冬に日本海側は大雪・太平洋側は晴れる理由~飛行機から冬型の気圧配置を見る|2025 旅行記

広島県

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今回は「冬に日本海側は大雪で、太平洋側が晴れる理由」を解説します。

飛行機から冬型の気圧配置を見る

2025年2月23日、東京・羽田空港にやって来ました。

この日の目的地は山口県の周防大島町。広島空港からレンタカーを借りて移動するため、まずは10時15分発のJAL257便で広島へ。羽田空港から広島空港までの所要時間は1時間30分です。

広島の天気は曇り。この天気予報で興味深いのは、釧路から高知まで太平洋側は晴れ予報である一方、日本海側の天気があまり良くなさそうな点です。日本の冬を象徴する天気予報といえるかもしれません。

西高東低の冬型の気圧配置によって、大陸から日本本土に向かって吹く乾いた空気(風)は、暖流の対馬海流を通過する過程で温められて膨張。さらに、空気は海からの水蒸気も含んだ状態で山々にぶつかり上昇気流が発生。この上昇気流によって雲が出来て、冬の日本海側は雪や雨が多く降ります

■参考:冬の北陸は積乱雲も発生する

そして、太平洋側には乾燥した下降気流が流れ込むため、晴れる(天気がいい)日が多くなるのです。天気予報の通り、羽田空港を離陸後は、雲ひとつない関東平野の景色が広がりました。見えている川は江戸川。川の手前が東京都江戸川区、向こう側が千葉県市川市となっています。

太平洋側は晴れている

それから3分後…

埼玉県上空にやって来ました。写真右側に見えている川は荒川彩湖を含む荒川第一調節池周辺の地形が特徴的です。また、陸上自衛隊朝霞訓練場が写真中央やや右下、やや茶色っぽくなっています。

ここで飛行機は西向けに大きく旋回。引き続き、彩湖や陸上自衛隊朝霞訓練場が見えています。そして、地平線の向こうでは、新潟県や群馬県の山々に雲がせき止められていました

それから5分後、こちらは東京都・埼玉県・山梨県の県境である雲取山付近。山々に囲まれた盆地は秩父です。まだ雲もなく、雪もかかっていません。

その2分後には、山梨県の甲府盆地(甲州市~山梨市)上空に到達。

甲府盆地の例

甲府盆地は、周辺の山々が壁となって雲の流入を抑制しているため、年間の降水量が少なく、日照時間が長い地域として知られています。写真を見ても、周囲の山々には雲がかかっていますが、盆地上空には雲がありません。

■参考:日本で1番天気がいい?山梨・甲府盆地を地理学的に考察

その1分後、ついに雪山が姿を現しました。こちらは八ヶ岳連峰の最高峰・赤岳(標高2,899m) です。

それから2分後には、甲斐駒ヶ岳(標高2967m)や北岳(3193m)など、いわゆる「3000m級の山々」が連なる南アルプス(赤石山脈の上空を通過。

ただ、冷静に考えると、南アルプスや富士山は日本海よりも太平洋に近く、太平洋側に該当する地域です。それでもなぜ雪がかかっているのでしょうか。

太平洋側でも雪は降る

冬の間、日本周辺が常に西高東低の気圧配置になっているわけではありません。

気象庁より

こちらは2025年1月6日と7日の天気図。7日は西高東低となっていますが、6日は本州の東側にも高気圧があり、日本海と本州南岸に低気圧があります。

気象庁より

その結果、1月6日の東京都心は夕方から雨です。また、年に数回、関東平野でも雪が降ります。

関東で雨が降っているとき、太平洋側で標高が高い場所では雪が降っているのです。さらに、山の上は気温が低いため、一度降った雪はなかなか溶けません。

南アルプスの上空から3分で、やって来たのは長野県飯田市付近。諏訪湖から長野県南部、愛知県東部、静岡県西部を貫いて遠州灘に注ぐ天竜川沿いに市街地が広がっています。左側の雪山は木曽山脈、通称「中央アルプス」と呼ばれる山々です。

