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今回は【初めての小笠原諸島旅行記】その8をお届けします。
★前回の記事★
小笠原にある独自の生態系
東京から南へ1000kmの洋上に浮かぶ小笠原諸島。

島の周囲は「ボニンブルー」と呼ばれる、透明度が非常に高い海に囲まれ、年中イルカやウミガメが泳ぎ、冬になるとクジラがやって来ます。前回の記事では、そんな小笠原の海を楽しむツアーをご紹介しましたが、小笠原の魅力は海だけではありません。

プレートの動きとマグマが引き起こす海底火山活動によって、小笠原諸島は約4800万年前に誕生しました。今も父島の西約130kmに位置する西之島が噴火を続け、その面積を拡大させています。

そこから一度も大陸と陸続きになることが無かったため、生物たちは外敵の影響を受けることなく、独自の進化を遂げました。その結果、今では「東洋のガラパゴス」と呼ばれ、世界自然遺産にも登録されるような、独特の「生態系」が築き上げられることとなりました。
写真は「ムニンヒメツバキ」。小笠原の固有種には「オガサワラ○○」や「ムニン××」という名前が付けられている場合が多いです。

しかし、小笠原にも、ついに外から外敵がやって来ました。それは「人間」です。1830年に欧米人と太平洋諸島民が定住を開始するまで、小笠原の全島が無人島でした。
小笠原諸島は英語で「Bonin Islands(ボニン諸島)」と呼ばれます。これは、江戸時代の無人島(ぶにんじま)という呼び名に由来し、先ほどのご紹介した「ムニン××」という名も、ここから来ています。
人が住み始める

1876年に、小笠原は国際的に日本の領土として認められ、日本本土や伊豆諸島からの移住者が増加しました。30余ある小笠原の島々のうち、現在も人が暮らしているのは父島と母島、そして硫黄島、南鳥島の4島だけ。他は全て無人島となっていますが、最大で14の島に人が住んでいたこともありました。

人の上陸によって、農地が開墾され、家畜が放牧され、犬や猫もやってきました。なんと、あのペリーさんも、父島の北部に牛を4頭、弟島に羊2頭と山羊6頭を放獣した記録が残っているそうです。さらに、荒廃地の復旧や用材利用を目的に、外来樹木の植林も行われました。
ちなみに、写真の「ガジュマル」も外来種です。

開発が進んだ小笠原では、サトウキビや亜熱帯気候を活かした農作物の栽培、カツオ・マグロ漁、捕鯨など、一次産品を本土へ出荷することによって繁栄し、戦前には人口が7000人を超えました。
戦争で人口ゼロ 自然が回復する

しかし、1944年、太平洋戦争の激化により、小笠原の全島民に疎開命令が出され、島民の大半は島を去ることとなり、多くの島が無人島となりました。1945年2月、米軍が小笠原の島のひとつ「硫黄島」に上陸。待ち構えていた日本軍と、非常に激しい地上戦を繰り広げました。

父島や母島では地上戦は無かったものの、1944年8月には、「スカベンジャー作戦」によって、米軍の本格的な空襲が襲いました。小笠原と同じく、地上戦を経験した沖縄に、初めて空襲が襲ったのは1944年10月。つまり、沖縄よりも早く、小笠原への攻撃は始まっていたのです。

小笠原と沖縄の明確な違いは、一般人が残っていたかどうかという点。
この時の小笠原は要塞と化し、多くの日本兵が駐留し、飛行場も建設されました。沖縄も似たような状況でしたが、疎開がなかなか進まず、そこには女性や子供、老人などが残ったままとなっていたのです。その結果、1945年4月からの地上戦で、沖縄では多くの一般人が犠牲となり、戦後は焼け野原で、米軍統治下の時代を過ごすこととなりました。

戦後、小笠原も米軍の統治下となりましたが、帰島が認められたのは、一部の欧米系島民だけ。もちろん、日本軍も島から撤退していたので、1968年に日本へ返還されるまでの約20年間、小笠原に住んでいた人の数は、非常に少なかったと考えられます。

この期間、自然が放置されたことで、開墾などによって破壊された植生が回復。一方で、放置された自然であるため、外来の樹木も成長し、ヤギの数も増えたと言われています。
島の大部分が国立公園 ツアーがおすすめ

1968年、小笠原が本土復帰を果たすと、その4年後の1972年には、小笠原の島々は大部分が国立公園に指定され、土地の開発が制限されることとなりました。
さらに、自然保護のため、2000人以上が暮らす父島でも、道路周辺以外の立ち入りは、大部分で制限されています。また、全島でヤギの駆除も進められています。
ある意味小笠原では、戦争によって島の自然への負担は軽減され、本来の姿を取り戻すきっかけになったとも言えます。

小笠原の陸の自然は、珍しいものが見られるというだけでなく、島で暮らしてきた人々の歴史、そして戦争と、深く関わっています。ただ、海と比べると、その迫力や感動は劣るかもしれません。陸の自然は、ガイドさんの解説を聞いて、その面白さを知ることが出来るものです。

まずは戦跡ツアーで、自然と同化する形で、そのまま残されている戦争の爪痕を見学。小笠原の歴史を知ったうえで、トレッキングツアーに参加すると、「この自然はいつからあるのだろうか」と、ロマンを感じながら、緑を味わうことが出来るかもしれません。
小笠原諸島のツアーの特徴とは
小笠原諸島で行われているツアーには、海・陸とも、共通している点があります。
1.少人数実施であること
2.1日ツアーまたは半日ツアーのみ(1時間ツアーなどはない)
3.半日5千円、1日1万円という相場感
基本的に、ツアーに参加すると1日が終わります。

そのため、リピーターの方はツアーに参加しないことが多いのですが、初めて小笠原に訪れる方は、ツアーに参加するのがおすすめです。
ぜひ小笠原の旅の参考にしてみてください!
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