絶景と観光 インスタグラムと地域活性化!事例もご紹介|観光アイデア教科書 vol.1

観光アイデアノート

地域の景色を発信する自治体や観光協会のInstagram(以下インスタ)アカウントは年々増加しています。しかし果たして、景色を発信することが観光振興や地域活性化に繋がるのでしょうか。

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自治体・観光協会のインスタグラム

自治体や観光協会がインスタで景色を発信している場合、大抵はその目的が明確ではありません。

「地元の美しい景色をより多くの人に知ってほしい!」という、インスタ運用担当者の気持ちは分かります。しかし、その絶景が拡散され、観光客がたくさん訪れるようになった場合、対応することは出来るのでしょうか。

自治体や観光協会が運営しているというだけで、SNSアカウントには信頼・信用が付きます。その一方で、企業アカウント同様、視聴者には宣伝目的で投稿していると思われるのが普通です。そのため、自治体や観光協会のインスタで紹介されている場所は、「訪れてもいい場所」または「訪れてほしい場所」と判断することが出来ます。

インスタの絶景を求めて観光客が殺到した場合、地元の方は何を思うでしょうか。今まで当たり前に見ていた景色に、突然大勢の人がやって来るのです。どこの誰かも分からない人だらけ。絶景を管理する人もいないので、道路は渋滞し、ゴミも散乱するようになります。

観光客が無秩序に訪れることで発生する諸問題は、「オーバーツーリズム」として世界中で問題となっています。地域の景色や風景を通じて観光客を呼び込むことは、自治体や観光協会がやるべき地域活性化では無いのです。

絶景(景色・風景)と観光

絶景(景色・風景)を目的に多くの観光客が訪れても、地域の活性化にはならない理由は以下の4点です。

その1. 滞在時間が短い

どんなに綺麗な景色が見られる場所でも、写真を撮ったらすぐに退散してしまう人がほとんど。

JR最南端 西大山駅にあったノートより

離島や過疎地など、移動出来る範囲が狭く、交通手段も限られている場合は、絶景を見るついでに、地域を散策する人がいます。しかし、車で訪れる人が多いような場所では、あっという間に隣町へ行ってしまうものです。

その2. 地域にお金が落ちない

観光客がどれだけ訪れても、皆さん景色の写真を撮るだけでは、地域に落ちるのはお金ではなくゴミだけ。地域にお金が落ちないと、適切な管理を継続的に行うことが出来ず、その場所が荒れ果てていく危険性があります。

絶景スポットを維持するにも、地元の有志の方による草刈りやトイレ掃除、駐車場整備などで労力がかかっていることを忘れてはいけません。最近は高齢化により、雑草に覆われて景色が見えない展望台も増えています。

その3. 天候や日時に左右される

天気や季節、時間などによって、景色の見え方は変わるものです。絶景を求めてせっかく遠くから訪れたのに、思い通りの景色が見られなかった場合、旅行の満足度が下がります。

(日本人)旅行者はわがままで自分勝手な(完璧なサービスを求める)人が多いです。「まあ、ベストシーズンではないからこんなもん」では済まず、「インスタで紹介されていた景色と全然違った」などと、悪い口コミを書かれたりもするでしょう。

その4.  言語化が難しい

旅の思い出を語る場面などで、景色の良さを言葉にして伝えるのは難しいです。私も色々な場所を訪れて、こうしてブログで思い出を綴っていますが、景色の良さを伝えることには難儀します。景色は口コミで拡散しにくいのです。

地域活性化の事例もご紹介

お祭りをはじめ、多くの人に集まってほしいイベントなどの告知であれば、インスタを活用してどんどん情報を発信すべきです。

また景色や風景の場合でも、その景色を見るためにお金を支払わなければならない場所であれば、インスタの投稿は有意義なものとなります。

那覇から船で約20分、沖縄の無人島・ナガンヌ島に上陸するためには、ツアーに参加するしなければなりません。沖縄には他にも万座毛や玉泉洞など、入場料が必要な自然景観があります。オーシャンビューを楽しめるカフェも、お金が落ちる景色かもしれません。

小笠原諸島でも、有料のガイドツアーに参加して世界遺産の自然景観を楽しむのが一般的です。一方で、自治体や観光協会には「公共性」が求められるため、営利組織の宣伝にはなかなか気を遣うはず。だからこそ、景色の発信が多くなるのかもしれません。

小笠原村観光局の事例

自治体や観光協会が本来やるべきことは、自ら情報を発信するのではなく、地域の事業者が行う情報発信を取りまとめたり、支援したりすることだと思います。

インフルエンサーに情報発信の案件を依頼することも、自治体や観光協会だからこと出来ることですが、ベストは観光客の発信を増やすための取り組みです。個人のアカウントであれば、宣伝っぽさを取り除くことが出来ます。

例えば小笠原村観光局は観光客に対し、ハッシュタグ#ogasawalove を付けた情報発信を呼び掛けています。そして、観光局のインスタアカウントで、おすすめの投稿をリポストするという仕組みです。こうした情報発信キャンペーンは、ネタ切れの心配も無く、どういった場所が人気なのかなど、データを集めるのにも役立ちます。

最後に改めて、無料で楽しめる景色は、どんなに美しくてもお金になりません。自治体や観光協会には意味や目的を持ったインスタ運用を期待したいです。

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今回はここまで。本日もありがとうございました。

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