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今回は【2020年→2021年 年末年始の旅】旅行記17をお届けします。
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冬の日本海側は雨や雪が多い
2021年1月、友人の車に乗せてもらい冬の能登半島をドライブしています。
西高東低の冬型の気圧配置によって、大陸から日本本土に向かって吹く乾いた空気(風)は、暖流の対馬海流を通過する過程で温められて膨張。さらに、空気は海からの水蒸気も含んだ状態で山々にぶつかり上昇気流が発生。この上昇気流によって雲が出来て、冬の日本海側は雪や雨が多く降ります。
■ 参考:西高東低の冬型の気圧配置について
こちらは富山県の観光スポット「雨晴海岸」。富山湾越しに見える3,000m級の立山連峰に、水分を多く含んだ空気がぶつかるのです。
輪島市の平均気温を見ると、冬でも最低気温が0度を下回ることはありません。そのため、市街地は積雪も少なめ。これもまた暖流の対馬海峡の影響であると考えられます。
一方で、海沿いを離れて少し坂道を上るだけで、雪の量が大きく変わります。これは「100m標高が上がると、気温が0.6度下がる」という原理によるものでしょう。
これから目の前に山が見えている山を越えていきます。この写真を撮ったのは12時18分。
それから9分後、12時27分に撮った写真がこちら。いきなり豪雪地帯に入りました。道端には1mを超える雪が積もっています。
それから11分後、12時38分の写真はこちら。山を越えると、また雪が少なくなりました。
北陸の天気が変わりやすい理由
今度は「雹(ひょう)」が降ってきました。冬の北陸は天気が変わりやすいことで知られており、「弁当忘れても傘忘れるな」という言い回しも有名です。
鎌倉幕府に追われ奥州へ向かった源義経も、雨晴海岸でにわか雨に当たったそうで、岩陰で雨宿りをしたことが地名の由来となっています。それではなぜ、冬の北陸は天気が変わりやすいのでしょうか。
冬の積乱雲が発生する仕組み
冬の日本海側では、対馬海流の暖かい海面(=海面付近の温められた空気=上昇しようとする空気)と、冬型の気圧配置の影響で上空に流れ込んだ寒気(=下降しようとする空気)との間で大気の状態が不安定になり、積乱雲が発生します。
この積乱雲は季節風に乗り陸地へ侵入しますが、やがて熱や水蒸気の補給が断たれて衰弱。そのため、冬季の雷(=不安定な天気)は日本海沿岸部で多く、海岸からの距離が離れるほど少なくなるのです。
■ 参考:1
全国各地の気象台や測候所の目視観測に基づく雷日数(雷を観測した日の合計)の平年値(1991~2020年までの30年間の平均)によると、年間の雷日数が多いのは東北から北陸地方にかけての日本海沿岸。金沢市の45.1日が日本一の多さです。これは、夏だけでなく冬も雷の発生数が多いためとされています。
■ 参考:2
暖流だけでなく冬の風向きも興味深いです。こちらは秋田・酒田(山形県)・佐渡島・新潟・富山・金沢・輪島・福井・鳥取における、12月から1月の平均的な風向きをまとめた表。西高東低の冬型の気圧配置の影響で、北西方面からの風が吹いていると思いきや、新潟~鳥取にかけては「南」からの風が吹いていることが分かります。
この理由は不明ですが、暖流だけでなく、冬の北陸地方(の地表付近)では南からの温かい空気が運ばれているため、大気の状態が不安定になっているのです。
「鰤(ブリ)起こし」という言葉の由来にもなっている
北陸に冬の訪れを告げる雷鳴を待ちわびているのが富山の漁師さんたちです。
この時期、ブリは産卵のため北海道から五島列島へ向かって日本海を南下。その途中、海に突き出した能登半島によって、足止めされるブリたちが一定数いるそうで、そこを狙って寒ブリ漁が行われています。
寒ブリ漁の歴史は古く、加賀藩祖前田利家の時代からブリ漁が盛んだったそうです。昔からブリが雷に驚く事で沢山獲れると言われており、晩秋から初冬にかけて、寒く雷が鳴る大荒れの日を北陸地方では「鰤(ブリ)起こし」と呼びます。なお、こうした習わしがあるのは、北陸地方だけではありません。
秋田でも初冬、雷が鳴る頃に「ハタハタ」が産卵のため沿岸へ押し寄せます。ハタハタは「雷の魚」、すなわち「はたたがみうお(はたたがみ:激しく鳴りとどろく雷という意味)」と考えられ、いつしかそれが「ハタハタ」になったと言われているそうです。ハタハタを漢字で書くと「魚へんに神(または雷)」。今も名前の由来の名残を留めています。
■ 参考::3
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今回はここまで。本日もありがとうございました。
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