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今回は「2025年 上越国境の旅」その3をお届けします。
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日本一のモグラ駅とは
2025年5月2日、『日本一のモグラ駅』として知られる、上越線の土合駅(群馬県)にやって来ました。

土合駅が「日本一のモグラ駅」と呼ばれる所以は、下りホームがトンネルの中にあるから。駅舎や上りホームは地上にあるため、下りホームまでは450段以上の階段を下りなければなりません。その所要時間は約10分と紹介されています。土合駅はなぜこのような構造になっているのでしょうか。
土合駅の下りホームがトンネル内にある理由
川端康成の小説『雪国』の冒頭にある有名な一節【国境の長いトンネルを抜けると雪国であった】の「国境」は、上越国境のことだと言われています。

しかし、現在の下りホームがある新清水トンネルは、『雪国』が書かれた当時には存在していませんでした。小説で描かれているのは、1931年に開通した清水トンネル(全長約9.7km)です。当時の上越線は単線で、土合駅も当初は列車同士の行き違いを行うための「信号場」として開設されました。

その後、1932年にその信号場がスキーシーズン限定で旅客営業を開始。谷川岳周辺は当時から登山・スキーの名所として知られており、観光需要が見込まれていたそうです。谷川岳における遭難者の統計が取られ始めたのも1931年からとなっています。
■参考:国内の登山自体は明治時代から行われていた


そして1936年、正式に駅へと昇格(=土合駅開業)。なお、当時に存在していたのは現在の上りホームのみです。戦後、高度経済成長によって、日本海側と首都圏を結ぶ物流・旅客輸送の需要が急増し、上越国境の輸送力強化が急務となります。

そこで建設されたのが、1967年開通の「新清水トンネル」です。全長は13,490m。当時、日本で2番目に長い鉄道トンネルであり、単線トンネルとしては現在でも日本最長を誇ります。この新ルート建設に合わせ、湯檜曽駅 と土合駅には、国鉄初となる本格的な地中駅が設置されました。

現在は清水トンネルが上り(東京方面)専用、新清水トンネルが下り(新潟方面)専用となっているので、小説『雪国』と同じ体験をすること、つまり清水トンネルを通って新潟県に入ることは出来ません。
■参考:1
モグラ駅とはいえ標高は高い
しばらく連絡通路を歩いて、ようやく地下へと続く階段が現れました。

下りホームまでの段数は486段。エレベーターやエスカレータはありません。ここから地中深くへと階段を下りていきます…

と言いたいところですが、まず24段だけ階段を下りると、再び連絡通路で国道291号線と湯檜曽川を渡ります。土合駅といえば長い階段ばかりが注目されがちですが、実はこの連絡通路も143mあり、他の駅ではなかなか見られない長さです。

現在、東京と新潟を結ぶ都市間輸送の主役は上越新幹線となっており、土合駅の下りホームに停車する普通列車は1日わずか5本。貨物列車も通過していきますが、これほど利用の少ない区間に、多額の維持費をかけて複線を維持し続ける必要はあるのでしょうか。

いよいよ土合駅名物の階段です。ホームまでは338m、階段は462段。駅舎がある上りホームの標高は653.7mで、下りホームとの高低差は日本一となっています。なお、下りホームは「地下70m」に位置すると紹介されることもありますが、あくまで地上との高低差の話。

海抜で見ると、下りホームでも標高は583mもあります。これだけ標高の高い場所で、さらに閉鎖的な空間の中をひたすら歩き続けるのは、想像よりもハードです。実際、途中には休憩用の椅子も設置されていました。
雰囲気はこんな感じ。やはり、これだけ地中深くにあると、年間を通じて気温は一定で、冬は外よりも暖かく、夏は外よりも涼しいそうです。ちなみに、海抜ベースで見た場合、日本一深い場所にある「普通列車が停車する駅」は、東京メトロ半蔵門線の住吉駅とされており、その標高はマイナス31mです。

地上の駅舎から約10分、ようやく下りホームに到着しました。ただ、個人的には東京駅の総武快速線・横須賀線ホームや京葉線ホームもなかなかのモグラ駅だと思っています。今度、実際に階段の段数を数えてみたいところです。
トンネルを抜けると雪国でした
水上駅から土合駅 までの路線バスはガラガラでしたが、下りホームには意外にも電車を待つ人の姿がありました。
13時41分発「長岡行」に乗車。なお、接近放送は無いので、このホームで長い時間列車を待つのは危険なような感じがします。ホームに待合室もありません。

乗車後には検札が行われ、やがて長いトンネルを抜けると、そこはまさに雪国。5月にもかかわらず、沿線にはまだ雪が残っていました。ただ、繰り返しになりますが、この景色は小説『雪国』とは異なるものです。

土樽駅・越後中里駅・岩原スキー場前駅に停車しながら進み、土合駅から約25分で越後湯沢駅に到着しました。

帰りの普通列車までは約3時間半。越後湯沢駅周辺をのんびり散策しながら、次の列車を待つことにします。
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今回はここまで。本日もありがとうございました。
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