沖縄の伝統行事「綱引き」。
【沖縄三大綱引き】のひとつに数えられる那覇大綱挽は、毎年、体育の日の前日に開催されています。
第49回目となる那覇大綱挽が、2019年10月13日に行われ、私も行ってきたので、今回は当日の様子をご紹介します。
★参考:沖縄三大綱引き「与那原」★
★参考:沖縄三大綱引き「糸満」★
久茂地交差点に出現した巨大な綱
「混むから、地元の人はあまり行かない」という話を聞いていたので、少し早めに、会場となる国道58号線「久茂地交差点」にやってきました。

この写真をよく見ると、こちらへ走ってくる白い車の後ろに、大きな綱が用意されています。

横まで来るとこんな感じ。

車と並ぶと、その太さがよく分かります。
那覇市の中心地とも言える場所に、これほど大きな綱が置かれているのは、異様な光景です。

横断歩道を渡りながら、綱の目の前で1枚。
この巨大な綱は、開催当日の早朝に、トレーラーで運ばれて、ここに下ろされるそうです。

交差点を境に、西側をみーんな(女綱)、東側をうーんな(男綱)と言って、綱が分けられています。
本番では、こちらの「かぬち棒」で2本の綱を結合させて、綱を引き合います。
綱の結合は、陰と陽の結合を意味し、綱挽きをすることで、人類繁栄を願い、それを挽き合うことになるそうです。

1450年ころから始まり、今では沖縄最大の伝統行事として定着。
『市民にとっては綱を挽くことが「繁栄・幸福・団結」をはかるための欠かせないコミュニケーションのひとつである』と…
パンフレットに書いてありました。

2本の綱が結合すると、全長約200m、重さは40トンにもなります。
1995年には「世界一のわら綱」として、ギネスにも認定されました。
今では世界中から参加者が集まります。
国際通りの「うふんなすねーい」
久茂地交差点は、14時半から通行止めとなり、16時10分に綱挽きスタートです。

綱引きが始まるまでは、国際通りで「うふんなすねーい」というパレードが行われているので、そちらの様子を見に行くことに。

国際通りには、那覇市内各地の青年団による「旗頭」が集結し、独特の調子の演奏に合わせて、行進(舞い)が行われます。
「村のシンボル・まもり神」として、各地区の繁栄への願いを込めて制作される旗頭。
旗頭を見事に躍動させることが、那覇男子一生の誉れとされているそうです。

爆竹の音と独特の調子が響き、普段と雰囲気が違う国際通りは、異国情緒が感じられました。
沖縄では、こうした行事やイベントを「青年団・青年会」が主体となって行っており、地元の若者たちが、積極的に地域の伝統を引き継いでいます。

ちびっこも活躍していました。
14時30分 久茂地交差点封鎖

14時30分、久茂地交差点で交通規制が始まりました。

すると、歩道にいた皆さんが、一斉に綱へ向かってダッシュ!
「おぉ、そういう感じか」と、早速その勢いに圧倒されます。

警備をしているのは黄色いTシャツを着た「在沖米国商工会議所」の方たち。彼らは英語で会話をしています。
参加者の様子を見ていると、海外の方が想像以上に多かったです。
アナウンスも日本語・英語・中国語で行われています。こうしたお祭りで外国語のアナウンスが流れるのは珍しい気がします。

「第49回那覇大綱挽」の看板と来賓席が用意され、くす玉が運ばれてきました。

クレーンで上から吊るされます。
アナウンスによると、このくす玉は、日本一の大きさとのことです。
完全に異国の雰囲気

いつの間にかこんなに多くの人たちが集まりました。
ちなみに、この日は関東に台風19号が襲い、羽田空港・成田空港からの飛行機が欠航していました。
それでもこの人の数、そして今から、この人数で綱引きするんっすよね…笑

