冬の沖縄は意外と寒い!北風が強く曇りの日が多い理由|観光アイデア教科書 Vol.30

観光アイデアノート

そろそろ関東では桜のシーズンを迎えます。一方、沖縄に咲くカンヒザクラ(寒緋桜)は、1月から2月に満開を迎えるため、卒業・入学シーズンにすでに散ってしまっています。

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暖かくなるのが早いから桜の開花も早いと思われがちですが、冬の沖縄は結構寒いです。今回はその理由をまとめてみました。

★前提となる知識★

冬の沖縄は意外と寒い 体感温度を計算

内地出身の私が沖縄で寒がっていると「すっかり沖縄に染まったね」と言われがち。それはそれで嬉しいですが、でもやっぱり寒いと思うのです。

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日本一早い桜まつりとされる、本部町の桜まつりは1月18日から開催されており(2020年)、「さっぽろ雪まつり」より早く行われます。しかし沖縄には、「お花見」の文化がありません。その理由のひとつに「寒さ」があると、巷では言われています。

私が「沖縄は意外と寒い」と知ったのは、初めての沖縄旅行で、3月下旬の波照間島を訪れたときのことです。

2泊3日滞在しましたが、その間ずっと東京を出発した時と服装は変わらず。決死の覚悟で海水浴もしましたが、凍える寒さのため、罰ゲーム感しかありませんでした

★参考:波照間島旅行記★

沖縄に移住してからは、原付に乗って生活していましたが、やはり冬場は凍えます。手袋やマフラー、ダウンジャケットなど、東京の真冬と同じ服装をしていないと耐えられません。一方、部屋の中ではそうでもなく、暖房を付けるのは年数回だけでした。

こちらは1年で最も寒かった月の平均気温(最寒月平均気温)。例えば那覇市は、7月や8月の平均気温が29℃前後になるので、冬は夏より10℃近く下がることとなります。沖縄は赤道から離れているため、常夏ではなく、しっかり冬があるのです。

桜前線発信の地 本部町

そうは言っても5月の東京と同じくらいの気温。「なんだ、やっぱり暖かいな」と思われるかもしれませんが、冬の沖縄には、実際の気温よりも寒さを感じさせる2つの要素があります。

その1. 湿度が高く北風が強い

気象庁ホームページより

ひとつは。沖縄の冬は、平均5m程度の風が北北東から吹いています。

気象庁ホームページより

また、沖縄・那覇の12月から2月の平均湿度は70%を超えており、他の地点と比べても湿度が高いことが分かります。

気温・風・湿度によって決まるのが体感温度。そして、体感温度を計算してくれるサイトを利用して作成したのがこちらの表です。一般に湿度が高いと暑く感じる(蒸し暑い)と言われますが、風が吹いている場合は別。風速5mで気温15℃以下になると、湿度が高くなるほど、体感温度は下がります

3月にはひまわりも咲く

最初にご紹介した表はあくまで平均気温。沖縄でも冬の朝晩は15度を下回り、さらに70%の湿度と5mの北風の影響で、体感気温が5℃を下回る日もあるのです。一方、室内がそれほど寒くないのは風が無いからと言えるでしょう。

冬の沖縄で北風が強い理由

冬の沖縄に北風が吹きつける理由は「西高東低の冬の気圧配置」の影響です。

サトウキビの収穫シーズンでもある

「風」とは、気圧が高い(=空気が重い=高気圧)場所から、気圧が低い(=空気が軽い=低気圧)場所へ空気が移動することで発生します。つまり冬は、北の空気が沖縄に向かってきているのです。

卒業シーズンにはお菓子の首飾りが定番

冬の時期、沖縄の北にあるのがシベリア高気圧。水(海)に比べて岩(地面)は、熱の影響を受けやすく、シベリア周辺のユーラシア大陸内陸部は、冬の時期にかなり気温が下がります。

電照菊も見られる

冷えて収縮した空気は密度が高く重くなり、重くなった空気は下降気流を発生させます。下降気流が発生する地域には高気圧が形成され、これが西高東低の「西高」の正体です。

極めて寒い地域では、下降気流が発生し高気圧が形成される仕組みは、シベリア周辺だけでなく、北極や南極にも当てはまります。北極や南極は空気が冷やされ続けるため、下降気流が発生しやすく、「極高圧帯」を形成します。

赤道付近で上昇した空気が亜熱帯高圧帯で下降するのと逆の現象も起こり、北極や南極で下降した空気が地面にぶつかり、暖かい地域へと向かいます。そして、北緯60度付近で亜熱帯高圧帯から北上してきた空気とぶつかると、上昇気流が発生。ここに低気圧が発生し「亜寒帯低圧帯」が形成されるのです。

★参考:気候帯の詳細はこちら★

この原理により発生する低気圧が「東低」の正体で、アリューシャン低気圧のことを指します。冬はシベリア高気圧が発達する一方で、アリューシャン低気圧の勢力も相対的に強くなり、空気の移動(風)が発生します。

北半球では、高気圧の中心からは時計回りに風が吹き出ると同時に、低気圧の中心に向かって反時計回りに風が吹き込みます。沖縄に吹き付ける風は、シベリア高気圧からアリューシャン低気圧に向かう空気の一部なのです。こうした風が吹くのは、シベリア高気圧が発達する冬だけなので「季節風」とも呼ばれます。

タクマ3

風向きがあまり変わらず、長い時間吹き続けるため、海上では波が高くなります。そのため、那覇と沖縄本島北部を結ぶ高速船・タクマ3は、冬の欠航率が高いです。

★参考:揺れる高速船たくま3★

その2 風が沖縄に雲を運ぶ

沖縄周辺には、赤道周辺で温められた海水が北に向かって流れています(=暖流黒潮)。

冬の日本海側で雪が多い理由

大陸から吹く乾いた空気は、黒潮の海を通過する過程で温められ膨張。さらに、空気は海からの水蒸気も含んだ状態で、上昇気流が発生します。上昇気流が発生するということは、雲が出来るということです。

この雲が北風に乗って沖縄へやってくるので、冬の沖縄は日照時間が少ないです。ちなみに上昇気流がある場合、雲が出来ても、雨が降ることはありません。収縮した空気から溢れた水滴が大きくなって初めて、上昇気流の力では空気中に浮かんでいられず、雨となって地上に降ってきます。

曇っていると沖縄の海もいまいち

冬の日本海側ではこの作用により雪が降りますが、沖縄には山がないため、空一面が雲で覆われることが多くなります。太陽の光が無いと、風の影響を受けない部屋の中でも冷えるので、暖房は付けなくても、普通に厚着は必要です。

冬の沖縄に旅行で訪れて「暖かいな」と感じるのは、きっと旅行でテンションが上がっているから。1週間も滞在した頃には「思ったより寒いな」と感じてくるはず。沖縄の冬が寒いと感じない人は、まだまだ沖縄初心者かもしれません。

沖縄のスーパーでも冬はカイロが売っている

内地の冬と同じ寒さ対策をしていれば、何ら問題はないでしょう。ただし、冬の沖縄に半袖短パンで訪れたり、さらには海へ入ったりするときには、少々覚悟が必要とアドバイスさせていただきます。

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今回はここまで。本日もありがとうございました。

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