ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は【2020年→2021年 年末年始の旅】その7をお届けします。
★前回の記事★
2021年春 12駅が廃止される宗谷本線
2020年→2021年、14日間にわたる年末年始の旅。
4日目は北海道・旭川からスタートです。

明るくなる前から出発です。
夜に降っていた雪は止んでいますが、沿道には身長以上の高さにもなる雪が積もっています。
ただ、さすがは雪国。
歩道は全く雪が残されていないので、普通のスニーカーで歩いている私でも、滑って転ぶ心配はありません。

がんばろう!旭川
ご時世を象徴するような横断幕です。

早朝の旭川から向かうのは、日本最北端のまち「稚内」です。
午前中はずっと、宗谷本線の車内で過ごすことになります。
旭川から稚内までは約260km。
ちなみに、宗谷本線で旭川から稚内まで行くのは2回目、前回は2016年の1月でした。

こちらはJR北海道から出ている「駅別乗客人員」。
これを見ると旭川~稚内を結ぶ宗谷本線だけカラフルになっていることが分かります。
つまり、1日の乗客人員が、10人以下の駅がいくつもあるということです。宗谷本線は以前から「単独では維持困難な線区」と言われていました。
「宗谷本線」と検索しようとすると、ヤフーでもグーグルでも、検索候補の一番上に【宗谷本線 廃止】と出てきます。

そして、2020年12月、JR北海道は2021年春のダイヤ改正で、18駅を廃止することを発表。
そのうち12駅が宗谷本線の駅でした。
宗谷本線のアクションプランをみると、すぐに全線廃止になることはなさそうですが、今回の乗車は、きっと貴重な経験になるはずです。

途中の名寄までは2両編成での運転。

こちらが移動の途中で撮った、車内の写真。
朝一の列車でありながら、終点の稚内まで直通する1日1本の普通列車ということで、車内は混雑しており、立っている人もいました。
ただ、乗っているのは地元の人ではなく、皆さん稚内まで乗車する旅の人です。
座れてよかった、6時間近く立ちっぱなしは辛いです。
6時3分発 旭川発 普通列車稚内行き

ぴっぷは北海道らしい、アイヌ語に由来する独特の地名。
「沼(または石)の多いところ」という意味を持つアイヌ語の単語【ピプ(ピピ)】から比布となったそうです。
北海道を代表するお米「ゆめぴりか」発祥の地でもあります。
そして、比布駅の前後「南比布」「北比布」は、2021年春に廃止されることが決まっています。

しばらく山を登ってたどり着いたのは「塩狩駅」。
かつて、この地で起こった鉄道事故を描いた小説「塩狩峠」の発行部数は370万部以上にもなるそうで、駅の名前はそれなりに知られていると考えられます。
鉄道の乗降客数はほぼゼロですが、「塩狩峠記念館」もあり、塩狩駅がある和寒町の観光資源として存続が決まった駅です。
和寒町による寄付金制度もあります。

ようやく外が明るくなっていきました。
厳しい冬の景色を感じさせますが、車内は暖かく快適です。

朝食は太平洋フェリーの寄港地・仙台のイオンでゲットした菓子パン。
賞味期限切れですが、全く問題ありません。腹が膨れればそれでいいのです。

士別に到着しました。
「羊のまち」と書かれています。
士別市では観光やまちおこしのために、サフォークという、顔が黒い種類の羊が千頭以上飼われているそうです。「羊のテーマファーム」なる場所もあります。

こちらは瑞穂駅。
雪深い中にポツンと小屋と、駐輪場に置かれた1台の自転車。
車窓から、映画のワンシーンを見ているような気分になってきます。

旭川を出発してから約2時間、もち米の産地として有名な、名寄に到着しました。
久しぶりに列車の外へ出ましたが、車内の暖房で身体も温まっているせいか、凍えるような寒さはありません。
ここから先は1両編成での運行です。
出発後すぐに、切り離した車両は雪で見えなくなってしまいました。
北海道らしい駅、廃止になる駅

