ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は「2022年 トカラ列島旅行記」その6をお届けします。
★前回の記事は こちら ★
口之島の人口
2022年5月16日、トカラ列島最北端の島「口之島」を旅しています。
日本最後の秘境とも言われるこの島にはどんな暮らしがあるのでしょうか。ここからは集落を散策します。
2020年の国勢調査によると、島の人口は103人。人が住んでいるのは港周辺とこちらの集落だけ。島の大部分が緑に覆われています。
人口は2005年から増加傾向が続いていたようですが、2015年から2020年にかけては56名の減少となりました。
年代別に見ると、特に「50歳~54歳」「75歳」以上の減少数が大きく、この2つの年代だけで計35名が減少しています。ちょうど高齢になった親とその子世代の年齢です。
通院や介護の必要性から、大きな病院のある都市に引っ越したのでしょうか。年齢に関わらず、離島で暮らしていると、いざという時に命が助かる可能性が下がります。特に高齢の方が島で暮らすには一定の覚悟が必要ということです。
口之島が属する十島村では、移住してテレワークをする人に補助金を出すなど、生産年齢人口を維持する努力が行われています。これ以上島の人口が減少すると、船に乗る人も船が運ぶ荷物も減るため、定期船を維持することが出来なくなるのです。
さらに、十島村の定期船「フェリーとしま2」は村営船のため税収減の影響も受けます。人口減少に対して、定期船の経営はどこまで耐えるべきなのか。公共交通機関が船しかない島々で定期船が無くなれば、恐らく村自体が消滅します。今後、鹿児島県と十島村が下す意思決定は、全国の離島の参考事例になっていくことでしょう。
島内に小中学校はあり、島外から山海留学生を積極的に受け入れることで学校機能(義務教育)を維持しています。この機能を維持することは、生産年齢人口(子育て世代)を維持・増加させる上で最低限必要です。
また、学校は『先生』という移住者を呼び込むことになります。口之島の産業構成を見ると、2020年は「農業」の次に「教育、学習支援業」に従事している人が多いです。島へ赴任する先生に子供がいる場合、その子供たちも一緒に島へやって来ることもあります。
しかし、島内(村内)には高校がありません。離島や田舎の過疎化・高齢化が止まらない背景のひとつは高校や大学・専門学校などの高等教育が義務教育と化していることです。高校→専門学校の場合は約5年、高校→大学の場合は約7年、島外で暮らす子供の生活費と学費を親が島内で稼がなければなりません。
口之島に限らず、それでも多くの過疎地で人口がゼロにならないのは、地域活性化政策がうまくいっているからではなく、高齢の方が【年金を受給している=支出するお金がある】からです。
口之島の産業
口之島では農業に従事している人が多いと分かりました。
正確なデータはありませんが、島を巡って畑や田んぼは見当たらなかったので、農業の中心は畜産とバナナ?でしょうか。
こちらは何気ない島の斜面ですが、よく見ると…
すっかり緑に覆われてしまっている段々畑の跡がありました。さらによく見ると、軽トラックが止まっており、畑までの道もあるようです。かつては畑作も行われていた様子が伺えます。
2020年の国勢調査で、漁業従事者は「1名」となっている通り、港には船がほとんどいません。
こちらは採石場でしょうか。採石業に従事している人はいないため、現在は稼働していないものと思われます。
ここまで国勢調査の数字をベースに、島の産業(仕事)を見てきましたが、小さな島では兼業(複業)が当たり前であるため、統計はほとんどあてになりません。今回宿泊した民宿なかむらさんも、宿泊業だけでなく漁業やダイビングツアーを行っています。
商店や郵便局もある集落を歩いて散策
ここからは集落にある施設(≒働き口)をご紹介。
今回は滞在中の飲食を全て民宿なかむらさんでお世話になりましたが、口之島には売店もあります。「卸売業、小売業」に該当するのでしょうか。営業時間は書かれておらず、私が通ったときは営業していませんでした。
こちらは売店の外にある自動販売機。
自動販売機は港の待合室にもあります。
口之島売店の横にはセルフのガソリンスタンドがありました。ここで給油できるのはレギュラーと軽油だけ。島内でハイオクの車に給油をすることは出来ません。
乾燥機付きのコインランドリーも、自販機やガソリンスタンドと同じセルフ式の商売。雨が多いだけでなく、長期滞在する工事関係者に需要があるのでしょう。
郵便局はトカラ列島(十島村)の全ての有人島にあるため、郵便局巡りをしている人泣かせの地になっています。ちなみに、郵便局は「複合サービス事業」です。
診療所もまた各島にあり、1名ずつ看護師さんが常駐しています。2020年度は特定健診受診率が日本一となった十島村。「健診は受けて当たり前」になっているようで、そうした島民の意識を象徴するのが【レントゲン便】です。
次回ついに、知る人ぞ知るフェリーとしま2のレントゲン便に私も乗船します。口之島に2泊したのもレントゲン便に乗るためでした。
.
今回はここまで。本日もありがとうございました。
★続きはこちら★
コメント