人口増加の沖縄で地方創生。沖縄県内で関係人口創出に取り組むべき理由~観光アイデア教科書 vol.8~

観光アイデアノート

全国で人口減少と高齢化が進み、人々と地域の関わり方が多様化しています。これまで地域に移住者を呼び「定住人口」を増やす取り組みや、地域に旅行者を呼ぶことで「交流人口」を増やす取り組みなどが行われてきましたが、最近注目を集めているのが “旅行以上移住未満” の『関係人口です。

関係人口については以前もご紹介しました。今回は「沖縄が関係人口の創出に取り組むべき理由」をご紹介します。

★関係人口についての記事★

沖縄の地方創生を考える

総務省統計局によると、2019年10月1日現在、人口が増加しているのは 47都道府県のうち 7都県のみ。沖縄県は東京都についで2番目に人口増加率が高く、自然増加の傾向がみられる唯一の県となっています。2010年のデータでは、都道府県別の平均年齢も沖縄県が最も若いです。

こうした背景からか、沖縄県では地方創生や少子高齢化対策という声があまり聞かれません。「沖縄 地方創生」とネットを検索をして出てくるのは、移住・定住や関係人口の対策ではなく、ICTの推進などが多いです。

ただ、沖縄県を地域別にみると、やんばる地域や沖縄本島周辺の離島では人口減少と高齢化が同時に進行しています。また、県内全ての地域で高齢化率は上昇しており、2018年に沖縄県は超高齢社会に突入しました。

沖縄で関係人口創出

ソトコトの編集長である指出氏は、関係人口のことを「自分のお気に入りの地域に週末ごとに通ってくれたり、頻繁に通わなくても何らかの形でその地域のことを応援してくれるような人たち」と定義しています。

沖縄県の場合、地域に「通う」ということを考えると、他県からの関係人口を創出するにはハードルが高いです。沖縄県に来るためには飛行機に乗るのが一般的です(フェリーもあります)。そのため、地域外から通うとなると経済的な負担が大きくなり、持続的な取り組みにはなりません。

関係人口を創出する取り組みの根底にあるのは、東京圏の人口一極集中の是正です。地方で人口が減少している一方で、東京圏では人口が増えています。地方への移住や定住は難しくても、東京に住みながら地方に関わることで、地方の人材不足などを補うことが出来ます。

人口が減少しているやんばるや本島周辺離島の地域を維持するためにも、沖縄県内での関係人口を創出する必要があります。例えば私は、人口が増加している沖縄南部エリアに住みながら、月に1度、休日にやんばるの森にあるコーヒー農園のお手伝いをしています。

1人では微力ですが、観光客を含め、沖縄県内でこうした動きをする人がもっと出てくることを期待したいです。

★コーヒー農園の取り組み★

沖縄の平均所得を上げるためには

話は少し変わりますが、1個1円の値段が付いたチョコレートがあるとします。

沖縄にあるA社が、このチョコレートを沖縄県民1人に1つずつ売っていくとします。そうするとこの会社は「1円×沖縄県の人口140万人=140万円」を売り上げることが出来ます。

ではこれと同じことを、東京にあるB社がやるとどうでしょう。23区内だけで約1000万個売り、1000万円を売り上げることが出来ます。

ここでA社が売り上げアップを狙って、沖縄で作っている1円のチョコレートを東京で売るとすると、1円に送料を加算した値段での販売が必要になってきます。1円でチョコレートを売っているB社とも戦う必要があります。

次に島根県にあるC社が1個1円のチョコレートを県民に売ることを考えます。島根県の人口は65万人。つまり、C社は65万円を売り上げることしか出来ません。ただ、売り上げを増やすにあたって、沖縄にあるA社との違いは、島根県内だけでなく、自家用車を数時間走らせれば行って帰って来れる、鳥取県や広島県などにも商圏を広げることが出来る点です。

沖縄県では県民向けのサービスが多いです。ここで何が言いたいかというと、沖縄県民をターゲットにしたサービスは、県内の人口増減が会社の売り上げも直結するということです。

先日、河野太郎沖縄担当相が、沖縄県の1人当たり県民所得が12年連続で47都道府県でワーストに位置していることに対して「在任中に46番に引き上げる」との発言をしました。 公務員を除いて、所得や給与はお客様から支払われるお金です。

簡単に言うと、平均所得を上げるには、会社や個人が値段の高いものを売るか、お客さんの数を増やすしかありません。一方で、今は人口が増えている沖縄県ですが、2040年以降は人口減少に転じる見込みです。県内だけをターゲットにとらえると、頭打ちになるのは時間の問題です。

「そもそも平均所得を上げる必要があるのか」という点について、今回は詳しく論じませんが、個人の税金は全国同じ水準で、自給自足をしていても、税金は支払う義務があることを忘れてはいけません。

企業も沖縄県内の人口減少を見据えた対策が必要です。上記のチョコレートの例では、沖縄にあるA社が人口減少の沖縄で生き残っていくためには、沖縄県外でもチョコレートを売るための付加価値を考える必要があります。

地域の外からお金を稼ぐ

沖縄県では県民向けのサービスが多い一方で、沖縄に住んでいる人が必ずしもそうしたサービスを利用するわけではありません。Amazonで買い物もしますし、沖縄県内で稼いだお金を使って県外へ旅行に行ったりもします。

そうすると、沖縄県内からお金が外に流れてしまうのです。流れてしまったお金を回収するには、県外からお金を稼ぐ必要があります。

先日、私は冷凍のパパイヤシリシリが余っていて困っているという方に会いました。そのことを私がTwitterでつぶやくと、ツイートは瞬く間に拡散され、結果として300gの冷凍パパイヤシリシリを150パック以上売ることが出来ました。

しかし、県外に住んでいる方からの注文はわずかで、ほとんどが沖縄県に住んでいる人からの注文でした。よく言えば「地産地消」ですが、お金は地域内で移動したにすぎません。繰り返しになりますが、これでは地域全体のお金の総量が増えることはないのです。

そこで沖縄県では地域外からお金を獲得するための手段として「観光」(と基地)が重要なのです。逆に言うと、観光(や基地)に頼らないためには、シンプルに「県外で売れるもの」を作る必要があります。

まとめ:沖縄には関係人口が必要

県内だけにモノやサービスを売る企業・個人が増えてくると、沖縄県が人口減少に転じたとき、経済が壊滅的な状態に陥ります。また、観光に頼る危険性も、コロナウイルスで広く知られるようになりました。

その状態になるのを防ぐために、早い段階から関係人口を創出し、様々な人材を地域に投入することで、人口が少なくても県外で沖縄県産のモノやサービスを売る仕組みを作ることが大切なのです。

人口が減少している地域では、沖縄ならでは農作物などが生産されています。つまり、県外に売る「モノ」があるのです。人口減少に加えて高齢化も進んでいくと、そうしたモノの生産も無くなってしまうかもしれません。その解決方法が「県内での関係人口創出」なのです。

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