ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は【2016年 小笠原諸島旅行記】その1をお届けします。
欠航しない船 おがさわら丸乗船
2016年9月7日、東京都港区・竹芝桟橋にやって来ました。
今回の旅先は小笠原諸島・父島。島へのアクセス方法は片道24時間の定期船・おがさわら丸しかありません。さらに、おがさわら丸は父島到着後、そのまま島で3日停泊するので、旅行の日程は最低5泊6日(船内2泊+島3泊)必要です。
これからおがさわら丸に乗船する人と、その見送りをする人で賑わう竹芝桟橋の待合室。この日は509人が乗船していたそうです。
しかし、関東地方には台風13号が接近しており、東京も生憎の空模様。私はこの日の朝まで、おがさわら丸が欠航になり、船代が全額返金になればいいと思っていました。
その理由は以下の通り
- ひとり旅
- 雨(台風)の島に行ってもやることがない
- それでも3日間は島から出られない
- 往復の船(学割)と3泊の宿で6万円以上
高い旅費を払って、天気の悪い島に3泊4日も閉じ込められるのは、何かの修行でしかありません。
船代はすでに支払い済み。予約後速やかに振り込む必要があり、その後はキャンセル料が発生します。天気が悪くても、小笠原海運側から欠航や出港延期の案内がない限り、キャンセル料は発生するのです。
しかし、台風が発生しても欠航しないのがおがさわら丸。私の「欠航してくれ!」という想いは届かず、通常通り11時に出港するようです。
直前まで天気は分からない一方で、出港日が近づくにつれてキャンセル料は高くなります。旅行の日程を延期することが出来ず、キャンセル料を払うのももったいないので、仕方なくおがさわら丸に乗船。
この日は小笠原村のマスコットキャラクター・おがじろうも見送りに来ていました。ちなみに、当日でも空席がある場合は予約なしでも乗船可能ですが、空席がない場合も多いので、船と宿は事前に予約をして、天気を祈るのが一般的です。
■ 参考:おがさわら丸の予約について
台風の海へ出港
11時、おがさわら丸は小笠原諸島・父島へ向けて竹芝桟橋を出港しました。
ひとり旅で、「行きたくない」と思いながら旅に出るという不思議な状況です(笑)
幸い雨は降っていなかったので、デッキからしばらく東京の景色を眺めることに。
色気のない灰色をした東京のビル群と黒い海。24時間後にはどのような景色が広がるのでしょうか。
竹芝桟橋を出港して約10分でレインボーブリッジの下を通過。その向こう側にはフジテレビも見えています。
ガントリークレーン(愛称:港のキリン)が並ぶこちらは大井ふ頭。世界中のコンテナ船が接岸する、世界でも有数のふ頭の横を通過。
突然「ゴォォオ」という轟音がしたと思ったら、頭上を飛行機が通過してきました。
こちらは羽田空港。日時や風向きによっては、船からたくさんの飛行機を見ることが出来ます。タイミングが合えば、飛行機からもおがさわら丸が見えるはずです。
出港から約45分で「風の塔」を通過。海面下60mには、東京湾アクアラインの海底トンネルが通り、風の塔ではトンネルの換気が行われています。
また、風の塔の住所は川崎市、つまり神奈川県です。しばらくすると、横浜ベイブリッジやランドマークタワーなど、横浜市街地も見えてきました。
しばらくすると都市の街並みから山の景色へ。鎌倉の東、横須賀や三浦半島のあたりでしょうか。出港直後には多くの人がいたデッキは、すでに閑散としています。
出港から約2時間、小笠原までは残り929km、22時間の船旅です。ちなみに、まだスマホの電波は繋がりますが、東京湾を出ると、しばらく圏外となります。
揺れる船で船酔いと闘う
そしていよいよ船が揺れてきました。
デッキに吹く風が強くなる一方で、その風が雲を動かしているのか、青空が広がりました。
太陽が波しぶきを照らし、おがさわら丸の横には虹が出ていましたが、この写真も傾いているように、ゆったりと海を眺めていられる状況では無くなってきたので船内へ避難。
