2020年度から2022年度にかけて、環境省が国立公園や国定公園への誘客を推進する事業を実施。自然志向の高まりとリモートワークの定着、そしてワーケーションの導入が進み、新たな旅先として「国立公園」が注目されています。
2023年3月現在、日本には34の国立公園がありますが、数えてみると私は27の国立公園に足を運んでいる(地に足を付けている)と分かりました。そこで今回は『おすすめの国立公園ランキング20選』を考えてみたので、実際に訪れたときの旅行記とともにご紹介します。
国立公園とは何か
そもそも国立公園とは何かご存知でしょうか。国立公園を管理する環境省のホームページによる定義は以下の通り。
日本を代表するすぐれた自然の風景地を保護するために開発等の人為を制限するとともに、風景の観賞などの自然に親しむ利用がし易いように、必要な情報の提供や利用施設を整備しているところであり、環境大臣が自然公園法に基づき指定し、国が直接管理する自然公園です。
国立公園は国が直接管理するのに対し、国定公園を管理するのは各都道府県。ちなみに、日本にある5つの世界自然遺産のうち、青森県の「白神山地」だけが国立公園には指定されておらず、津軽国定公園として青森県の管理下となっています。その理由は不明です。
国立公園は世界中にあります。1972年に世界で最初の国立公園に指定されたのがアメリカのイエローストーン国立公園。日本では1934年に瀬戸内海・雲仙・霧島の3か所が初めて国立公園に指定されました。
私がまだ地に足を付けたこともない国立公園は以下の7か所
- 大雪山国立公園(北海道)
- 磐梯朝日国立公園(東北)
- 尾瀬国立公園(関東)
- 南アルプス国立公園(関東)
- 妙高戸隠連山国立公園(中部)
- 白山国立公園(中部)
- 雲仙天草国立公園(九州)
この7か所を除いて、ここからは私の中で印象に残っている国立公園20選をランキング形式でご紹介していきます!なお、旅先の印象は訪れた日の天気や、「山より海が好き」という私の好みにも左右されるということを予めご了承ください。
行ってよかった国立公園ランキング20選
20位 西海国立公園
こちらは環境省ホームページにある「○○国立公園の見どころ」というイラストマップ。黄色く塗りつぶされている部分が国立公園の範囲です。世界文化遺産にも登録されている「教会」が有名な地域で、長崎県の島々の一部と、佐世保市の九十九島などが西海国立公園に指定されています。
私が訪れた中で印象に残っているのは野崎島。もともとは人が住んでいた島ですが、今は無人島化し、かつての集落や赤レンガの教会がそのまま残されています。
■ 参考:2017年 野崎島旅行記
19位 阿蘇くじゅう国立公園
阿蘇くじゅう国立公園の「阿蘇」は有名ですが、「くじゅう」がどこなのかはあまり知られていません。
大分県竹田市のホームページによると、『火山群や周辺地域全体を指す場合に「くじゅう連山」や「九重連山」を用い、その主峰である単独の山を指す場合に「久住山」を用いるのが一般的』とのこと。つまり、くじゅうとは大分の山々を指します。
こちらは大分県の山のひとつ・鶴見岳と別府の街並み。鶴見岳は国立公園ですが、別府温泉は入らないようです(入っていたらもう少し順位が高かった)。
訪れたことがあるのは「阿蘇山」。免許合宿で長崎・佐世保に3週間ほど滞在した際、休みの1日に青春18きっぷを利用し、【佐世保→阿蘇→熊本城の桜→佐世保】を巡る旅をしました。
もくもくと煙を上げる阿蘇山を見ることが出来たのはよかったですが、滞在時間はごくわずか。また、訪れたのが3月だったため、緑が美しいことで有名な「草千里」も枯れており、いつかリベンジしたい地のひとつとなっています。
18位 三陸復興国立公園
陸前・陸中・陸奥を合わせた地名が「三陸」。現在の青森県南部~宮城県北部の太平洋沿岸にある縦に長い国立公園です。リアス式海岸の風光明媚な景観や三陸鉄道が魅力である一方、各地に東日本大震災の爪痕が保存されていることから、三陸復興国立公園という名前が付けられています。
宮城県牡鹿半島周辺には離島が点在しており、「猫の島」として有名な田代島や、サバで有名な金華山なども国立公園の一部。見どころが色々とあるため、じっくりと時間をかけて巡りたい地域です。
■ 参考:2019年 田代島旅行記
17位 釧路湿原国立公園
展望台やカヤックなどから釧路湿原の景観を楽しむのが、釧路湿原国立公園の一般的な観光です。
私の釧路湿原での思い出は、夏に細岡展望台の駐車場で車中泊をしたこと。雨が降っていたこともあり、湿原のじめじめを思う存分堪能することが出来ました(笑)朝も雲がかかっていましたが、一面に広がる緑の景色が見られたのはよかったです。
■ 参考:2016年 北海道旅行記
16位 霧島錦江湾国立公園
霧島錦江湾国立公園は大きく「霧島」「桜島」「大隅半島南部」「開聞岳周辺」の4地域に分けられます。その中でも国立公園らしいダイナミックな自然を感じられるのは、やはり桜島だと思います。
道の駅や温泉、資料館、溶岩の遊歩道など、島内が観光地化されているので、ふらっと訪れてもしっかり桜島を体験することが出来ます。
桜島の噴火によって出来た離島・新島も注目のスポット。2023年1月に訪れたので、旅行記はこれからお楽しみに!
