な山地帯の総称であり、車窓の右手に見える山々はすでに白神山地の一部。ひとつ手前の「あきた白神駅」では、リゾートしらかみ3号の到着に合わせてブナ林ガイドツアーなども行われています。

東能代駅から1時間弱で十二湖駅に到着。ここは白神山地の玄関口のような駅で、下車する人も多いです。次の弘前方面行き普通列車は5時間半後の17時49分。それまで私もしばし白神山地を観光します。

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今回はここまで。本日もありがとうございました。

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