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今回は「2022年 トカラ列島旅行記」その7をお届けします。
★前回の記事★
口之島の人口減少と定期船
トカラ列島最北端の島・口之島を旅しています。

日本最後の秘境とも言われるこの島には、どんな暮らしがあるのでしょうか。ここからは集落を散策します。

2020年の国勢調査によると、島の人口は103人。人が住んでいるのは港周辺とこちらの集落だけ。島の大部分が緑に覆われています。

人口は2005年から増加傾向が続いていたようですが、2015年から2020年にかけて56名の減少となりました。

年代別に見ると、特に「50歳~54歳」「75歳」以上の減少数が大きく、この2つの年代だけで計35名が減少しています。ちょうど高齢になった親とその子世代の年齢です。

通院や介護の必要性から、大きな病院のある都市に引っ越したということでしょうか。年齢に関わらず、離島で暮らしていると、いざという時に命が助かる可能性が下がります。特に高齢の方が島で暮らすには、一定の覚悟が必要ということです。

口之島が属する十島村では、移住してテレワークをする人に補助金を出すなど、生産年齢人口を維持する努力が行われています。これ以上島の人口が減少すると、今度は定期船を維持することが出来なくなるのです。船に乗る人、船が運ぶものが減るため、単純に船の収益が減ります。

さらに、十島村の定期船「フェリーとしま2」は村営船のため、税収減の影響も受けます。人口減少に対して、定期船の経営はどこまで耐えるべきなのか。ただし、定期船が無くなれば、恐らく村自体が消滅します。今後、鹿児島県と十島村が下す意思決定は、全国の離島の参考事例になっていくはずです。

島内に小中学校はあり、島外から山海留学生を受け入れることで学校機能(義務教育)を維持しています。この機能を維持することは、生産年齢人口(子育て世代)を維持・増加させる上で最低限必要です。

また、学校は『先生』という移住者を呼び込むことになります。口之島島民の仕事を見ると、2020年は「農業」の次に「教育、学習支援業」に従事している人が多いです。島へ赴任する先生に子供がいる場合、その子供たちも一緒に島へやって来ることもあります。

ただ、島内(村内)には高校がありません。離島や田舎の過疎化・高齢化が止まらない背景のひとつは、高校や大学・専門学校など、高等教育が義務教育と化していることです。高校→専門学校の場合は約5年、生活費と学費を、親が島内で稼がなければなりません。

口之島に限らず、それでも多くの過疎地で人口がゼロにならないのは、地域活性化政策がうまくいっているからではなく、高齢の方が【年金を受給している=支出するお金がある】からです。
口之島の産業・お仕事と暮らし
口之島では農業に従事している人が多いと分かりました。

正確なデータはありませんが、島を巡って畑や田んぼは見当たらなかったので、農業の中心は畜産とバナナ?でしょうか。

こちらは何気ない島の斜面ですが、よく見ると…

すっかり緑に覆われてしまっていますが、段々畑の跡があります。さらによく見ると、軽トラックが止まっており、畑までの道もあるようです。かつては、畑作も行われていた様子が伺えます。

2020年の国勢調査で、漁業従事者は「1名」となっている通り、港には船がほとんどいません。

こちらは採石場でしょうか。採石業に従事している人はいないため、現在は稼働していないものと思われます。

ここまで国勢調査の数字をベースに、島の産業(仕事)を見てきましたが、小さな島では兼業(複業)が当たり前であるため、統計はほとんどあてになりません。今回宿泊した民宿なかむらさんも、宿泊業だけでなく、漁業やダイビングツアーを行っています。
集落を歩く 売店も郵便局もある
ここからは集落にある施設(≒働き口)をご紹介。

滞在中の食事や水分は、全て民宿なかむらさんでお世話になりましたが、口之島には売店もあります。「卸売業、小売業」に該当するのでしょうか。営業時間は書かれておらず、私が通ったときは営業していませんでした。

売店の外には自動販売機もありました。

自動販売機は港の待合室にもあります。

口之島売店の横にはセルフのガソリンスタンドがありました。ここで給油できるのはレギュラーと軽油だけ。島内でハイオクの車を走らせることは出来ません。

自販機やガソリンスタンドと同じセルフ式の商売として、乾燥機付きのコインランドリーがありました。これは雨が多いだけでなく、工事関係者の滞在が多いからだと思われます。

トカラ列島(十島村)には全ての島に郵便局があります。全てを巡るには通常2~3週間程度かかるので、郵便局巡りをしている人泣かせの地となっています。ちなみに郵便局は「複合サービス事業」です。

診療所もまた各島にあり、1名ずつ看護師さんが常駐しています。2020年度、特定健診受診率が日本一となった十島村。「健診は受けて当たり前」になっているようで、そうした島民の意識を象徴するのが【レントゲン便】です。

次回ついに、知る人ぞ知るフェリーとしま2のレントゲン便に私も乗船します。口之島に2泊したのも、レントゲン便に乗るためでした。
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今回はここまで。本日もありがとうございました。
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