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今回は「2018年 飛島旅行記」をお届けします。
山形県唯一の有人島 飛島上陸
2018年9月22日、金曜日の夜、東京駅前から深夜バス「夕陽号」に乗車し、終点の山形県酒田市・さかた海鮮市場に到着しました。朝から多くの人で賑わっています。
この日向かうのは酒田市街地の北西40km、日本海に浮かぶ山形県唯一の有人島・飛島。島へ渡る船は海鮮市場に併設されているので、まずは「とびしま」という名前の食堂で朝ご飯(500円)をいただきます。
そして時間になったので、飛島・勝浦港行きの乗船券をゲット!
こちらが定期船「とびしま」…ではなく、この日は北海道の天売島・焼尻島で活躍している「さんらいなあ」による運航。とびしまは定期点検(ドック)中だったようです。
9時、酒田港を出港しました。飛島までの所要時間は約75分です。
酒田市街地の背後にそびえる鳥海山は雲に隠れてしまっていますが、気持ちのいい秋晴れで、穏やかな船旅となりました。
飛島へのアクセス手段は船だけ。この航路が人だけでなく、島の生活物資も運ぶ重要な役割を果たしています。
山形県離島振興計画によると、飛島航路の就航率は7割前後。比較的欠航が多いようですが、年間の利用者数は2万人を超えます。どうやらバードウォッチャーや釣り人が多く訪れているようです。
飛島は渡り鳥の中継地となっており、春や秋には延べ300種以上の野鳥が確認されるとのこと。私も島を散策中、道路で休む大きな鳥を見ることが出来ました。
ということで、飛島に上陸!日本海の向こうには、うっすらと奥羽山脈の影が見えています。
今回の滞在時間は約3時間。島は1周約6km。ゆっくり歩いても1時間半で1周することが出来ますが、なんと無料でレンタサイクルを借りられるので、こちらを利用してみることにしました。
日本海に浮かぶ不思議アイランド
飛島は火山噴火物の堆積と隆起によって生まれた島です。
島のキャッチコピーは『日本海に浮かぶ不思議アイランド』。ここからは飛島の不思議を解き明かしていきます。
この写真の右半分に映っているのは、かつての噴火活動で噴出した溶岩の塊と火山灰から出来ている柏木山です。
やまがた百名山の中で最も低い山で、標高は58mしかありません。
飛島の最高地点は高森山の山頂。その標高も69mしかなく、火山の島でありながらもアップダウンは少な目。自転車でも気持ちよく走ることが出来ます。
ちなみに、高森山の山頂には1948年に点灯された飛島灯台があります。
島には古くから人が住んでいたようです。こちらは「テキ穴」と呼ばれる謎の洞窟。1964年、ここで平安時代の土器や人骨が発見されたそうです。
全長約50mの洞窟内には照明もあるので、気軽に中の様子を見ることが出来ます。
さらに、島内には約6千年前から4千年前の縄文遺跡があり、北陸から北東北に出土する種類の土器が発掘されていることから、古くから海を介した交流が盛んだったようです。
北前船が寄港した歴史
江戸時代、米ではなくイカを年貢として収めるほど、イカが沢山獲れたという飛島。
こちらは酒田市の資料より。1840年の飛島を描いたもので、イカ漁が行われる夏は毎晩一家でイカを釣り、スルメにしてから江戸に届けていたそうです。
■ 参考:年貢を米以外のモノで納めていた島
港のそばにある遠賀美(おがみ)神社は、イカの豊漁を祈願した神社と言われています。江戸時代はイカともうひとつ、米の輸送が盛んでした。これは島で米が収穫されたわけではありません。
最上川流域で収穫された米は、河口の酒田港に集積され、北前船(西廻り航路)で江戸に運ばれていました。深い自然の入り江になっている飛島の勝浦港は、酒田港の避難港(外港)としての役割を果たし、多いときには年間500隻を超える北前船が飛島に停泊したそうです。
飛島の観光スポット レンタサイクルで島1周
現在も漁業に従事している方が多い飛島。旅館や民宿もいくつかあり「宿泊業、飲食サービス業」に従事している方も23%います。
こちらは島にある観光客向けのスポットのひとつ。後ろに見えている荒崎海岸が「日本の渚百選」に選ばれたことを記念して、この鐘が設置されたそうです。
飛島は本土沿岸よりも暖流の影響が強く、海底に育つサンゴ類の群棲地は、山形県の天然記念物にも指定されています。春から夏にかけては、飛島の近くまでやって来るイルカも見られるそうです。
こちらの大きな岩は百合島。ウミネコの繁殖地になっているそうです。
2016年に飛島が「鳥海山・飛島ジオパーク」へ認定されたこともあり、島内にはこうした遊歩道も整備されています。
港の前にある『しまかへ』は、島にある唯一のカフェ。春から夏の間だけ営業しているそうです。この「春から夏の間だけ営業」というのが、飛島を知る上で重要なポイントです。
飛島の産業と人口
飛島ではほとんどの島民が酒田市の本土側にも住居を持ち、複数地域居住によるライフスタイルが定着していると言われています。
冬は海が荒れるため、島の二大産業である漁業と観光が成り立たないのでしょう。船が出せないため、島民の方も島に閉じ込められることとなります。
1930年代の人口は1,700人を超えたそうですが、他の中山間地域と同様、急速な人口減少と高齢化が進み、2020年の国勢調査による人口は158人です。
人々が暮らす集落は勝浦港周辺にあります。
こちらは集落にある郵便局。この時は見つけられませんでしたが、島には商店もあります。
こちらは駐在所。
診療所もありますが、緊急の場合はこのヘリポートからドクターヘリで本土へ飛ぶこととなります。
左手に見えている建物は飛島小中学校。
2019年度に1名が卒業してからは、在校生がゼロになり休校中。最後の卒業生は中学3年間ずっと1人だったそうです。
人口ピラミッドを見ても子供がいません。飛島は日本の女性消防団発祥の地。それもまた、担い手不足を女性で補う必要があったからでしょう。
近年は合同会社とびしまを中心に、UIターン移住者の受け入れにも積極的で、新しく会員制のシェアハウスも完成したようです。
まだまだ魅力がありそうな島ですが、今回は日帰りなので島を1周して終了。『日本海に浮かぶ不思議アイランド』の不思議は解き明かすことが出来たような、出来なかったような気がします。
自転車だったので、1周するのは時間的に余裕でした。14時前の船で酒田へ戻ります。
港から酒田駅までは1時間ほど歩きました。
ここから列車で少々南下し、この日は新潟県村上市で1泊。
翌日は日本海に浮かぶもうひとつの小さな島・粟島に上陸します。
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今回はここまで。本日もありがとうございました。
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