こちらが今回利用したおがさわら丸で最も安い等級・二等和室です。二等和室には、こうした部屋がいくつか並んでいます。
こちらが私の区画。マットレス・薄い掛布団・枕が備え付けられています。また、コンセントは部屋ごとにあるため、確実に充電をしたい場合は延長コードの持参がおすすめです。
シャワーはシャンプー&ボディソープが備え付け。しかも24時間無料で利用することが出来ます。
船内に入ってからは船内ラウンジでパソコン作業をしていました。私にとって『24時間の船旅』は人生初。台風の影響で船が揺れるのは想定内でしたが、これまで乗り物酔いをしたことが無かったので、酔い止めは飲んでいませんでした。
ノックダウン
出港から3時間が経過。船の揺れはさらに大きくなってきました。
「小笠原を120%楽しむために」 という船内レクチャーに参加。しかし、座って話を聞いているうちに、気持ち悪くなってきて、私はこのレクチャーの途中でノックダウンしました。
■ 参考:地獄の定期船 おがさわら丸に乗船
船内レクチャーの写真の次に残っていた写真がこちら。朝になってしまいました。
船内レクチャーを途中で退席してからは、横になって何も飲まず食わず。船酔いとの闘いでした。寝ても覚めても時計の針がなかなか進まず、辛かったのを覚えています。
こちらは2016年9月における八丈島の風速の記録。父島へ向かうおがさわら丸の24時間で、最も揺れるのが八丈島付近です。私が船酔いにやられていた9月7日、八丈島の最大瞬間風速は20mを超えており、なかなかの嵐だった様子が数値からも伺えます。
■ 参考:八丈島付近を通過する船が揺れる理由
散々寝た?おかげで、早朝から目が覚めて、この綺麗な朝焼けを見ることが出来たのはよかったです。船の揺れもいつの間に収まっていました。朝焼けを見てからは、自分の布団に戻って二度寝。
小笠原諸島が見えてきた
おがさわら丸が小笠原諸島最北の島「北之島」の横を通過しているという船内放送で目が覚めました。
水平線の先に見えているのが北之島。小笠原諸島には約30の島々がありますが、一般人が上陸出来るのは父島と母島だけ。北之島も無人島です。
船旅も残り2時間となりました。事前の天気予報に反して青空が広がり、「ボニンブルー」と言われる濃紺な海の景色が広がっています。
目的地・父島が見えてくると電波も復活。皆さんスマホをチェックしたり、荷物をまとめたり、シャワーをしたり、船内が少し慌しくなります。
今回船酔いにやられたのは、パソコンや船内レクチャーなどで、じっと画面を見続けていたのがよくなかったのでしょう。また出発前日も「船で寝ればいいや」と思い、ほとんど寝ていなかったことも影響していたと思います。
おがさわら丸で船酔いをしないための対策は、前日はしっかり寝て、乗船前は酔い止めを飲んで、船が揺れる前に寝てしまうことです。
小笠原諸島へのアクセス方法はこの船しかないので、誰もがこの24時間の船旅を乗り越えなければなりません。なお、必ずしも船が揺れるわけではなく、完全に運次第です。なお、1分の遅れもなく到着したということは、今回経験したような揺れが、おがさわら丸のスタンダードなのでしょうか。
※知事や官僚、天皇陛下などが小笠原へ行く場合の手段はこちらの動画で紹介されています。
母島に行く場合は、写真に写っているははじま丸に乗り換えて、父島からさらに2時間かかります。東京から行く、世界で最も遠い地のひとつでしょう。
いよいよ小笠原諸島・父島に到着しましたが、あら、先ほどまでの青空はどこへ行ってしまったのでしょうか。
当時の私が父島で1枚目に撮った写真は、おがさわら丸の船底に集まる魚たち。「港にこれだけ魚がいるのは、さすが世界自然遺産の島」と思い写真を撮りましたが、どうやらこの魚たちは、父島到着後のおがさわら丸から排出されている、人間の汚物を食べに来ているそうです。
ノープランの一人旅。おがさわら丸の欠航を願っていたこともあり、下調べもしていませんでした。次回からはそんな私が父島で過ごした3泊4日の様子をお届けします。
.
今回はここまで。本日もありがとうございました。
★続きはこちら★
コメント