那覇市長の挨拶。
市長さんの挨拶を聞くのは、第一牧志公設市場の最終日以来です。
★参考:牧志公設市場 最終日★

続いて、県知事デニーさんの挨拶。デニーさんは【慰霊の日】以来でしょうかね。
ちなみに、市長と知事の挨拶の前に流れたアナウンスは「Are you excited?(訳:盛り上がってるかい?)」
これに対して「Wooo~!!」。テレビで見る海外の盛り上がりと同じような雰囲気です。
その後に続いて「America?」→「Yeah!!」のようなコール&レスポンスが行われ、その反応を見た感じだとアメリカの方が圧倒的に多かったです。
南米のペルー・ブラジル・アルゼンチン、ヨーロッパはポーランドというコールにも声援が上がっていました。

挨拶の後は空手の演武。
物凄い音の爆竹が鳴り響きます。
それもそのはず、なぜなら…

この方が持っているのは、爆竹をまとめて爆破させる道具?
写真でも少し煙っているのが分かると思いますが、もうここは完全に海外の雰囲気です。

一方で、道路には爆竹から出たごみが散らかっています。
片付ける人が決まっているならいいのですが、どうでしょうか。
ギネス認定の大きな綱を引く!
前座が終わり、いよいよ綱引きが始まります。

まずは、この巨大な綱を皆さんで引っ張ります。
事前の申し込みなどはなく、時間になって、その場にいれば参加することが出来ます。
参加費もありません。

綱を引っ張っている様子です。
これはあくまでも準備段階ですが、綱引きの勝負が始まったと勘違いしている人も多く、「まだ!」という声が響きます。
人が多すぎて、もう滅茶苦茶なのです(笑)

久茂地交差点の中央で、東と西の綱がぶつかりました。
ここから2つの綱を絡ませ、カヌチ棒を使って結合させます。

これだけ太く重い綱なので、なかなかうまく絡ませることが出来ないようです。
何度も綱を寄せたり戻したりを繰り返します。

やっとのことで、2つの綱がカヌチ棒で結ばれると、今度は綱の上に、琉球の歴史上の人物に扮した、支度(したく)が登場。
東西の綱の上で、にらみを利かせます。

太い綱から細い綱が伸びており、勝負が始まったら、細い綱をみんなで引っ張ります。
いつの間にか私のところにも、細い綱が来ていました。
とにかく人が多く、今何が起きているのか分からない状況なのです。
まさかの結末は不吉な前兆?

くす玉が割られました。
「ギネス認定第49回那覇大綱挽」と書かれた幕と、風船や紙吹雪が宙に舞います。

そして、綱引きの勝負がスタート。
綱が動けば人も動くので、その人の波によって、もみくちゃにされるという、なかなかカオスな状況です。
始まる前、綱をセッティングする段階でも、将棋倒しが局所的に発生しており、私も転んだ方を助けたりしました。

こちらは綱引きをしている人々を映した写真。
久しぶりに、ラッシュ時の埼京線を思い出させるほどの混雑です。

こちらが東西の綱をつなぐカヌチ棒です。
途中から私は、綱を引っ張るのではなく、中央付近に避難し、戦況を見守っていましたが、綱はほとんど動きません。
「長くなりそうだな」と思っていた、その時でした。

拍手をしている人や、綱の上でガッツポーズをしている人がいるのは分かりますか。
綱引きが始まってから5分ほど経ったところで、突然、綱が一気に東側へ引き寄せられ、将棋倒しが起こり、皆さん地面に尻もちをつきました。
どうやら西側の綱が切れてしまったようです。

決着がついたというアナウンスがあると、人々は一斉に綱の上に立ち記念撮影をし始めました。
秩序なんてあってないようなものです。

最後はカチャーシーのリズムに合わせてみんなが踊ります。
結局勝負は「引き分け」というのが公式発表でした。
そしてなんと、約27万人が集結したそうです。

綱が切れたのは史上初なのだそう。さらに2019年は、与那原の綱引きでも綱が切れています。
綱が切れたのは首里城火災の前兆だったのか…
この後沖縄は「豚コレラ」「コロナウイルス」と災難が続きます。そして綱引きも、2年以上行われていません。
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今回はここまで。本日もありがとうございました。
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