15位 瀬戸内海国立公園
瀬戸内海に浮かぶ島々のほとんどが瀬戸内海国立公園に指定されているため、範囲がかなり広いです。
このマップを見て初めて知ったのは、瀬戸内海に「スナメリ」がいるということ。スナメリは小型のイルカで、瀬戸内海の生態系の頂点に君臨しています。
瀬戸内国立公園の楽しみ方は大きく2つ。1つは色々な島に上陸してみること。独特の文化や景観、または芸術祭なども楽しむことが出来ます。本州から近いので船代も安いです。
■ 参考:2017年 大久野島旅行記
もうひとつはクルージング。大阪・神戸と四国・九州を結ぶフェリーがいくつかあるので、そうした船で身近な非日常的な時間を過ごすも面白いです。
14位 山陰海岸国立公園
一般に「山陰」といえば、京都府から山口県までの日本海沿岸地域を指しますが、山陰海岸国立公園の範囲は京都から鳥取砂丘まで。この地域でおすすめはやっぱり鳥取砂丘です。
写真ではスケールが全く伝わりません。ぜひ一度訪れてみてください。
■ 参考:鳥取砂丘とは何か
14位 大山隠岐国立公園
同じく14位は大山隠岐国立公園です。「大山」や「隠岐」は行ったことがないので、訪れたことがない国立公園かと思っていましたが、『出雲大社』も国立公園の範囲に入るようです。
旅行記には綴っていませんが、出雲大社には少なくともこれまでに3回訪れたことがあります。そしてその3回とも鳥取砂丘とセットで訪れているため、山陰海岸国立公園と同じ順位です。
しめ縄の交換という、珍しい現場にも立ち会うこともありました。何より出雲大社は、これだけ有名かつ人気であるにも関わらず、参拝料がかからないのでありがたいです。
12位 屋久島国立公園
世界自然遺産・屋久島と口永良部島からなる屋久島国立公園。大抵こうしたランキングでは上位常連の場所ですが、私の中でトップテンには入りません。
「縄文杉」を目的に多くの観光客が訪れる屋久島。私も大雨の中を半日歩いて縄文杉を見に行きましたが、達成感しか得られませんでした。木々の緑が好きな人にはおすすめです。
ただし、屋久島は杉だけではありません。ダイビングでウミガメを見たり、季節によってはウミガメの産卵を見ることも出来ます。1周も大きな島なので、車を借りてあちこち巡るのも面白いです。
■ 参考:屋久島で雨が多い理由
11位 やんばる国立公園
屋久島と同様、沖縄本島北部の大部分を占めるやんばる国立公園も緑が好きな人にはおすすめの地域です。海の人気が高い沖縄ですが、日本本土とは気候帯が異なるため、熱帯の木々や植物が森に自生しています。まさにジャングルです。
私が最も多く足を運んでいる国立公園でもあります。本島の西側を通る国道58号線は海と森の間を通っており、道路からも沖縄の大自然を楽しむことが出来るのでおすすめです。
■ 参考:路線バスでやんばるを旅する
日本の大自然に出会う旅へ
10位 知床国立公園
北海道の北東端・知床半島一帯が知床国立公園に指定されており、世界自然遺産にも登録されています。日本でもトップクラスの大自然が残されている地域です。
知床には何度か訪れていますが、エゾシカとキタキツネしか見ておらず、マップに描かれている『ヒグマ』『シャチ』にはまだ出会えていません。流氷の上を歩いたこともなく、今の私が「また行きたい国立公園は?」と聞かれたら、一番に知床が挙がります。
■ 参考:2016年 知床ドライブ旅
9位 足摺宇和海国立公園
四国南西部沿岸(宇和海~足摺岬)が足摺宇和海国立公園に指定されています。最近SNSで「沖縄みたいな海」として人気を集めている柏島や、私が島旅に興味を持ったきっかけの島・沖の島があるのもこの地域です。
四万十川を旅したついでにふらっと島へ上陸。海の美しさに感激したのはもちろん、ちびっ子兄妹が海の家のお手伝いしている姿を見て「離島の生活や文化って面白そうだ」と思ったのでした。
