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今回は「沖縄コーヒーの農園に行ってきた」その4をお届けします。
★前回の記事★
沖縄にはコーヒーが自生する
日本はコーヒーの露地栽培をすることが出来る北限の地とされています。

この写真に写っている、どんぐりのような緑色の実がコーヒーチェリー。

そして、雑草たちと一緒に生えた、艶のある緑色の葉が、落下したコーヒーチェリーから発芽したもの。水やりなどはしておらず、いわば自生している状態です。

これらは沖縄本島北部にある、安里おじいのコーヒー農園で見られる光景です。コーヒーの生育には、年間1800mmから2500mmの降水量と、水はけのよい土壌がコーヒーの栽培に適しているとされますが、この条件を満たしているのでしょう

日本で初めてコーヒー栽培が行われた小笠原諸島でも、戦前に栽培されていたコーヒーが自生していたため、コーヒー栽培が復活したという経緯があります。

安里おじいに連れられてやって来たのは草木が生い茂る森。

沖縄でこうした場所を歩くときは、ハブにも警戒が必要です。

また、この森にはイノシシもいますが、そこは安里おじいの相方・ボスもいるので安心です。ちなみにボスは「琉球犬」という、沖縄県原産の日本犬の一種。かつて日本列島に点在していた縄文犬の一種で、沖縄県の天然記念物にも指定されています。

木々に混ざって、地面に鉄の棒が刺さっていました。安里おじいによると、他にも人の手が入っていた痕跡が見られることから、ここは「耕作放棄地」だろうとのこと。

草木の中にコーヒーの苗がありました。こちらは自生しているものではなく、コーヒーが育つのかを調べていたそうです。

苗を地面に植え付けて、そのまま枯れてしまうことも多いですが、5cmほどの若芽が出てくれば、地面に根付いた証。ということで、安里おじいは農園のそばにあるこの森を取得し、コーヒー栽培を行うこととなりました。
コーヒーの森を開墾する
まずは資材を搬入するための導線づくりから。

登場したのはユンボ!

木々をどんどんなぎ倒していきます。目の前で本気の開墾が展開されていきます。
それにしても、安里おじいのテクニカルなユンボ操作が凄い。倒した後の木々なども、邪魔にならないような場所へ片付けながらの作業です。

ユンボが倒れるんじゃないかと思うような角度になっても、物ともしません。

私もチェーンソーを使って、倒された大きな木々を細かくして片付ける作業をお手伝いしました。

作業開始から約3時間後、ユンボがや軽トラックがスムーズに通ることが出来るような道が完成しました。

雨で地面がぬかるむと、ユンボのキャタピラが外れてしまうほどの粘土質の土です。

こうした土壌がコーヒーを育てますが、コーヒーを美味しくかつ効率的に栽培するためには、種を蒔いて終わりというわけにはいきません。
コーヒーの苗を作る
安里おじいは地面に直接種を蒔くのではなく、まずはポットで苗を作っています。

こうして一定の大きさまで育った苗を、地面に植え付けていきます。

ポットに入れるのは、魚粉や麹などが入った、安里おじいの手作りの土です。

土に白いカビが付着していますが、これは土に栄養がある証。観葉植物を育てる際も、栄養と湿気が豊富な土にはカビが生えると言われており、様々な対策が紹介されています。

写真だと分かりにくいですが、土から湯気が出ています。土(微生物)から出る熱を逃がすため、定期的に掘り返しているそうです。ちなみに湯気には、ツンと鼻を刺す、強烈な匂いがあります。

そしてこの「秘伝のたれ」ならぬ「秘伝の土」をポットに詰めて、コーヒーを種から発芽させます

こちらが発芽待ちのポットたち。最近は沖縄各地の道の駅でも、ポットに入ったコーヒー苗が販売されているので、お土産として買うことも出来ます。

沖縄コーヒーの栽培技術や、美味しく飲む方法は、まだまだ確立されていません。

こちらは土や肥料など、色々と条件を変えて、安里おじいが実験中の苗木たち。

味が美味しいコーヒーを目指すのはもちろんですが、通常4年から5年かかるとされる、収穫までの期間を早める方法も模索しているそうです。

こうして育った苗木を運び、コーヒーの森へ植樹します。

作業現場に到着。伐採した木々を活用し、小屋も作られていました。
コーヒーを植樹する

安里おじいの指示の下、まずは測量。

1.5mおきにコーヒーの苗を植樹するため、目印を付けていきます。

続いて印を付けた場所に穴を掘ります。

そこに、コーヒーの苗木を植えていきます。

植樹した苗木に水をかけて地面を固めます。

この日は安里おじいと私の2人で、32本のコーヒーを植樹ました(1.5m間隔×32本=48m)。

そして、コーヒーの味を確かめることが出来るのは、果実が実り、収穫出来るようになる4、5年後のこと。

実験の結果が分かるまでに時間がかかることに加えて、収穫時期と台風の時期が重なるため、収穫直前で全部ダメになる可能性もあり、国産コーヒーがなかなか普及しない理由のひとつとなっています。
台風対策も欠かせない
そのため、台風対策は欠かせません。

新たに開墾しているコーヒーの森は、自然の木々が防風林となっていますが、今あるコーヒー農園の一部は、名物・シークワーサーが防風林の役割を果たしてます。

台風による被害を最小限に抑えるため、木の高さも、低めに剪定されています。

木が小さい段階では、囲いを設置して…

大きくなったコーヒーの木々には支柱を設置し、風で倒れないように対策をします。

ただ、木々に実っている果実の対策は出来ないのが、ハウスを使わずに栽培する難しさです。

また夏は、雑草の生育速度が速いため、草刈りがルーティンワークとなります。

日中は暑いため、朝と夕方が作業時間となります。
花が咲き、果実が成る
こうしてようやくコーヒーの木に花が咲きます。

小さな白い花の花言葉は「一緒に休みましょう」。開花から2、3日で枯れてしまいます。

花が枯れて、受粉に成功すると果実が膨らみ始めます。

コーヒーの実に朝露が付いています。農園は山の上にあるので、海沿いよりも涼しい一方で、太陽が昇る日中は暑くなります。この寒暖差が、コーヒーの生育に必要な条件のひとつです。

夏の間に果実は縦1cmほどの大きさとなりますが、この時期の沖縄に、次々と強い台風がやって来ます。

11月頃、果実が黄色~赤色に熟してきたタイミングで収穫です。しかし、同じ木の隣り合う果実でも、熟し加減が違うので、収穫作業にもまた時間がかかります。

収穫後には精製の過程を経て、ようやくコーヒー豆を焙煎することが出来るようになるのです。こうした過程を知ると、またコーヒーの味わいが変わってきます。
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今回はここまで。本日もありがとうございました。
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