日本に吹く風と海流~偏西風・ジェット気流・季節風の関係とは|観光アイデア教科書 vol.22

観光アイデアノート

羽田空港から那覇空港までの所要時間は約2時間45分。一方で那覇空港から羽田空港までの所要時間は2時間半前後と、羽田→那覇よりも15分ほど早く到着します。これは上空に吹く「偏西風(ジェット気流)」の影響です。偏西風は海流を引き起こすため、船の運航にも影響を与えることがあります。今回は日本に吹く風と海流の関係をまとめました。

偏西風とは何か

」とは、気圧が高い(=空気が重い=高気圧)場所から、気圧が低い(=空気が軽い=低気圧)場所へ、空気が移動する現象です。

空気には、以下2つの特徴があります。

  • 空気は温められると軽くなって上昇し、冷やされると重くなって下降する
  • 空気は高いところから低い場所に移動する

赤道付近で温められて上昇した空気は、上空で南北の極方面に向かって流れます。この時に赤道付近で形成されるのが低気圧(熱帯収束帯)です。

上下にある矢印は自転の向き

こちらは地球を北極の真上から見た図。赤道付近の地点Aで温められた空気は上昇し、北極方面へ向かいます。

2時間後、上空の空気は引き続き直線的に北極へ向かっていますが、地球が自転しているため、空気の出発地点Aもまた移動しています。

4時間後
8時間後

4時間後と8時間後の空気と地点Aの位置関係はこの通り。A地点から見ると、空気は右に曲がりながら移動しているように見えますが、空気は直線運動を続けています。北半球を南北に移動する物体は右方向に、南半球を移動する物体は左方向にカーブする(見せかけの)力が働いているのです。

この見せかけの力を「コリオリの力(転向力)」と言います。赤道付近で上昇した温かい空気は、この図の通り大きく右にカーブするため、北極まで到達することはありません。

赤道付近で上昇気流が発生する一方で、極付近の空気は冷やされて重くなるため、下降気流が発生します。この時に極付近で形成されるのが高気圧(極高圧帯)です。下降した空気は地表に沿って赤道方面へと流れ、60度付近で赤道方面からの温かい空気とぶつかります。

密度の小さな(=軽い)温かい空気が上昇することで、低気圧(亜寒帯低圧帯)が形成され、上昇した空気は極方面と赤道方面に移動。

熱帯集束帯&亜寒帯低圧帯という2つの低気圧の間に形成されるのが高気圧(亜熱帯高圧帯)です。赤道付近で上昇した空気は、緯度が上がるとともに冷えて重くなり、30度付近で下降気流となります。亜寒帯低圧帯から流れてくる空気も、この下降気流に合流します。

亜熱帯高圧帯で下降した空気は熱帯集束帯と亜寒帯低圧帯へ移動。この時、亜熱帯高圧帯から熱帯集束帯へ向かう空気を「貿易風」、亜寒帯低圧帯へ向かう空気を「偏西風」と呼びます。

もちろん、貿易風や偏西風にもコリオリ力は働くため、北半球における貿易風の風向きは「北東」、偏西風は「西」となります。なお、北極から亜寒帯低圧帯へ向かう北東向きの空気は「極偏東風」と呼ばれます。

ジェット気流とは何か

上下にある矢印は自転の向き

こちらは再び地球儀を真上から見た図。同じ経度上に静止している物体Aと物体Bがあります。3時間後の状態がこちら。

上下にある矢印は自転の向き

地球は24時間で360度回転するため、1時間で360度÷24時間=15度回転し、物体Aと物体Bはそれぞれ45度移動し、変わらず同経度上にあります。つまり、物体Aの方が長い距離を速く移動しているのです。

地球上で東西方向に動く2つの物体がある場合、低緯度地域にある物体の方が高速で移動しており、この速度が高緯度地域に移動しても維持されることを「角運動量保存則」と言います。そして。この原理によって生じるのがジェット気流です。

熱帯収束帯から亜熱帯高圧帯へ向かう空気と、亜熱帯高圧帯から亜寒帯低圧帯へ向かう空気は、コリオリ力で大きく右にカーブし、それぞれ「亜熱帯ジェット気流」「寒帯前線ジェット気流」と呼ばれます。ジェット気流は上空へ行くほど強くなり、航空機の運航に影響を与えているのです。

これらの風は「恒常風」と呼ばれ、季節などにより強弱はあるものの、基本的に絶えることはありません。そして、恒常風によって引き起こされるの現象のひとつが「海流」です。

参考

日本に吹く風と海流の関係

こちらは気象庁のホームページより『海洋の循環』の図。日本近海に影響を与えるのは、北半球の亜熱帯循環です。解説によると「海洋表層の循環は、主に海上を吹く風が海面に及ぼす力(風応力)によって駆動されており~」とのこと。

気象庁ホームページより\

しかし、ここで注目すべきは『八丈島』における年間の風向き。北緯33度に位置する八丈島では、年間を通じて偏西風(=西風)が吹いているはずですが、9月と10月は東北東の風が吹いています。

北緯32度から北緯38度に位置する福江島(五島列島)・隠岐諸島・佐渡島もまた、偏西風の影響で年中西風が吹いているはずですが、夏の風向きは各地でばらばらです。

最後は北緯41度から45度に位置する北海道(函館・留萌・稚内)。こちらは夏も冬も風向きがばらばらであるため、地表付近に偏西風が吹いているとは言い難いです。

1月
8月

各地の風向き(1月と8月)をまとめるとこの通り。風向きに統一感はなく、様々な要因によって風が吹いている様子が伺えます。一方、海流は年間を通じて流れの向きが変わることはありません。果たして、本当に風は海流に影響を与えているのでしょうか。

■ 参考:冬の沖縄は北風が吹いて寒い

季節風が偏西風に優る

ここで注目すべきは北海道の函館と稚内。夏と冬で風向きが真逆です。

冬の時期、ユーラシア大陸内陸部では、冷えて重くなった空気が下降し、「シベリア高気圧」が形成されます。日本付近では、寒気と暖気がぶつかる前線が南下。いわば、亜寒帯低圧帯が南下したような状態となります。

こうして形成されるのが有名な「西高東低の冬型の気圧配置」。アリューシャン低気圧は亜寒帯低圧帯で形成される低気圧のひとつです。

2022年12月18日、冬型の気圧配置が強まった日本の天気図に、「風」を書き加えたのが上記の図。高気圧と低気圧の気圧差が大きいと風も強くなります。日本の冬はこうした状態が多いのです。

一方、夏は暖気の範囲が広がり(=亜熱帯高圧帯が北上)、日本付近は小笠原高気圧に覆われるため、この高気圧から周辺の低圧部に向かって風が吹きます。冬に比べて高気圧と低気圧の気圧差が小さく、風は穏やかです。

■ 参考:日本の冬が寒く、夏が暑い理由

日本海側に大雪を降らすのも季節風の影響

このように、季節によって決まった向きに吹く風を季節風と言います。そして、偏西風が地上で感じられないのではなく、「日本の地表付近では季節風が偏西風に優る」という認識が正しいようです。

季節風の影響が無い地域では、地上や海上でも偏西風が感じられると思われます。また季節風が吹く地域でも、緯度が30度から60度付近の上空では偏西風が吹き、赤道周辺では貿易風が吹いているため、海流は年間を通じて一定方向に流れているのです。

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今回はここまで。本日もありがとうございました。

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