口之島上陸!最北端を目指して歩く 黒潮が直撃する地理的に面白い島|2022 トカラ旅行記4

旅の思い出

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今回は「2022年 トカラ列島旅行記」その4をお届けします。

★前回の記事★

口之島上陸!民宿なかむらに2泊

奄美大島からフェリーとしまに揺られ約10時間、トカラ列島最北端の島・口之島に上陸しました。

日本最後の秘境と言われるトカラ列島ですが、この日は平日にも関わらず、口之島からは多くの人が乗船していました。十島村のなかで鹿児島市に最も近い島であるため、釣り客や観光客も多いのでしょうか。

そうは言っても、口之島から鹿児島港までは、ここからさらに7時間近くかかります。フェリーとしま2が遅れていた影響で時刻は12時45分。港には予約していた宿の方が迎えに来てくれていました。

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2023年3月現在、口之島には4軒の宿泊施設があります。

今回私がお世話になったのは、港の目の前にある「民宿 なかむら」さん。2016年5月オープンの島で一番新しい民宿で、トカラ列島で唯一のダイビングショップも兼ねています。

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今回はこちらに2泊します。宿泊した2022年3月は2泊5食で16,500円でした。

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お部屋はこんな感じ。シャワーとお風呂は共用で、シャンプーや石鹸はありますが、タオルや歯ブラシなどは持参が必要。民宿のホームページもしっかりしているので、詳細はそちらを確認するのがおすすめです。

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島にあった大きなアンテナ

もちろん部屋のテレビは映り、Wi-Fiもしっかり繋がりました。一方、スマホの電波が繋がったのは港周辺や集落だけでした。

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チェックインの手続きを済ませて、まずは昼食に手作りお弁当を頂きました。これが2泊5食のうちの1食目にあたります。口之島には飲食店が無いので、宿は3食付きがスタンダードとなっています。

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こちらが1日目の夕食(2食目)。宿の主人は兼業で漁業も営んでいるということで、魚が取れたときは新鮮な海の幸を味わえます。ボリューム満点で、さらにサービスでお酒やお菓子も出していただきました。

★参考:トカラ列島のおもてなしが凄い件★

地理的に面白い島

昼食を食べ終えたら13時30分、暗くなるまで島を歩きます。

目指す先は口之島の最北端・赤瀬。港からの距離は2.4kmなので、それほど歩く距離はありませんが、地理的に面白い発見が色々とありました。

アダンの北限 亜熱帯の植物が生い茂る

口之島案内図に書かれている『ごあんない』には、「ガジュマル、アコウ、ビロウ、タブノキなど亜熱帯植物が生い茂る」とあります。

早速バナナの木々を見つけました。フェリーとしま2でトカラ列島を北上する途中、生物地理学的な熱帯と温帯の境界「渡瀬線」を通過しましたが、口之島にはまだ亜熱帯の名残があるようです。

★参考:亜熱帯気候とは何か★

沖縄の海沿いでよく見られるアダンもありました。熱帯から亜熱帯に生育すると紹介されるアダンも、口之島が北限です

海岸沿いに立つ1本の細い木に、案内看板が設置されています。

この木の名は「七島藺(シチトウイ)」。七島はトカラ列島の有人島の数に由来し、島内では莚(敷物)やサワラの燻製を作るときの吊り紐、草履などに使われていたとのこと。琉球畳や柔道用畳の原料として、島外にも出荷されていたそうです。

黒潮が直撃する立地

口之島 役場出張所前にあるガジュマル

沖縄や奄美で見られる亜熱帯の木々や植物が、口之島でも見られる背景には「黒潮」が影響していると考えられます。

こちらは海上保安庁が出している黒潮(暖流)の流れ。2本の赤い線の間を黒潮が流れており、流れる場所は年間を通じて大きくは代わりません。この図をよく見ると、口之島は黒潮の流れのど真ん中に位置しており、島の西から黒潮が直撃していることが分かります。

この図だと石垣島が24度 口之島が23度

ダイビング団体PADIによると、この黒潮の影響で大型回遊魚が次々登場するだけでなく、冬でも沖縄方面と海水温が変わらないため、日本でマンタが見られるスポットの北限にもなっているのです。

そしてこちらが口之島西側の海、つまり口之島に向かってくる黒潮です。この黒潮が南方の温かく湿った空気を運んで来るため、亜熱帯の植物にとっても居心地がいいのでしょう。

黒潮が直撃する島の西側、最北端へ向かう道の途中に口之島で唯一の海水浴場・平瀬海水浴場があります。綺麗に四角く掘られており、自然のビーチではないことは明らかですが、黒潮をこれだけ間近に体験することが出来る場所は他にありません。

溶岩ドームで出来た火山島

こちらは別の場所から撮影した口之島の港。桟橋の向こう側は急峻な崖のようになっていますが、これが口之島のスタンダード。集落もまた海から離れた山の上にあります。

海水浴場の砂は黒っぽく、サンゴで出来た沖縄や奄美の白砂とは全く異なります。気象庁のホームページで「溶岩ドームの集合した火山島」と紹介されている通り、口之島は火山の影響を受けており、砂浜も溶岩が砕けて黒っぽいのです。

海水浴場のそばにはお手洗いもあり、この日はここでテントを張っている方がいました。

火山の島ということで、島の最北端へ向かう道はこんな感じ。アップダウンが激しく、建物はもちろん、電柱や電線もない大自然の中を歩きます。

緑の中に気配を感じたと思ったら、黒い大きな物体が動いていました。

正体はです。沖縄や鹿児島の島々では定番ですが、口之島でも、島の斜面のあちこちで黒毛和牛の放牧が行われています。

★参考:人より牛が多い島も多い★

そのため、こうした植物が生い茂る道でも…

牛が脱走し、海へ滑落することがないように、しっかりと鉄柵に囲まれているのです。そうは言っても、かなり広大な範囲で放牧が行われているので、鉄柵にも限界があり、普通に牛が道路を歩いていることもあります。

トカラ列島最北端の地でトカラ海峡を見る

歩くこと約30分、口之島最北端・赤瀬に到着しました。

口之島はトカラ列島(十島村)最北端の島でもあるので、ここがトカラ列島の最北端でもあります。

この先はもう道がありません。

ここにも案内看板がありました。この岩は信仰の対象にもなっているようで、「琉球列島のニライカナイを浄土とする世界観の延長線上にある」と書かれていました。

地名の通り先端には赤っぽい岩があり、その先がまさに黒潮の本流。口之島とその先に浮かぶ屋久島の間は「トカラ海峡」と呼ばれています。

トカラ海峡の向こうにうっすらと島影が見えています。これが屋久島かと思いましたが、恐らく50km以上先にある口永良部島です。そして、トカラ海峡も地理的に面白い場所。

黒潮(暖流)が運んでくる温かく湿った空気が、屋久島の山々にぶつかることで、屋久島には多量の雨がもたらされているのです。

★参考:屋久島に雨が多い理由★

別の場所に移動すると、口永良部島(左)と屋久島(右)も見えました。まさにこの海が上の図の現場。そう思うと、曇った海の景色も感慨深いものでした。

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今回はここまで。本日もありがとうございました。

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