■ 参考:2014年 沖の島旅行記
沖の島の隣に浮かぶ人口20人・高齢化率80%の鵜来島では、「無人島になるかもしれない」という危機感から、島の活性化を模索しているという話を聞きました。これをきっかけに、私は大学で地方創生や地域活性化を研究することとなります。
■ 参考:学生時代に学ぶ地方創生と地域活性化
8位 慶良間諸島国立公園
那覇の西の海域と慶良間諸島が慶良間諸島国立公園に指定されており、「ケラマブルー」と称される美しいサンゴの海が多くの人を魅了しています。
こちらはチービシに浮かぶ島のひとつ・ナガンヌ島。水平線の先には那覇市周辺の都会の建物が見えています。30分ボートで移動するだけで、この海を見られるのが沖縄の凄さでしょう。
冬になると繁殖と子育てのためザトウクジラもやって来ます。午前中にやんばるの森のガイドツアー、午後はホエールウォッチングツアーに参加するという楽しみ方も出来てしまうのです。
■ 参考:ナガンヌ島旅行記
7位 富士箱根伊豆国立公園
富士箱根伊豆国立公園には、その名の通り「富士山周辺」「箱根」「伊豆半島~伊豆諸島」という3つの地域があります。東京都心に近く、最も利用者が多い国立公園かもしれません。
伊豆大島の三原山や三宅島の御岳に代表されるように、地火山で出来た伊豆諸島には地球を感じるワイルドなスポットが多いです。また、青ヶ島の二重カルデラや新島・式根島のコーガ石など、世界的に珍しい自然景観も見られます。
島に温泉があるのも魅力。仕事終わりに夜出港の船で島へ渡り、自然に癒されて、次の日には帰るという楽しみ方も出来てしまいます。大阪近郊に住んでいる人は瀬戸内海、東京近郊に住んでいる人は伊豆諸島がおすすめです。
■ 参考:2018年 新島旅行記
6位 利尻礼文サロベツ国立公園
北海道の最北部にあるのが利尻礼文サロベツ国立公園。これまでに2度足を運んでいますが、どちらも季節は真冬。観光シーズンではないので、私の楽しみ方は少し特殊なものとなりましたが、その分印象は強く残っています。
1回目は礼文島へ。到達証明書が欲しかっただけなので、滞在時間は1時間しかありませんでした(笑)
■ 参考:2017年 礼文島旅行記
2回目は真冬の日本海沿い・オロロンラインを15kmほど歩きました。もちろん歩いている人は誰もいません。静かな雪道をひたすら歩く体験はまさに冒険そのもので、本物の冬の北海道を知ることが出来たような気がします。
■ 参考:2020年 オロロンラインを歩く旅
5位 奄美群島国立公園
本州と沖縄の間に浮かぶ奄美群島国立公園。2021年には奄美大島と徳之島が、やんばる(沖縄本島北部)・西表島とともに世界自然遺産へ登録されています。
南国情緒溢れる自然のそばにある人々の文化は本土寄りというのが、この地域の面白いポイントです。もちろん沖縄に似ている部分もありますが、これらの島々にシーサーや赤瓦の古民家、沖縄の苗字(比嘉さんや金城さんなど)は見られません。
■ 参考:2016年 奄美大島旅行記
4位 中部山岳国立公園
私は本格的な登山をしたことがないので、長野県周辺の山々の知識や旅行経験はほとんどありませんが、中部山岳国立公園には印象に残っているスポットが2か所あります。
1つは上高地。迫力ある雪山を背景に美しい川が流れるこの景色には感動しました。
もうひとつは立山黒部アルペンルート。公共交通機関を乗り継いでいくだけで、まるでテレビで見る海外のようなスケールの大きい自然景観が広がります。
■ 参考:2018年 アルペンルート旅行記
3位 阿寒摩周国立公園
北海道東部に位置する阿寒摩周国立公園。私が北海道の中で一番好きなエリアです。ちなみに阿寒湖は釧路市なので、釧路湿原国立公園に隣接している国立公園とも言えるでしょう。
