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今回は【2016年 小笠原諸島旅行記】その3をお届けします。
★前回の記事は こちら ★
小笠原諸島への旅行は出会いがある
世界自然遺産にも登録され、その自然が注目されがちな小笠原諸島ですが、観光客同士が仲良くなる、言い換れば「出会い」が旅行の一番の醍醐味かもしれません。
小笠原諸島(父島)への主なアクセス手段は定期船・おがさわら丸。小笠原を訪れる人々は皆、おがさわら丸に乗って島へやってきて、おがさわら丸に乗って帰ります。
そのため、おがさわら丸が到着した直後の港はこの賑わい。父島に到着したら、まずはこの中から、自分が泊まる宿のスタッフの方(看板などを持っています)を見つけるのが一般的な流れです。
ちなみに、クルーズ船でも小笠原へ行くことが出来ますが、クルーズ船の乗客が島の宿に泊まることはありません。
おがさわら丸の運航スケジュールは、繁忙期を除いて6日に1便。片道の所要時間は24時間なので、おがさわら丸の動きは以下の通り
- 1日目 東京・竹芝桟橋 出港
- 2日目 小笠原諸島・父島 入港
- 3日目・4日目 父島 停泊
- 5日目 父島 出港
- 6日目 竹芝桟橋 帰港
小笠原ではこの6日間を『1航海』と呼び、旅行者も島民も、おがさわら丸の運航スケジュールに合わせて行動する必要があります。悪天候で滞在中にやることが無くなっても、一度上陸したら3日間は島から出ることが出来ないのです。
■ 参考:日帰りで行く小笠原の旅
観光客同士が仲良くなりやすい
例えば、小笠原諸島のラッピングがされた埼京線を見て、「小笠原諸島に行きたいな」と思っても、おがさわら丸のスケジュールに合わせて連休を取ることは、多くの人にとって難易度が高いことです。
一人旅が多い
誰かと一緒に小笠原へ行く場合、日程調整の難易度はさらに高くなります。長期休みが取りやすいお盆やGWは予約が殺到し、受付開始から数分で乗船券が売り切れてしまうような状況です。
■ 参考:おがさわら丸の予約が取れない件について
さらに東京ー父島間は、最も安い2等和室でも往復で5万円以上かかります(写真は学割の値段)。これに加えて、3泊分の宿泊費や食費、体験ツアー等に参加するためのお金も必要です。
■ 参考:小笠原旅行にかかる旅費について
そんなわけで、小笠原諸島を訪れる観光客は4分の1以上が一人旅となっています(2016年度 小笠原村観光マーケティング調査より)。
小さな宿に3連泊する
父島は原付で30分あれば周れるような小さな島。滞在中にわざわざ宿を変える方はほぼおらず、多くの方が同じ宿で3連泊します。
小笠原に大きなホテルはありません。小さな宿に3連泊するので、食事の時間などに他の宿泊者と顔を合わせる機会が多いです。また、おがさわら丸の船内で見かけた人と、ツアーや飲食店で一緒になることもあります。
そして皆さん一人旅。沖縄や奄美に行くのではなく、面倒なスケジュール調整や24時間の船旅を経て、わざわざ小笠原を訪れている人たちなので、初対面でも話が弾み、誰かしらと仲良くなりやすい環境なのです(類は友を呼ぶ)。
観光客だった移住者が多い
観光客だけでなく、小笠原の島民の皆さんにも共通点があります。
1970年の国勢調査によると、小笠原村の人口は782人。ここで注目すべきは1965年の人口との差。増加数が782ということは、1965年の人口はゼロだったということです。
太平洋戦争中の1944年、小笠原諸島には疎開命令が出され、全島民が本土に疎開。戦後も米軍統治下となり、多くの島民が帰島を認められませんでした。
こちらは小笠原村の人口推移。いわば「人口ゼロ」の状態から、50年で3000人近く増加した背景には、移住者の存在があります。小笠原には、観光で初めて訪れて、そこから島にハマって移り住んだという島民の方が多いです。
小笠原が好きで移住した島民の方は、観光客の気持ちを理解してくれています。そのため観光客にもフレンドリーで、さらには一人旅同士を繋げてくれたりもします。小笠原には、島が好きで移住した人が、次のファンを作っていくような循環があるのです。
父島の宿は小笠原ユースホステルがおすすめ
今回私が泊まったのは小笠原ユースホステル。
大きな荷物だけ車に乗せて、宿まではこの日チェックインする皆さんで歩いて移動します。
港からは10分ほどで到着。チェックインの手続きを済ませ、部屋に荷物を置いたらフリータイム。門限はありませんが、私はおがさわら丸入港日の夜に開かれる『ミーティング』を楽しみにしていました。
宿泊者同士で自己紹介?ミーティングに参加
ミーティングでは、宿の共有スペースに宿泊者と島民が輪になって座り、ペアレント(オーナー)の方が仕切る中、自己紹介と「小笠原に来た理由」などを順番に話していきます。昔のユースホステルで当たり前のように行われていた文化ですが、今ではほとんど行われていません。
参加は自由ですが、この日は宿泊者ほぼ全員が参加しており、総勢30名ほどの会でした。皆さんの話を聞いていると、旅行好きな人はもちろん、通年行事的に足を運んでいるリピーターの方も多いようです。
また、小笠原を知ったきっかけは「ネットを見て」よりも、「旅先でおすすめされた」「小さい頃に知って憧れていた」という方が多かったです。そして、ミーティングが終わった後も、他の宿泊者の方と交流は続きます。
そのまま星を見に出かけて、また少し飲んで、今度は朝陽を見に行くというような過ごし方をしてしまうと、3泊4日の島時間はあっという間。初日から会話も弾み、このメンバーで残り3日も過ごすとなれば、もう一人旅ではないような気がします。
出港パーティーに感動
小笠原ユースホステルでは食事やおにぎりの提供がありますが、私は金銭的な余裕がなかったので素泊まり。
朝食は持参した食パン、夕食も持参したカップ麺。昼食は食べずに5泊6日を過ごしましたが、最終日の夜に開催される出港パーティーには、別途料金を支払って参加しました。
パーティーの流れは以下の通り
- 食事の途中で電気が消される
- ヘルパー陣による南洋踊り披露
- 宿泊者の一発芸(立候補制)
- ロシアン島寿司
- 宿泊者が1人1人思い出を語る
- オーナー夫人によるウクレレと唄
- 「切手のない贈り物」の合唱
こんな経験が出来る宿は、私が知る限り日本でここだけです。ご飯が美味しいのはもちろんですが、パーティーの温かく優しい雰囲気にやられました(泣きました)。
父島へ向かうおがさわら丸では、1人で船酔いと闘っていましたが、帰りの24時間は宿の皆さんと語らい、旅の思い出を深めることが出来ました。一人旅の方、旅行が好きな方は、小笠原ユースホステルへの宿泊がおすすめです。
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今回はここまで。本日もありがとうございました。
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