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今回は【2020年→2021年 年末年始の旅】旅行記その11をお届けします。
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網走のゲストハウス・いもだんご村に泊まる
2020年12月30日、苫小牧から鉄道を乗り継いで、北海道・網走までやってきました。
この日の宿へ向かうため、網走駅から釧網本線・知床斜里行に乗車。車内は旅行者でそこそこ混雑しています。
私は網走駅の2つお隣・鱒浦駅で下車。ここから本日の宿「民宿 いもだんご村」まで1.5kmほど歩きます。強い風が吹いており、さらに暗いので、ホワイトアウトに警戒しなければなりません。
GoogleMapを頼りに、少々迷いながらも到着しました。雰囲気はアットホームというよりも少し大きめの親戚の家(笑)じゃらんで予約すると1泊2,600円。素泊まりのみですが、台所を借りて調理することも出来ます。
寝る場所はこちら。屋根裏に布団が並び、相部屋のような形になっています。屋根裏ですが、暖房は十分効いているので暖かいです。
宿に着いてホッとしたのもつかの間、ちょうど他のゲストの方(常連さん)に「近くに温泉があるから行きましょう」と誘っていただきました。
この日宿に泊まっていた4人で車に乗せてもらい、やってきたのは涛沸湖の横にある「原生亭温泉」。私以外の3名は北海道在住の方。「近い」と言っても、距離にすると宿から約15kmもあり、北海道のスケールの大きさが感じられます。
昔ながらの小さな浴場で、料金は300円。お湯は熱く、長い時間は浸かっていられませんでしたが、極寒の外に出ても身体はしばらくホカホカでした。
冬の北海道をドライブ!車で観光
2021年12月31日、大みそかの朝です。
牧場の跡地を利用した宿ということで、外には廃牛舎とサイロが置かれています。雪がない時期は、草原が広がる北海道らしい景色が見られるのでしょう。
この日の目的地は根室。もともとは列車で1日かけて移動する予定でしたが、いもだんご村に泊まっていた方々と一緒に道東をドライブ観光しながら、車で釧路駅まで送っていただけることになりました。こうした予想外の展開が起こるのがゲストハウスの醍醐味です。
窓の外には広大な雪原が広がります。夏の北海道をドライブしたことは何度かありますが、冬の北海道を車で観光するのは初めてのことです。
雪道の運転は慣れていないと危険。大きな道路は大抵除雪されていますが、実際に車を運転してみて、例えばカーブを曲がったりするときに、どれくらい滑るかの感覚が分かりません。
運転をしていただいている方は北海道在住で、カーナビを見ずに目的地へ向かうことが出来るほど、運転にも慣れているので安心です。
今回は北海道&東日本パスを利用し、列車で冬の北海道を巡っていますが、駅の近くで観光が出来る場所が少なく、さらに年末年始でバスも減便されており、まともな観光が出来ない予定でした。
硫黄が香る硫黄山
最初にやって来たのは硫黄山(弟子屈町)。
ここでは山肌から常時煙が噴出していますが、自然の煙なので煙の量も刻々と変わります。
周囲には硫黄の香りが漂い、煙に手を当てると温かさも感じられました。
黄色くなっている部分が硫黄。1877年から硫黄採掘が始まり、1883年には全道一の採掘量になったそうですが、あっという間に枯渇。1896年に採掘事業は中止となりました。ちなみに、採掘された硫黄を運ぶ輸送路が、現在の釧網本線の基礎になっているそうです。
美しき冬の摩周湖
硫黄山の次は摩周湖(弟子屈町)へ。
これが冬の摩周湖です!【霧の摩周】ともいわれる摩周湖。宿を出発した時は曇り空でしたが、運よく青空が広がりました。雪が降り積もっているだけでなく、周囲の木々も白くなっているので、摩周ブルーの青さがより際立ちます。
私は以前にも冬の摩周湖を訪れたことがあり、そこで見た摩周ブルーと雪景色のコントラストは大変素晴らしい…という話を、宿でしていたら「それなら行ってみよう!」となったのが、今回のドライブ旅のきっかけでもあります。
夏の摩周湖もいいですが、個人的には冬の方がおすすめです。
摩周湖はロシアのバイカル湖に次いで、世界で2番目に透明度が高い湖。約7000年前の巨大噴火によって出来たカルデラ湖です。
透明度が高いのは河川の流入がないから。自然の雨が土壌から浸透して摩周湖へ流れ込んでいます。 透明度の高さと急激に深くなる地形から、青以外の光の反射が減り、この美しいコントラストが生み出されているそうです。
湖にポツンと浮かぶのはカムイシュ島(アイヌ語で「神の老婆」)。210mほどの溶岩ドームの頂上が湖面から出て、島のようになっているそうです。
アイヌ語で摩周湖は【キンタン・カムイ・トー】という「山の神の湖」の意味。昔から特別な場所であったことが伺えます。
周辺は阿寒摩周国立公園の特別保護地区。開発が制限されているだけでなく、湖面まで下りることも出来ませんが、湖の周囲に散策路があり、展望台もいくつかあります。時間がある場合はそれらを巡るのも良さそうです。
