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今回は【2020年→2021年 年末年始の旅】旅行記その19をお届けします。
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札幌から日高本線の旅へ
2021年1月3日、沖縄を出発した旅は9日目を迎えました。

早朝の静まり返った札幌からスタート。テレビ塔は時刻だけが表示され、明かりは消されています。

この日も利用する切符は「北海道&東日本パス」。まずは6時8分の室蘭本線に乗車し苫小牧へ。

7時半頃、苫小牧に到着。今回の北海道・鉄道の旅のスタート地点に戻ってきました。

苫小牧駅には暖房が効いた待合室がないので、水道の水も凍る寒さの中で、列車を待つこととなります。

苫小牧からは7時52分発の様似行きに乗車。最後は日高本線の旅となります。
苫小牧から様似までは約140km。日高本線は海沿いを走り、今回終点の様似に到着するのは12時半前。様似からはまた来た道を折り返し、夜の苫小牧港から北海道を脱出します。

出発時刻の直前になって列車がやってきました。駅の電光掲示板には「様似行」と表示されていましたが、この列車で行くことが出来るのは鵡川駅まで。その先は代行バスに乗り換える必要があります。

苫小牧駅のお隣・勇払駅に到着。苫小牧市はここまでで、次の浜厚真駅は厚真町、浜田浦駅と鵡川駅はむかわ町となっています。

約30分で鵡川駅に到着。

ここから先は2015年以降、高波や豪雨、台風の被害などが相次ぎ、復旧の目途が立たず、列車の運行は行われていません。

以前から利用者は減少しており、苫小牧ー様似間が全線鉄道で運行されていた2014年度も11億円の赤字。こうした状況に災害が追い打ちをかけたのでした。

鵡川~様似間は2015年から代行バスで運行されていましたが、2020年10月末、JR北海道は「2021年11月廃止」という届けを提出。結局その日付は繰り上げられ、私がこの旅を終えた2か月後、2021年3月に廃止となりました。

苫小牧ー鵡川間は、今後も日高本線という名称で運行されますが、苫小牧駅で「様似行」という表示を見ることはもう出来ません。
代行バスから流された線路が見える

代行バスは列車からの乗り換えが済み次第出発。このバスで静内駅行きなので、この先もう一度乗り換えがあります。

乗客は私を含め3人ですが、皆さん旅の人で地元の人は乗っていません。日高本線が廃止になってからは、「代行バス」ではなく、日高地域広域公共バスとして運行されています。

代行バスは日高本線の各駅に立ち寄りますが、乗り降りする人はほとんどいません(ゼロではありませんでした)。

遮断機のない踏み切りを横断。こちらは駅でしょうか。すっかり朽ちて果ててしまっています。

「汐見駅」は、ホームの駅名標が残されていました。廃線後は、こうした駅の備品も撤去されるのでしょう。

「日高門別駅」もバスから見ることが出来ました。ここまでは災害の被害がないので、復旧が求められていた区間でもあります。

海沿いのため積雪は少な目です。

雪が積もっていたら、どこが線路なのか分からなかったと思いますが、バスからも線路は見えました。

線路は海岸線に沿っているため、列車からの車窓はとても美しかったのだろうと想像されます。

一方で、海に近いため、天候や自然災害の影響を受けやすい路線でもありました。

この橋の高さまで川が増水したのか、波が打ち寄せたのか… 確かに、復旧には時間がかかりそうです。

沿岸は大きく綺麗な弧を描いており、この先端にある町が室蘭です。

よく見ると、鉄橋の下まで波が打ち寄せています。海沿いを走る路線は他にもありますが、海の上を走る路線は多くありません。これは維持するのも大変そうです。

こちらは線路を支える土台が流されて、線路が宙ぶらりんになっています。
日高地方はサラブレッドの生まれ故郷

こちらは新冠駅。町のキャッチコピーは『サラブレッドと音楽のまち』。競走用に品種改良された品種「サラブレッド」 を育てる牧場が点在し、日高地方からは数々の競走馬が生まれ育っています。

「音楽のまち」は、新冠町の施設に「レ・コード館」という、全国からレコードを集めた施設があり、音楽によるまちづくりが行われていることに由来します。

鵡川駅を出発してから約2時間、代行バスの終点・静内駅に到着しました。10分後に出発するバスに乗り換えて、引き続き様似駅を目指します。

短い時間ですが、駅舎の中を見学。列車来ませんが、ホームへの立ち入りには入場券が必要です。またこの時は、みどりの窓口の営業も行われていました。

静内駅は観光情報センターを併設しており、パンフレットなどと一緒に、馬のパネルも置かれていました。

駅前にも馬の像があります。流石、日本一の馬の産地・日高地方。この先バスは、馬牧場のそばを通過していきます。

静内駅を出発してすぐ渡る静内川には、多くの白鳥が羽を休めていました。どうやら静内川は、道内で最も多く白鳥が飛来する川のようです。この光景は日高地方の冬の風物詩としても紹介されています。

市街地を抜けるとバスは再び、海沿いの線路と並走して走ります。

ちなみに、鵡川からのバスの終点は静内駅でしたが、乗務員さんの交代のみだったようで、結局先ほどまで乗っていたバスにまた乗っています。

そして、海から少し離れた場所を走っている時、ついに車窓から馬を発見しました。馬が放牧されているのを見るのは、与那国島以来のことです。

戦前の日本では「軍馬」と呼ばれ、馬が旧日本軍の乗り物として扱われ、1906年からは「馬政局」という行政機関も設置されました。馬政局は軍馬の改良に取り組み、1907年、浦河町に「日高種馬牧場」が開設されました。

戦前からサラブレッドの放牧が行われていた日高地方。馬の産地として、その名を一躍全国に広げたのが、1960年代の「競馬ブーム」です。同時期、米の生産調整も始まり、多くの水田が牧草地や馬の放牧場に代わり、今に至ります。
終点・様似に到着

馬牧場を離れ、バスは再び海沿いへ。川はカチカチに凍っています。

また天気が悪くなりました。

こちらは浦河町役場。

日高本線は途中、多くの川を通過します。これらの川は日高山脈を源流としており、山の栄養を海へと運びます。

そうした栄養豊かな海で育つのが「日高昆布」。昆布漁が行われる夏には、車窓からも昆布が天日干しされている様子を見ることが出来るそうです。

静内駅を出発してから1時間45分、12時前に日高本線の終点・様似駅到着!しかし、すぐにまたバスに乗って、苫小牧方面へと戻ります。それまでしばし、駅周辺を散策します。
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今回はここまで。本日もありがとうございました。
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