悪の軍団がいる?悪石島を歩いて観光!地獄の持久走大会にも参加|2016 トカラ列島 旅行記2

島旅

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今回は2016年「トカラ列島旅行記」その2をお届けします。

★前回の記事は こちら

悪石島を歩いて観光する

2016年12月、鹿児島県奄美大島からトカラ列島の悪石島に上陸しました。

Wikipediaによると、『悪石島(あくせきじま)』という島の名前の由来は諸説あるようで、「島のあちこちに石があり、崖から落ちてきそうだから」「平家の落人が、追手が来たがらないような名を付けた」などと紹介されています。

今回はテントと寝袋を持参しての野宿旅。まずは港から歩いてキャンプ場へ向かいます。平坦な道がほとんどないため、島を歩くのはなかなかハードですが、車や原付のレンタルはありません。

歩き始めてすぐに1台の車が止まりました。そして「乗ってきな!」というおばちゃんの一言。いわゆる逆ヒッチハイクです。

お言葉に甘えて「キャンプ場に行きたい」と伝えると、「工事中だよ」というまさかのお返事が… おばちゃんの車に乗せてもらい、確認のため十島村役場の出張所へ向かうと、出張所の方に「どうして調べてこないんだ!」とお叱りを受けてしまいました。

悪石島 やすら浜港

しかし、この旅の2週間前、東京で行われたアイランダーの十島村ブースで「島内でのキャンプや野宿がOK」というのは確認済み。さらに村のホームページにも、キャンプ場が工事中であることは書かれていませんでした。

出張所の方は鹿児島市内にある十島村役場へ電話。出張所の方は「なんでしっかり伝えないんだ!」と電話越しにお怒り後、今回は工事の邪魔にならなければOKということで、キャンプ場を利用の許可を得ました。

逆ヒッチハイクをしてくれたおばちゃんとは一旦別れ、キャンプ場を目指して歩きます。

キャンプ場(現在の湯泊公園広場)は確かに工事中でした。現場監督の方に事情を説明すると、キャンプは全く問題ないとのこと。作業員の方々が休憩で利用する仮設小屋を「自由に使って」とまで言っていただきました。

こちらは広場に併設されている「砂蒸し風呂」。周囲には硫黄の香りが漂っています。砂の上に引いたゴザや毛布の上に寝て身体を温めるタイプの風呂ですが、こちらも整備中で利用は出来ませんでした。

ボゼの島に暮らす人々の歴史

キャンプ場の仮設小屋に荷物を置かせてもらい、島の集落を目指して歩きます。

平家落人集落と根神山神社の案内が書かれた看板

平安時代末期の源平合戦で敗北した「平家の落人」が住んだという伝説が残されているトカラ列島。ちなみに、平家の落人はトカラ列島から奄美や沖縄にも上陸し、平家軍団「南走平家」が初代琉球国王・舜天王統を建てたという説もあります。

■ 参考:舜天王統は源氏という説もある

ただ、十島村役場が出している年表の始まりは1871年の廃藩置県(明治時代)。いずれにしても、江戸時代には人が暮らしていたことは事実でしょう。

こちらは悪石島に伝わる奇祭「ボゼ祭り」で、仮面神・ボゼが身に纏う「ビロウ」。沖縄では「クバ」と呼ばれているヤシ科の木です。集落を練り歩くボゼに赤土を付けられると、悪魔祓いの御利益があるとされています。

ボゼ祭りがいつから行われているのかを探ることで、島の歴史を深堀り出来るかと思いましたが、どうやらボゼ祭りの歴史や由来など、詳しいことは分かっていないようです。

2020年 国勢調査より

現在の悪石島の人口は約80名。日本最後の秘境と言われていますが、ここ10年の人口は増加傾向が見られます。十島村の小中学校では山海留学生の受け入れを積極的に行われているため、各島とも子供の数が多いです。

そんな島の子供たちが通う悪石島小中学校に到着。この日は学校で ”あるイベント”が開催されるとのことで、13時に校庭へ来るようおばちゃんに言われていました。まだ11時過ぎなので、時間まで学校の周辺を観光します。

こちらが悪石島の案内地図。まるで地獄の案内図のようですが、私はこの島で本当に地獄のようなを体験をすることになったのです(笑)

集落から少し離れると建物は無くなり、電線も無くなり、白線も引かれていないコンクリートの道になりました。

こちらのヘリポートは緊急用。悪石島へのアクセス手段はフェリーとしま2だけです。

山の斜面に牛がいました。鹿児島県の離島は畜産が盛ん。島で育った牛たちは、出荷先でブランド牛となります。今日スーパーに並んでいた松阪牛や神戸牛は、実はトカラ列島で生まれ育った牛のお肉かもしれません。