なお、冬の摩周湖に訪れる際は、雪道の運転が出来なくても大丈夫。以前私が冬の摩周湖を訪れたときは、釧路駅から出ている観光バス「ホワイトピリカ号」を利用しました。また、摩周駅からの路線バスも運行されています。
■ 参考:ホワイトピリカ号の旅
昼食は弟子屈ラーメン
今回の滞在時間は15分ほど。本当はゆっくりとこの絶景を楽しみたいところですが、極寒なので、これぐらいがちょうどいいです。
摩周湖の湖面は海抜351m。ここから弟子屈町の街中へ降りて、摩周駅の周辺でお昼ご飯を探します。
しかし、大みそかで空いているお店が少なく、やって来たのは「弟子屈ラーメン」。一応ご当地ラーメンですが、以前に私は福岡空港で弟子屈ラーメンを食べました(笑)
私が注文したのは「弟子屈味噌」。スープに摩周湖の伏流水が使われているのが、弟子屈ラーメンの特徴と言われています。そして、このラーメンも奢っていただきました。
一面凍り付いた阿寒湖
午前中は弟子屈町から釧路市「阿寒湖」方面へ。
釧路市は日本で7番目に大きな市町村です。阿寒湖も釧路市ですが、阿寒湖から釧路駅までの距離は80km以上!また、阿寒湖周辺は国立公園で、市街地に近い「釧路湿原」も国立公園。ひとつの市に2つの国立公園があるのは釧路市だけです。
途中で立派な雄阿寒岳(釧路市)が見えました。標高は1371m。登山道が整備されており、冬でも登ることが出来るそうです。阿寒湖はこの山の噴火によって、今から1万年ほど前に作られました。
地図を見ると、雄阿寒岳の東に「パンケトー」「ペンケトー」という湖があります。もともとこれら2つの湖は阿寒湖と繋がっていましたが、噴火による溶岩流で分断されたそうです。
阿寒湖に到着。湖は完全に凍っていて、ワカサギ釣りの準備が行われていました。
1890年代後半から、阿寒町で石炭と雌阿寒岳の硫黄採掘が始まると、1923年に阿寒町雄別地区で採掘された石炭を運搬することを目的とした雄別炭砿鉄道が開通。 終戦後、石炭・鉄鋼に資材・資金を重点的に投入し、産業全体の拡大を図る「傾斜生産方式」が採用されると、石炭は「黒いダイヤ」と呼ばれ、阿寒は石炭景気に沸いたようです。
たまたま置かれていた温度計は-9度を下回っています。Wikipediaによると、阿寒湖の年平均気温は3.7度、1月と2月の平均最低気温は-17度にもなる環境ですが、全盛期の阿寒町には1万人以上が住んでいました。
炭鉱という仕事があるのはもちろん、人口の増加によって住宅をはじめとした土木・建設や、商店なども増加。しかし、エネルギー資源が石油などに代わる時代が訪れると、1970年に雄別炭鉱は閉山。雄別地区は無人となり、現在は廃墟が残り、ヒグマだけが暮らしていると言われています。
一方で、阿寒湖畔は温泉観光地として、旅館やホテル、お土産屋さんなどが並んでいます。この基礎を築いたのは、鹿児島出身の前田正名という人物です。山梨県知事や農商務省次官などを経て、1900年に釧路に前田製紙合名会社を設立。1906年には、阿寒湖周辺の払い下げを受け、開拓に着手しました。
正名氏の死後もその意志は引き継がれ、前田家によるアイヌ湖畔の保全や自然保護などが行われました。3代目・前田光子氏が、アイヌの生活を守るため、土地を無償で提供したことから始まった場所が阿寒湖アイヌコタンです。
「コタン」は、アイヌ語で「集落」を意味する言葉。全道各地のアイヌが集まり、民芸品などのお店を構え、伝統文化を受け継ぎながら生活を営んでいます。こちらはアイヌコタンの中央に建つ【オンネチセ】。「大きな家」の意味があるアートミュージアムです。
【ポンチセ】は「小さい家」。昔のアイヌの民家が再現されています。天気は良いですが、なかなかの寒さであるため、阿寒湖周辺も歩いている観光客は皆無でした。
山奥の秘湯「野中温泉」
我々も15分ほどで阿寒湖を退散し、さらに内陸の「野中温泉(足寄町)」へと向かいます。
1919年創業の歴史ある温泉で、露天風呂と内湯が1つずつあります。雌阿寒岳の麓に位置するため、「登山の後の温泉!」で利用されることが多いそうです。
すぐ近くに北海道三大秘湖・オンネトーという湖もありますが、野中温泉から先の道は冬季通行止めとなっています。
釧路から根室へ
野中温泉に1時間ほど滞在した後、釧路駅まで送っていただき、皆さんとはお別れ。網走からここまで車で観光しながら送っていただけたのは、本当有り難いことです。
ここからは1両編成の花咲線に乗車。根室までは2時間半以上の列車の旅です。釧路出発後、間もなく外は暗くなり、車窓の様子は分かりませんでした。
そしてついに日本最東端・根室に到着。この日は根室の宿に泊まり、年越しをして、納沙布岬で初日の出を拝みます。
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今回はここまで。本日もありがとうございました。
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