見どころは色々とありますが、私が好きなのは摩周湖です。ロシアのバイカル湖に次ぐ世界2番目、そして日本では最も透明度が高い湖で、この青さは「摩周ブルー」と称されています。
おすすめは冬です。極寒の中で訪れる人は少ないのか、冬の晴れた日の摩周湖の絶景はあまり知られていません。雪の白さが摩周ブルーの青さを際立たせるため、湖がより美しく感じられます。
■ 参考:冬の摩周湖旅行記
2位 西表石垣国立公園
日本最南端かつ最西端の西表石垣国立公園。この地域で見られる景観や生き物が独特であるというのは、訪れたことがない人でも想像がつくと思います。
海の美しさについては、私がわざわざ魅力を解説する必要もありません。
離島ならではの雰囲気も魅力。「異文化に触れてみたい、でも海外は少しハードルが高い」と感じている方は、とりあえず八重山諸島の島をいくつか巡ってみるのがおすすめです。
■ 参考:2016年 波照間島旅行記
1位 小笠原国立公園
そして1位は小笠原国立公園、いわゆる小笠原諸島です。約30ある島々のうち、一般人が上陸することが出来るのは父島と母島の2島だけですが、それでも圧倒的な違いを体験することが出来ます。
島の周囲には年中イルカやウミガメ、マンタが泳ぎ、冬にはザトウクジラがやってきます。陸には固有種が多く、ここでしか見られない自然が多く残されています。
豊かな自然に囲まれている一方、父島は離島特有の「寂しい雰囲気」がなく、街全体が綺麗です。今回のランキングを考えるにあたって、1位:小笠原、2位:西表石垣は一切迷いがありませんでした。それぐらいレベルが違います。
小笠原諸島には竹芝桟橋から定期船おがさわら丸1本で行くことが出来ます。ぜひ1度訪れてみてください… と言いたいところですが、すでに人気が高く、船の予約がなかなか取れない状況になっています。
■ 参考:小笠原諸島と沖縄の違い
ランキング外の国立公園
最後は私が訪れたことがあるにも関わらず、今回ランク外となった国立公園を北から順にご紹介。
北海道での滞在時間が4時間しかなかった際、北海道の自然を満喫したいと思い訪れた支笏湖(支笏洞爺国立公園)。新千歳空港から車で30分ほどの場所に位置しています。しかし天気は雨。支笏湖到着後すぐに空港へ戻りました。
十和田八幡平国立公園は何度か訪れていますが、自然の雄大さや独自性(ここでしか見られない)という点で少し劣ります。個人的には白神山地の方が好きです。
小学生の修学旅行の行き先が日光国立公園でした。しかし、写真もなければ記憶もありません。写真は日光の近くにある霧降高原。標高1,350mから1,600mにかけて草原が広がりますが、国立公園のエリアからは外れています。
秩父多摩甲斐国立公園はその名の通り、「秩父」「多摩」「甲斐(山梨)」を範囲とする、山に囲まれた国立公園です。しかし日本の国土は7割が山。あまり違いが感じられないので、印象にも残っていません。
同じ理由は上信越高原国立公園にも当てはまります。新潟・長野・群馬の県境に位置する国立公園で、苗場・万座・草津・地獄谷などの温泉も多いですが、山と温泉もまた日本各地にあります。
吉野熊野国立公園のメインは世界文化遺産に登録されている熊野3大社や吉野山。高校生の時に国立公園エリアにある「那智海水浴場」で海水浴をしましたが、他の観光をしなかったので、あまり印象に残っていません。
伊勢志摩国立公園は伊勢湾フェリーからその景色眺めただけ。これから巡りたいと思っている地域です。
ということで、まだまだ知られていない日本の国立公園。まだ見ぬ大自然と地域ならではの文化があなたを待っています。次の旅行先にいかが。
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今回はここまで。本日もありがとうございました。
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