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今回は【2021年→2022年 年末年始の旅】その8をお届けします。
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海上荒天で船が欠航
2021年12月31日の朝7時、「津なぎさまち旅客船ターミナル(三重県津市)」にやって来ました。
港の別名は「空港アクセス港」。今回はここから津エアポートラインという船に乗り、伊勢湾に浮かぶ中部国際空港(セントレア)へ渡ります。
鉄道や車を利用した場合、伊勢湾岸を迂回するため、津から中部国際空港までは1時間半近くかかりますが、船の場合は約45分。運賃は片道2,980円です(2024年4月現在)。
三重県だけでなく、三重県に隣接する岐阜県・滋賀県・京都府・奈良県にも空港がありません。2005年に運航を開始したこの航路は中部国際空港と三重県、そして関西を結ぶ役割を果たしています。
しかし、この日は海上荒天により朝の時点で終日欠航。船に乗船することは出来ませんでしたが、とりあえず窓口で「乗船記念」と書かれた御船印をゲット。私も急いではいなかったので、経路を変更して中部国際空港を目指します。
まずは津なぎさまち旅客船ターミナルから40分ほど歩いて津駅へ移動し近鉄に乗車。しばし三重県の伊勢湾沿いを南下した後、やって来たのは鳥羽です。
鳥羽駅の前に立っていたのは、真珠ブランド「ミキモト」の創業者・御木本幸吉氏の銅像。鳥羽で生まれた御木本氏は、1893年に世界で初めて真珠の養殖に成功し、鳥羽やミキモトの名を世に広めた人物です。
その軌跡や真珠についてはミキモト真珠島で詳しく知ることが出来ますが、今回は立ち寄る時間がありません。伊勢湾フェリー乗場へ急ぎます。
海上国道 伊勢湾フェリー乗船
ここから先は伊勢湾フェリーで伊良湖(愛知県)へ。伊良湖からは名鉄海上観光船で知多半島へ渡った後、名鉄電車で中部国際空港まで移動する計画です。
船が見えました。私が鳥羽駅に到着したのは9時10分で、この船の出港は9時30分。駅から港までは約1km離れているので、間に合うかどうか微妙なところです。
途中にあった鳥羽水族館も有名な観光地ですが、もちろん立ち寄る時間はありません。
小走りで何とか乗船時間に間に合いました。
フェリー乗り場にはお土産屋さんも併設されていましたが、船の出港直前のため人はほとんどいません。
鳥羽から伊良湖へ
出港時間ギリギリでも、まだ車の積み込みが行われていました。かつては鳥羽駅ー中部国際空港間の空港連絡リムジンバスを乗客ごとフェリーに積載し、空港に近い常滑港へ向かう便もあったようです。
ということで、伊勢湾フェリー「伊勢丸」に乗船。2024年4月現在、伊勢湾フェリーは「伊勢丸」「鳥羽丸」「知多丸」の3隻で運航されており、2005年就航の伊勢丸が最も新しい船です。
船内には雑魚寝スペースと椅子席があります。
追加料金を支払うと特別室を利用することも出来るようです。
船内では伊勢のお土産も販売されていました。
そして、船内受付で御船印もゲット!
