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今回は2016年「トカラ列島旅行記」その6をお届けします。
★前回の記事★
トカラ列島の秘境!小宝島に上陸
奄美大島からフェリーとしまに乗船。1日目は悪石島、2日目に宝島に宿泊。

3日目は宝島を早朝に出発し、しばらくすると小宝島が見えてきました。

朝7時、小宝島に上陸!十島村のホームページによると、島の1周は約4km。ゆっくり歩いても1時間程度で周ることが出来る小さな島に、翌日10時半の奄美大島行きの船が来るまで滞在します。

全ての島で野宿の予定だった今回の旅。季節が冬ということもあり、過酷な旅になることを想定し、練習の旅まで慣行していました。幸いここまでは天気が良く、悪石島と宝島では野宿も回避。辛いのは、島を歩き回って溜まった筋肉痛だけです。

朝食は奄美大島で購入した菓子パンを食べました。果たして、小宝島ではどんな展開が待っているのでしょうか。
まずはどこで野宿をしていいかを確認するため、十島村役場の出張所へ向かうと、職員の方がちょうど船の入出港作業から戻ってきたところでした。

「野宿をしたい」と伝えると、どうやらそうした人は珍しいようで、一緒に野宿に良さそうな場所を探してくれるとのこと。さっそく普通の旅行ではあまり起こらない展開です(笑)

島の案内をしていただきながら、職員の方の車で島を1周。結局野宿の場所は「どこでもいい」となったので、この日1日島を歩きながら、適当な場所を見つけてテントを張ることに。

島を案内してくれた出張所の職員の方は、私をとある家の前で降ろし、「おっちゃんが島を案内してくれるから、ここで待ってて」と言って、去ってしまいました。

しばらくすると、その家からおっちゃん(上の写真に写っている方)が出てきて、無料ガイドツアーが始まりました。
島民の方と島を歩いて観光する

「こだから」という島の名前だけでなく、島の形が「妊婦さんが横になっている姿に見える」ことから、小宝島は安産に縁起がいい島と言われているそうです。

こちらは「横になった妊婦さん」の、顔から胸までの部分。確かにそう言われると、そうとしか見えなくなってきます。日本全国に安産祈願のパワースポットはありますが、小宝島は日本で最もアクセス難易度が高いといえるでしょう。

メインの道路から外れた場所は、手つかずの自然が残されている一方で、ハブが出る可能性もあるので、地元の方に案内をしていただけるのはありがたいです。

悪石島と小宝島の間には、動物の分布境界を示す渡瀬線が提唱されており、小宝島はハブ生息の北限とされています。

こちらは小宝島の道路に潰れていたヘビ。もしかしたら準絶滅危惧種の「トカラハブ」かもしれません。

出張所の職員の方からも「ポイズンリムーバー」なるものを渡されていました。ハブに噛まれた際、まずはこちらの器具を使い、自分で毒を抜くためのキットです。

こちらはトンビでしょうか。ちょうど魚を咥えていました。

気候的にも温帯と亜熱帯の境界で、道端には沖縄と同様、パパイヤが自生しています。12月ですが、歩いていると日差しが眩しく、上着も必要ありません。

島にはサンゴから出来た「琉球石灰岩」の奇岩が立ち並びます。

今回私を案内してくれたおじちゃんが、かつて世界中巡ったという旅人を案内した際、その旅人は小宝島に広がる岩の景色を「グランドキャニオンのようだ」と話していたそうです。

私はグランドキャニオンを見たことはありませんが、小宝島に立ち並ぶ奇岩の迫力は写真で伝わらないものがあります。

地球を感じられる、ワイルドな景観が広がる一方で、島には静かでゆったりとした時間が流れています。
人口約70人 島暮らしの様子

こちらはヘリポート。緊急時のみ利用されているもので、通常小宝島に上陸するための手段はフェリーとしまだけです。

岩陰に木造の船が置かれていました。こちらは、沖に停泊した船から島まで物資を運ぶために使われていた「艀(はしけ)」と呼ばれる船。1990年まで大きな定期船が接岸出来る港がなかった小宝島では、定期航路としては日本国内で最後まで、艀による乗下船作業が行われていました。

草っ原に置かれたこちらの船が日本最後の艀。波の影響を受けて転覆する可能性もあるため、非常に危険な上陸・乗船作業だったようです。

小宝島には小中学校もあります。人口70名程度の島にも関わらず、12名の生徒が通っているようで(2021年現在)。学校生活の様子はブログでも見ることが出来ます。

生徒数の減少で1979年に一度廃校になりましたが、1988年、お隣の宝島小中学校の分校として再開。そして2016年に小宝島小中学校として再開されました。

離島で学校が再開されるというのは、このご時世ではめったに聞かないことです。小宝島の人口を見ると、確かにここ20年間、人口は増加傾向が続いています。

人口ピラミッドはこんな感じ。都会の子供が島に1年間移住して暮らす「山村留学制度」と移住者増加により、小宝島では小中学生が増えたようです。

集落にある公園の遊具も、綺麗に整備されています。

白い建物が発電所、水色の建物が淡水化施設。小宝島では、海水を脱塩して水道水として活用しているので、この施設が故障しない限り、水不足の心配は無いようです。

コインランドリー小宝。日本で最も行くのが難しいコインランドリーといえるでしょう。

もうこの時点で島を何周したか分かりません。おじちゃんの案内がなければ、きっとすぐに退屈していたかもしれません。

お昼はおじちゃんの家でごちそうになりました。商店や飲食店は無いので、小宝島で宿に泊まる場合は1泊3食付きが基本です。
茂みの中に神社がある
食後もまた島を歩きます。