木曽山脈の最高峰は木曽駒ヶ岳(標高2,956m)。まだこの辺りも太平洋側の影響を受けている地域で、雲は少しかかっていますが、概ね晴れています。

木曽山脈から3分後、岐阜県の中津川市や恵那市の辺りにやって来ると、雲の量が増えてきました。しかし、まだ日本海よりも太平洋の方が近い場所です。この雲はどこからやって来たのでしょうか。

琵琶湖~関ヶ原で雪が多い理由

答えは日本海側です。

国土地理院地図より

中津川の北側には木曽山脈や飛騨山脈など、標高2500m以上の高い山々が連なっていますが、西側は名古屋市や岐阜市がある濃尾平野が広がります。そして、そのさらに西にあるのが琵琶湖です。北西の風により日本海から琵琶湖へ流れ込んだ雪雲は、伊吹山地と鈴鹿山脈の間を通って、濃尾平野までやって来るのです。

中津川上空を通過してから5分後、ついに白い町並みが見えてきました。こちらは濃尾平野北部、写真右下が岐阜市、左上が揖斐川町周辺です。岐阜市から揖斐川町方面に向かって少しずつ標高は高くなりますが、その標高差はほんの数十m。それでも雪の量は全く異なることが分かります。

そして、揖斐川町を通過し、伊吹山地上空に差し掛かると、一気に雲が増えて…

1分後には眼下が雲に覆われ、地面が見えなくなってしまいました。先ほどまで濃尾平野は晴れていたので、これらの雲は伊吹山地や両白山地にせき止められている状態ということです。また、この雲が関ヶ原周辺に大雪をもたらします。

こうなってしまうと、もう現在地が分かりません。

GPSで確認すると、ちょうど琵琶湖の上空に到達したようです。

よく見ると、雲の切れ間から琵琶湖のものらしき湖岸が見えました。

その1分後、少々分かりにくいですが、写真中央やや上に見えているのは、恐らく日本海(福井県の若狭湾)です。

しかし、2分後には雲が多くなり、どこにいるのか分からなくなってしまいました。

日本海側に大雪をもたらす雲

琵琶湖上空を通過してから6分後…

地上には雪が積もっていそうですが、現在地は全く分かりません。

後日フライトレーダーを確認すると、京都府と兵庫県にまたがる丹波地域の上空を通っていたようです。丹波は日本海からはやや離れますが、日本海との間にある山々(中国山地)の標高が高くないため、雪雲が流れ込みます。

こちらは気象庁のデータをもとに作成した、1991年~2020年における雪日数の年間平均値。中国山地の南側に位置する神戸・岡山・広島は、東京や大阪よりも雪が多いのです。なお、福岡は近くに雲を上昇させる山がないため、日本海沿いでも比較的雪は少なくなっています。

■参考:沖縄も冬型の気圧配置の影響を受ける

こちらは兵庫県栗東市の北部。眼下に見えている川は揖保川。宍粟市の藤無山(標高1,139m)を源流に、姫路市網干区から瀬戸内海へと注ぐ幹川流路延長70kmの河川です。

その1分後には兵庫県佐用町の上空へ。地上には雪がなさそうですが、上空には雲が多く見えます。もしこの周辺に、これらの雲をせき止めるような高い山があれば、豪雪地帯になっていたのかもしれません。

その4分後には再び一面雲に覆われ、地上が見えなくなってしまいました。中国・四国地方における太平洋側とは、徳島県や高知県ことを指すのが正しいのでしょう。1991年~2020年における雪日数の年間平均値は、高松市が19.0日、松山市が18.3日と、やはり東京よりも多いです。

そして間もなく、飛行機は高度を下げて雲の中へ。

よく見ると、自分の乗っている飛行機の影が雲に映り、さらにその影を囲む虹色の円が出来てきます。これは「ブロッケン現象」と呼ばれるものです。

雲を抜けて広島空港に着陸。空港の周辺は曇っていますが、雪は降ってなさそうです。

広島空港で表示されていた天気予報

約1時間半のフライトで、日本の冬を象徴する「冬型の気圧配置」を、空と雲の景色からじっくり観察することができました。

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今回はここまで。本日もありがとうございました。

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