伊勢丸は鳥羽港を出港しました。鳥羽から伊良湖までは片道1,800円(2024年4月現在)、約60分の船旅です。
荒波と風で揺れる船
名道と近鉄の折半出資により設立された伊勢湾自動車運送船株式会社が、鳥羽ー伊良湖間で定期船の運航を開始したのは1964年のこと。1973年に商号が伊勢湾フェリー株式会社へ変更されました。
この航路は、和歌山県和歌山市から静岡県浜松市へ続く国道42号線と、三重県鳥羽市から愛知県浜松市へ続く国道259号線の海上区間にもなっています。静岡県や愛知県東部から紀伊半島へ向かう場合、伊勢湾フェリーを利用すると伊勢湾岸を走るよりも大幅なショートカットが可能です。
正面に見えているのは答志島。周辺は伊勢志摩国立公園に指定されており、伊勢湾フェリーからも複雑に入り組んだリアス式海岸の地形や、様々な島々を見ることが出来ます。
ただ、この日は風がとにかく風が強く、立っているのもやっとの状態。船の揺れも大きくなってきたので、間もなく船内へ避難しました。
就航から約60年、様々な荒波を乗り越えて来た航路ですが、2010年3月に一度【航路廃止】の手続きが行われています。利用客の減少と燃油費の高騰で経営環境が悪化していたところに、高速道路料金の無料化が追い打ちとなったようです。
しかし、伊勢湾フェリーの廃止に待ったをかけたのが鳥羽市と伊良湖側の愛知県田原市。観光をはじめ、物流、地域間交流、環境負荷の低減、災害時等における代替輸送機能等に大きな役割を担うとともに、国道の一部としても位置づけられるなど、高い公益性を有していることから、航路存続に向けた動きが取られました。
最終的に伊勢湾フェリーは航路廃止届を取り下げ、2010年10月から新体制での経営がスタート。親会社だった名鉄と近鉄が撤退し、当時の伊勢湾フェリー経営陣と愛知県・三重県・田原市・鳥羽市が株式を保有しながら、現在まで事業を継続しています。
■ 参考:1
そして船はここまでの荒波が嘘のように穏やかな伊良湖港へ定刻通り入港。
伊良湖(愛知県田原市)に到着しました。
ここで名鉄海上観光船に乗り換えて、河和港(知多半島)へ渡り、名鉄電車で中部国際空港まで移動するつもりでしたが…
津エアポートラインに続き、名鉄海上観光船も欠航!この強風であれば仕方がありません。伊勢湾フェリーが強すぎたのです。ここでまた計画の変更を強いられることとなりました。
伊良湖岬から路線バスで豊橋へ
伊良湖は3方を海に囲まれた渥美半島の先端部分。南には航路が無く、北へ向かう航路は絶たれたので、もう一度伊勢湾フェリーで西へ戻るか、路線バスで東へ移動するしかありません。今回は路線バスで東に向かい、豊橋駅から名鉄で中部国際空港を目指すことにしました。
バスの出発まで時間があったので、伊良湖港のターミナルを散策。こちらは誰でも弾くことが出来るグランドピアノ。他にもお土産屋さんなどがあります。
伊良湖岬は明治時代の詩人・島崎藤村の「名も知らぬ、遠き島より流れ寄るやしの実ひとつ…」という叙情歌で知られた地。1988年からは、〈南の島〉と見立てた沖縄県石垣島からやしの実を海に流し、伊良湖岬へ流れ着くのかという試みが行われているそうです。
2001年に伊良湖岬へ流れ着いた実際のやしの実も展示されていました。
やしの実博物館は休業中。博物館のホームページ等は無く、口コミも少ないので詳細は不明ですが、やしの実を中心に、渥美半島の自然・歴史・文化が紹介されている施設のようです。
伊良湖港から東へ向かう路線バスがやって来ました。バスは日中、1時間1本程度のペースで運行されていますが、豊橋駅まで直行する便は少ないです。
約30分で終点の「保美」というバス停に到着。
バスを降りて間もなく、同じ場所に豊橋駅行きのバスがやってきました。この先は少し長く、1時間半ほどかけて豊橋駅へ向かいます。
渥美半島は「名古屋」という大消費地に近く、年間を通じて比較的温暖で平地も多いことから、農業が盛ん。2022年の市町村別農業産出額ランキングで田原市は全国2位。車窓には広大な畑の景色が広がります。
伊勢湾沿いへ出ました。ちなみに、このバスが走るのは国道259号線。同じく伊勢湾フェリーを海上区間とする国道42号線は、渥美半島の太平洋沿岸を通って静岡県へ至り、国道1号線と合流します。
13時過ぎに豊橋駅へ到着。伊良湖岬から豊橋駅までの運賃は1,870円でした。ここで名鉄電車に乗り換えて中部国際空港へ向かいます。
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今回はここまで。本日もありがとうございました。
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