郵便局も学校もある!池島(長崎市)を歩いて観光~廃墟が解体されずに残る理由|2024 旅行記3

島旅

ブログをご覧いただきありがとうございます。

今回は「2024年 長崎&佐賀旅行記」その3をお届けします。

★前回の記事は こちら ★

有人島・池島を歩いて観光

2024年5月4日、長崎市の有人島・池島を歩いて観光しています。

戦後の炭鉱開発で栄えた池島。最盛期には周囲約4kmの島に7,000人以上が暮らしていましたが、2001年の閉山後に人口は激減。多くの建物が老朽化・立入禁止となりました。こちらの「レストラン&喫茶 モナーク」も営業はしていません。

「池島ファミリーボール」はボウリング場だったのでしょうか。池島が最も賑わっていた1970年代は日本にボーリングブームが到来し、漁村や農村に次々とボーリング場が作られたそうです。

■参考:1

「スナック エーワン」と「雀王」は、その名の通りスナックと雀荘だったのでしょう。どのお店も同じ看板&同じ形状の建物なので、これらの娯楽施設も炭鉱会社によって運営されていたと考えられます。

ここまで紹介したお店があるのはこのあたり。港からはやや離れていますが、かつてはこの一帯が島の中心街としてにぎわっていました。

郵便局と公民館

なも、今も暮らしている人がいるため、全ての建物が廃墟というわけではありません。

こちらの池島簡易郵便局は現在も通常通り営業しており、ポストの横には現役の公衆電話も置かれています。

こちらの公民館も恐らく利用されている建物です。入口にはAED設置施設であることを示すステッカーシールも掲示されています。

公民館に設置されているガスボンベには「(有) 丸木ストアー」という、池島に住所を置く会社の名前が書かれていました。会社のホームページによると設立は1971年で、現在はプロパンガス、小売業を営んでいるそうです。

宿泊することもできる

そしてこちらが池島で唯一の宿泊施設「池島中央会館」。長崎市の外海観光サイトに電話番号が掲載されており、そちらから予約ができるようです。宿泊は素泊まりのみで、料金は1泊3,546円となっています。

入口には自動販売機もありますが、購入することが出来る飲料は4種類のみ。「販売中」や「売切」の文字が光っているので、恐らく現在も動いていると思われます。

信号機と小中学校

島で唯一の信号機にやって来ました。カーブの先にあるので、補助信号機付きです。小さな島にある信号機といえば…

小中学校がセットになっています。信号機は教育用に設置されたものです。この場所に池島小中学校が開校したのは1959年のこと。

外の時計は時間が止まっていますが、廃校ではなく、長崎市のホームページによると、2025年度は全校生徒2名(小学生1名、中学生1名)が通っているそうです。

せっかくなので、池島で唯一の信号機を青にして、横断歩道を渡ってみました。

ただしこの信号機、車道側が片方しか機能していないので、青信号でも車に注意して横断する必要があります。

池島の廃墟が解体されずに残っている理由

池島で廃墟となっているのは、炭鉱関連施設や商業施設だけではなく、かつて炭鉱住宅として建てられたマンション群も、いまではほとんど人の気配がありません。

小さな島に8階建ての建物がずらりと並ぶ光景はもともと異様ですが、そのほとんどが廃墟となっている状況が、異様さを際立たせています。

動画ではこんな感じ。生活音だけでなく、鳥の無き声や波の音も聞こえません。

一方で「神社下」というバス停には、今も1日12便(平日)のバスがやって来るというのが趣深いです。

しかし、この時は神社がどこにあるのか分からず。

GoogleMapを確認すると、池島神社は小中学校の裏山にあり、写真を見ると綺麗に整備されています。今も人が暮らしている証とも言えるでしょう。

街灯は折れてしまっていますが、これは今の島暮らしには必要がないからであると考えられます。

坂を登って反対側に来ると、8階建てのマンションが4階建てのように見えるようになりました。

エレベータを設置する代わりに地形の高低差を利用し、4階部分と5階部分に廊下と通路橋を設けることで、8階の住人も階段を使わずに自宅へ行くことが出来る構造になっています。

こちらが道路から4階へと通じる道。立入禁止になっているので、このマンションには人が住んでいないのでしょう。

そして、このマンション群のそばに「第二立坑事務所」があります。

こちらがマンション群と第二立坑事務所を繋ぐ道。頭上には「御安全に」と書かれた看板が残っていました。

なお、第二立坑事務所は立入禁止。立入禁止の看板に記されているのは、ここまでの【三井松島ホールディングス(株)グループ】ではなく、【三井松島リソーシス(株)】という会社です。

同社のホームページによると、『旧炭鉱跡地を中心とする資産を承継し、住宅用・商業用の不動産管理業務の他、長崎市から「池島炭鉱体験施設」の運営を受託する等、地域の活性化・良好な生活環境の維持に貢献しています。』とのこと。

どうやら池島には【三井松島ホールディングス(株)グループ】と【三井松島リソーシス(株)】、また長崎市の管理している廃墟が混在しているようです。こうした所有権の複雑さが、廃墟が解体されずに残っている原因のひとつであると考えられます。

池島の廃墟が放置されている明確な理由は分かりませんが、廃墟が多く残る鬼怒川温泉(栃木県)には、次のような要因があるとされています。

  • 権利関係が複雑で、所有者の所在が不明になっている
  • 解体費用が高額で、行政の予算では対応が難しい(行政代執行ができない)
  • 道路が狭く、大型重機の搬入が困難

こうした事情は池島にも共通していると考えられます。さらに池島の場合は…

  • 一部の建物には現在も住民がいる
  • 「九州最後の炭鉱の島」として、産業遺産や観光資源の観点から注目されている

といった事情も影響しているのでしょう。

池島を訪れた人のブログなどを見ていると、解体作業は少しずつ進んでいるようです。2024年4月には、かつて石炭の選別が行われていた「選炭工場」の解体作業中に死亡事故も発生しています。

この辺りでは電線が切れていたり垂れ下がっていたりしており、やや危険な印象です。池島の廃墟群は観光用に整備・保存されているわけではないため、建物の老朽化や倒壊の危険も踏まえ、十分注意して見学する必要があると思いました。

.

今回はここまで。本日もありがとうございました。

.

コメント

タイトルとURLをコピーしました