しばらく歩くと、道に柵が設置されていました。この先も気になりますが、行っていいのかも分からないので、来た道を引き返すことに。

集落を目指して歩いていると、後ろから「はい!はい!はい!」という声が聞こえてきました。振り返ると、そこにいたのは牛!島の方が牛を移動させているところでした。

悪石島は人口よりも牛の数が多い一方で、広い牧場はないので、色々な場所で牛を見ることが出来ます。自然の中でのびのび育つと、お肉も美味しくなるのでしょうか。

柵を通り抜けて、道路を散歩している子牛もいました

道路を塞いでいた柵(ゲート)は、牛があちこち行ってしまうのを防ぐために設置されていたものだったのです。

地獄の持久走大会に参加

13時、悪石島小中学校に戻って来ました。午後から開催される”あるイベント”とは、小中学校の持久走大会です。

全校生徒は中学生2人と小学生が6人。ここに急遽、私と島民の方が数名参戦することになりました。

コースもよく分かっていないので、必死に付いていくしかありません。こちらは終わった後に見せていただいた持久走大会のコース。「校長宅前」→「和則さん宅前」→「睦男さん宅前」と書かれているので、事前に聞いていても、コースは分からなかったと思います。

走りながら撮った写真

背中に大きく「」と書かれたTシャツを着ている方がいますが、このTシャツが悪石島の公式ユニホーム

2023年撮影

島の皆さんが着用しているため、ネットでは「悪の軍団」と噂されています。ちなみに、この時の私の服装はジーパンとスニーカーでした。

年に1度のイベントなので島民の方も総出。アップダウンの激しい道を3.6kmも走る地獄のような体験でしたが、何とか完走することが出来ました。

悪の軍団の皆さんと交流する

終了後の懇親会にも参加させていただけることになったので校舎へ移動。生徒の数が少ないので、教室も小さめです。

多くの方が「悪」と書かれたTシャツを着用している島なので、若干ビビっていましたが(冗談)、悪の軍団(島民)の皆さんは優しい方ばかりでした。

こちらは校長先生から頂いた名前入りの完走証。こういう展開があるから、島旅は面白いのです。ちなみに、沖縄の鳩間島でも、観光客が運動会に参加出来るという噂を聞いたことがあります。

悪石島小中学校の持久走大会に参加した後は、逆ヒッチハイクをしてくれたおばちゃんの家へ。漬物などをつまみながら、島のお話などを聞かせていただきました。

こちらは悪石島の年中行事。旧暦に基づいて様々なお祭りなどがあり、この中にはもちろん「ボゼ祭り」も入っていました。

お話をしていたら、あっという間に夕陽が沈む時間。この日は野宿の予定なので、テントや大きな荷物などはキャンプ場に置いたままでしたが…

結局、夕食も頂いてしまい…

夕食の後は、車に乗せてもらい湯泊温泉へ。島の人も続々とやって来て、「あ、持久走の!」といった感じで顔を覚えてもらい、私も悪の軍団の一員になれたような気がしました。

そしてそのまま、温泉にある休憩スペース(写真)で一晩を明かすことに。この場所は自治会が管理しているそうで、事前におばちゃんが利用許可を取ってくれていたのでした。

ちなみに湯泊温泉には露天風呂もありますが、お湯は入っておらず、しかも道沿いから丸見えです(笑)

悪石島最高峰・御岳に登る

翌日は朝9時の船で悪石島出発。2つお隣の「宝島」に上陸します。

持久走大会の筋肉痛は残っていましたが、船の出港までは登山!早朝から悪石島の最高峰・御岳に登りました。

あまり記憶はありませんが、素人の私でも装備なしで歩けているということは、道も整備されていたのだと思います。

山頂には30分ほどで到着。御岳の標高は584mです。

アンテナが置かれていました。秘境と言われるトカラ列島の島々ですが、テレビも大手3社の携帯もインターネットも繋がるので安心です。

山頂でしばし休憩した後、7時半過ぎには下山。キャンプ場に置きっぱなしのテントを回収し、港で船を待ちます。

しかし、出港予定の9時になってもフェリーとしまは来る気配がありません。他にも船を待っている方々がいたので、「来ないですねぇ」と話をしていると…

港のそばにザトウクジラが現れました!これには皆さん大盛り上がり。私にとっても人生初のホエールウォッチングでした。

結局、奄美大島行きのフェリーとしまは約1時間遅れでやって来ましたが、遅れたおかげでザトウクジラを見ることが出来たので良かったです。

さらば悪石島。丸1日だけの滞在でしたが、逆ヒッチハイクに始まり、持久走大会を通じて島の方たちと交流し、ご飯と寝床を用意していただき、山に登ってクジラを見て、かなり充実した時間を過ごすことが出来ました。

最後はこちら。船の出港直前、今回たくさんお世話になったおばちゃんから、一言メッセージ付きのお弁当をいただきました。すでに旅のクライマックス感がありますが、まだまだトカラ列島の旅は続きます。

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今回はここまで。本日もありがとうございました。

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