北海道らしい貨車を生かした駅舎。
こちらは智恵文駅です。

紋穂内駅は廃止が決まっている駅のひとつです。
読み方は「もんぽない」。アイヌ語で「小さい野にある川」という意味があるそうです。
1911年の開業なので、今年で開業から110年の歴史があります。こういった駅も、廃止後はホームや駅舎が取り壊されることになるのでしょうか。

豊清水駅に到着しました。
列車の顔もすっかり雪に覆われてしまっています。
ここでは列車の交換でしばらく停車します。
実はこの駅も秘境駅。
近くに道路はありますが、駅から一番近い民家までは、900mも離れているそうで、もちろん利用者はほとんどおらず、廃止が決まっています。
皆さんカメラを構えて待つ中、雪を巻き上げながらやって来たのは、稚内からの特急列車。
列車通過後は、巻き上げられた雪によって、一時的にホワイトアウトが発生し、列車の姿はあっという間に見えなくなってしまいました。
豊清水駅の次は天塩川温泉。
深い雪の中を走る様子を動画で撮影してみました。
こういった何気ない景色の様子も、長い目でみると貴重なものになるはずです。

時刻は9時になりました。
この辺りでようやく、旭川と稚内の中間地点です。

寒さ対策のため、宗谷本線の窓は二重になっています。
気が付くと、窓に氷の結晶が張り付いていました。
外はそれほど寒いということです。
存続する駅もある

筬島(おさしま)駅。
廃止になる駅がある一方で、JRではなく、沿線自治体の管理に移行することよって存続する駅もあります。
筬島駅も一見「誰が利用するのか」と思いますが、駅がある音威子府村が管理することで存続が決まった駅です。
★音威子府村 みんなの駅プロジェクト★
筬島駅から次の佐久駅までは19kmも距離があります。
列車は21分間走りっぱなしとなりますが、廃止になる駅が増えると、こういった区間も今後は増えてくることでしょう。
宗谷本線沿線の音威子府村・美深町・中川町の3町を合わせた面積は、東京都の70%、大阪府の80%にもなる一方で、面積のほとんどが森林で、8000人ほどしか住んでいないそうです。

そうした森林地帯を流れるのが天塩川。
信濃川・利根川・石狩川に次いで、日本で4番目に長い川です。
士別市にある天塩岳を源流に、名寄市から宗谷本線に合流。名寄から幌延までは天塩川・宗谷本線・国道40号線が並行して走ります。

天塩中川駅。
1922年開業ということで、もうすぐ開業100周年を迎える駅です。
2014年に改修工事が行われ、昔の木造駅舎の姿が復元されたということで、この写真だけでも、レトロな雰囲気が感じられます。

歌内駅にもこんもりと雪が積もっています。
乗車人員1日平均は1名以下の駅ですが、しっかりと除雪がされているのはさすがです。
駅に対する想いのようなものが感じられます。

しばらくすると、雪は収まり、太陽が見えてきました。


安牛駅(上)と上幌延駅(下)は、いずれも廃止が決まっている駅です。

幌延駅に到着しました。
ここでは15分ほどの停車時間があったので、改札の外へ出てみることに。

地図を見ると駅から歩いて2、3分の場所にスーパーがあったので来てみました。
SAIJO Qマートは、初めて聞いて名前のスーパーですが、どうやら道北を中心に何軒か店舗があるようです。

軽食にカレーパンをゲットし、再び列車に乗り込みます。

宗谷本線・稚内行き
LEDではなく、昔ながら表札での案内です。

幌延駅のホームに「北半球ど真中 北緯45度の町」という看板が置かれていました。
幌延町は、赤道と北極の中間地点にあたる北緯45度線が通っており、別の場所には『北緯45度通過点モニュメント』も設置されているそうです。
北緯45度はフランスの中南部からイタリア北部、アメリカのミシガン州やオレゴン州と同じ緯度になります。
ちなみに、看板に【トナカイの里】と書かれているのは、幌延町にトナカイ観光牧場があるためです。

ここからあと約1時間、銀世界を走る汽車の旅となります。
.
今回はここまで。本日もありがとうございました。
★続きはこちら★
コメント