おじちゃんに案内されて茂みの中へ。

この先に何があるかも分からないので、ひとりでは絶対に足を踏み入れることはないでしょう。ハブが出る可能性もあります。

茂みを歩いた先には小さな鳥居がありました。

別の場所にも鳥居がありました。どうやら神社のようですが、鳥居があるだけで建物はありません。

石碑などもいくつか点在して置かれています。何のために置かれているかなども解説していただきましたが、詳しい内容は忘れてしまいました。

沖縄の御嶽と同じようなものでしょうか。これらの鳥居や神社、祠の情報はネットを調べても出てこず、島のマップにも書かれていません。

こちらの「小宝神社」だけは、十島村のホームページで紹介されていました。どうやら森の中にある神社たちは、1971年にここへ合祀されたようです。
島の最高峰 竹ン山を登る
続いては竹ン山へ登ります。

「ハブに注意」という看板があるように、どこにハブがいるか分からないので、役場出張所で借りたポイズンリムーバーは常に携帯して歩いています。

小宝島最高峰・竹ン山の標高は102mしかないので、あっという間に山頂へ到着。ただし、人がなかなか来ない場所なので、草木をかき分けながらの登山でした。

目の前に浮かんでいるのは「小島」と呼ばれる無人島です。

島の周囲も岩になっているようなので、上陸することは難しいでしょう。小宝島と小島の間の潮の流れも早そうです。
小宝島の天然温泉で外国人観光客と出会う
1周4kmの小宝島を1日中歩いて16時半過ぎになりました。

宝島の向こうに太陽が沈むようです。

17時半、途中で太陽は雲に隠れてしまいました。空の色の変化を見ながら、のんびりした時間を過ごすのは、島旅の楽しみのひとつです。

結局この日は野宿ではなく、1日島を案内してくれたおじちゃんの家に泊まらせていただくことになりました。

おじちゃんの家へ戻る前にやって来たのは湯泊温泉。小宝島にある天然温泉です。脱衣所などはありません。お湯は熱々なので、備え付けの水を使って、自分で湯加減を調節してから入ります。

こちらは水たまりかと思ったら、ぷくぷくと沸きたっており、源泉が湧出しているスポットのようです。

自分が入るときは「いる」にして、出るときには「いない」にします。そしてこの時、看板は「いない」になっていましたが、「Wooo!」「Hooo!」など、陽気な声が聞こえてきました。
種子島から打ちあがるロケットを見る

しばらく待っていると、出てきたのは外国人5人組。彼らはヨットでオーストラリアから北上し、地球を縦に1周している方々でした。

湯泊温泉からおじちゃんの家に移動。昼食に続いて夕食もいただきながら、何気なく見ていたテレビで流れたのが、この日の夜、種子島でロケットの打ち上げがあるというニュースです。

小宝島からも種子島のロケットが見えるということで、ロケット打ち上げの時間に合わせて、外へ出かけました。

せっかくなので、彼らにも声をかけると大喜び。そして、打ち上げの時間まで、ヨットの船内へ案内してくれました。

彼らお手製の果実酒を飲みながら、ヨット旅の話を聞かせていただきました。どんなに船内が綺麗でも、所詮はヨットなので揺れやすく、嵐の時は大変なことになるそうです。
ロケット打ち上げの時間になり、種子島の方面を見ていると、小さな火球が宙へ昇っていく様子を見ることが出来ました。動画を見ると分かりますが、このときのノリは、まさに外国人のそれです(笑)
小宝島の海が美しかった
結局小宝島でも野宿ではなく、おじちゃんの家に1泊。

彼らのヨットもまだ出港していないようです。

初日に借りたポイズンリムーバーを返すため出張所へ行くと、職員の方は電話中。「えっ、知らない外国の船が止まってる!?」。きっと、いや絶対、彼らの船のことでしょう。

港へやってきました。壁画の横に置かれたコンテナが、船の待合室になっています。小宝島上陸直後は、ここで野宿をすることも検討しました。

空の自動販売機が置かれていました。私たちと同じ船に乗せられるのでしょう。

ぽつんと置かれたコンテナ。〒マークが書かれているので、郵便用のコンテナでしょうか。

港の海の色は絵の具のような「水色」。他では見られないような海の青さです。

写真ではうまく伝わりません。沖縄の海とはまた違う水色。学校のプールの水は水色に見えますが、それに近いかもしれません。

道に落ちていた一輪のハイビスカスを浮かべてみると、海の水色が際立ちます。

この写真を撮るのに特別なことはしていません。

ハイビスカスを海に落として、海に浮かぶ花を撮っただけです。

その美しい港にフェリーとしまがやって来ました。トカラ列島の旅がもうすぐ終わります。途中宝島を経由し、奄美大島までは約4時間の船旅です。

港に置かれていた自動販売機も、やはり船に載せられていました。

さらば小宝島、そしてトカラ列島。情報がほとんどなく、宿の予約も出来ず、「行けば何とかなる」で来てしまいましたが、各島でいい経験をすることが出来ました。
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今回はここまで。本日もありがとうございました。
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