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今回は「2017年 九州・沖縄の島を巡る旅」旅行記その5をお届けします。
★前回の記事★
三島村の少子高齢化対策
硫黄島を一通り散策して、宿へ戻ってきました。今回お世話になったのは『島宿ほんだ』さん。

日帰り上陸が出来ない硫黄島ですが、宿泊施設は5軒のみ。そして、離島の宿は工事関係者が長期滞在している場合が多く、今回も当初は予約を取ることが出来ていませんでした。この旅の数日前、東京で行われた『アイランダー』の三島村ブースで、たまたま宿の方と話すことが出来て、運よく泊まれるようになったのです。

こちらは2019年のアイランダーにて。硫黄島が属する三島村では移住・定住を促進しており、移住すると子牛1頭が貰えるというPRをしていました(笑)

三島村には硫黄島の他に「黒島」と「竹島」があります。 2020年の国勢調査によると、三島を合わせた三島村の人口は約400人。全国にある1741市区町村の中で、11番目に人口が少ないです。ただ、ここ10年の人口推移を見ると、減少率が低くなっていることが分かります。

1980年と2020年の人口ピラミッドを比べると、全体的な数は減っていますが、形はそれほど変わらず、むしろ年少人口の割合は昔よりも高いです。三島村には全部で4つの小中学校があり(黒島に2校)、山村留学生の受け入れを積極的に行うことで、年少人口が維持されています。
人よりもクジャクが多い島
硫黄島2日目。10時出港の船で鹿児島へ戻るので、それまでは島を歩いて散策します。

やって来たのは、集落のそばにある硫黄大権現堂。別名「熊野神社」と呼ばれ、前回ご紹介した成経と康頼が、都への帰還を願って、紀州熊野三所権現の分身・分霊をここに移し、建立したと言われています。

旧暦の8月1日・2日に熊野神社で行われる「硫黄島八朔太鼓踊り」には、メンドンと呼ばれる仮面神が登場し、この仮面神は2018年、世界無形文化遺産にも登録されています。

しかし私がここへやって来た目的はこれです。発見しました!硫黄島では野生のクジャクを見ることが出来るのです。

野生のクジャクが道を歩く様子は、上陸前から楽しみにしていたことですが、前日は見つけることが出来ず。熊野神社がクジャクたちのねぐらになっていると、宿の方に教えていただいたのでした。

1970年代、日本に離島ブームが到来したころ、ヤマハリゾートという会社が硫黄島の観光開発を行いました。飛行場やリゾートホテルが建設されたものの、1983年、経営不振によりそれらの施設は閉鎖されます。その時に持ち込まれたクジャクたちが放置され、野生化しました。
今では300羽超のクジャクが生息しているとか。「白いクジャク」を発見すると幸せになれるという噂もあるそうです。ちなみに、沖縄県の八重山諸島でも野生のクジャクを見ることが出来ますが、八重山では大繁殖してしまい、生態系を壊す存在として、駆除対象になっています。
★参考:小浜島でクジャクを発見★

こちらが硫黄島の人口ピラミッド。総人口が139人なので、2020年の時点では、人口よりもクジャクが多い島となっています。
硫黄島の産業 牛も多い
リゾート開発の名残として、今も残るのはクジャクだけではありません。

飛行場です。1994年に三島村がヤマハから買収し、日本初の村営飛行場として開港しました。毎週月曜日と水曜日の週2便、硫黄島と鹿児島空港を50分で結ぶ、定員3人のセスナ機が飛んでいます。

飛行場は開放されていましたが、立ち入りは禁止です。しかしこの島の場合、注意すべきは人間よりも、牛だと思います。

空港近くの道端にポツンと立つ公衆トイレ。その後ろに広がる丘をよく見ると、牛が歩いています。

そして私の前からも牛が歩いてきました。「どうしようか」と迷っている、さらにその後ろから何頭か出てきました。
「襲ってきませんように」と願いながら、その場で留まっていると、私のことを全く気にせず、牛さんたちは去ってくれました(笑)「みしま牛」のブランド確立を目指し、三島村では畜産を推進しているそうです。

こちらが三島村の産業構成で、硫黄島も似たような形となっています。教育・学習支援業に従事している人が全体の4分の1を占めていますが、これは村内に4つの小中学校があるためです。次いで多いのは、畜産も含む農業です。

硫黄島の硫黄採掘は、需要の減少により1964年に閉山。ここから人口減少が本格的に始まったそうです。1980年からはオパール硅石(セラミック・ガラスの原料)の採掘が行われたようすが、安価な輸入品の増加すると、こちらも工場は閉鎖となりました。

これはツバキの木でしょうか。ツバキは硫黄島の特産品のひとつ。島には「カメリアロード」という場所もあります(「ツバキ」を英語でいうとカメリア)。ツバキから採れる油は、食用や化粧品として、島で愛用されてきたそうです。お土産としても購入することが出来ます。

写真の中央やや左に、小さな小屋があるのが分かりますか?こちらは鹿児島市が運営する「冒険ランドいおうじま」。2004年に総事業費5億円以上をかけて建設された、『青少年の家』のような施設ですが、利用者が少ないことから、今後の方向性が議論になっているようです。

観光地化されておらず、観光客も少ない島ですが、見どころ満載のとてもいい島旅になりました。
ジャンベが響く盛大なお見送り
ということで、フェリーみしまに乗船し、鹿児島市内へ戻ります。

船に乗る前、自動販売機で飲み物を買おうとしたら、こちらも島感が溢れ出ていました(笑)
★参考:島の自動販売機は要注意

船が入港してきました。この茶色い海に船がやってくるのは、やはり不思議な感じがします。

そして乗船すると、島の奥様達による賑やかな演奏が始まりました。どうやら、船の見送りをしてくれるようです。

船の待合室の片隅には、「ジャンベ」という西アフリカの楽器が置かれていました。経緯は不明ですが、1994年にジャンベの神様・ママディ・ケイタ氏が島を訪れ、島の子供たちにジャンベを伝えたそうです。
2004年にはママディ氏がプロデュースした、アジアで最初のジャンベスクールも開校するなど、三島村にはジャンベの文化が継承されています。それにしても、硫黄島の出港がここまで賑やかで活気のあるものだとは知りませんでした。

船が出港してからも、雨の中、ジェンベのリズムに合わせて踊りながら見送りをしてくれる奥様達。聞いた話によると、土日は小学生たちによる演奏もあるようです。

さらば硫黄島。帰りの船も全く揺れず、途中の竹島を経由し、定刻通り14時頃に鹿児島へ到着。早めに宿へチェックインしました。

そして翌日は朝6時前の鹿児島中央駅からスタート。この日は鹿児島空港から沖縄へ飛び立ちます。鹿児島の市街地から空港までは、バスを利用するのが一般的。本数も多く、料金も1300円と便利なバスです。
8時頃のバスに乗れば間に合いますが、私は鹿児島中央駅から電車に乗車し、加治木駅で下車。そこから空港まで歩くことにしました。鹿児島中央駅から加治木駅までの交通費は480円。バスでの移動より800円以上の節約になります。

沖縄まではおよそ1時間半のフライト。料金は11,000円。鹿児島から沖縄までは船で行くことも出来ますが、この時は飛行機の方が安かったのです。
★参考:鹿児島~沖縄航路について★
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今回はここまで。本日もありがとうございました。
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